2014-05-21

古墳時代の展示が充実!『近つ飛鳥博物館』@大阪府河南町

古墳時代の展示が充実!『近つ飛鳥博物館』@大阪府河南町

聖徳太子や推古天皇の墓所も近い、大阪府の河南町にある『大阪府立近つ飛鳥博物館』。古墳時代~飛鳥時代の調査結果を分かりやすく展示した専門博物館です。工夫をこらした展示で、古墳時代が好きな人間にはたまらない充実ぶりでした。安藤忠雄さんが設計した建物も見事!何度でも通いたいくなります。


建物は安藤忠雄さんの代表作です

大阪府南河内郡河南町にある『大阪府立近つ飛鳥博物館』。大阪府を中心とする古墳時代~飛鳥時代の古墳などの調査結果を分かりやすく展示した、古墳とその時代に関する専門博物館です。

「近つ飛鳥(ちかつあすか)」とは、「古事記」に登場する言葉で(詳しくはこちら→「近つ飛鳥とは」)、大和の飛鳥が「遠つ飛鳥」と呼ばれたのに対して、アジアへの窓口となっていた南河内の地域一帯を指します。奈良と大阪を隔てる「二上山」の西麓にあり、奈良からもかなり行きやすいエリアでしょう。

近くには聖徳太子御廟所がある叡福寺、推古天皇陵・敏達天皇陵・用明天皇陵・孝徳天皇陵・小野妹子墓などがあり、飛鳥時代の皇族の墓所となっていたエリアです。

施設の周辺には、日本有数の群集墳「一須賀古墳群」が広がり、その一部を「近つ飛鳥風土記の丘」として整備・公開しています。古墳時代に興味のある者であれば、見どころが多すぎてとても一日で廻れるものではありません。

博物館の建物は、「安藤忠雄建築研究所」が設計を担当したもの。安藤さんの作品らしく、コンクリートがそのまま使用されていますが、全体の形状が前方後円墳を模しているようであったり、とてもユニークです。自然に囲まれた丘の上に立っていますが、意外なほど周囲に溶け込んでいます。この建物を観るためだけに行く価値はありますね!


大阪府立近つ飛鳥博物館@大阪府河南町-01

大阪の河南町にある『大阪府立近つ飛鳥博物館』。二上山の西側すぐ、大阪の中でもかなり奈良寄りにあります。駐車場が無料なのも嬉しいですね

大阪府立近つ飛鳥博物館@大阪府河南町-02
自然に囲まれた丘陵地にそびえるコンクリート建築は、もちろん安藤忠雄さんの作品です。自らの代表作として挙げているほどで、日本芸術大賞なども受賞しています。中央のコンクリートの塔は「黄泉の塔」と呼ばれるもので、年に数度、バックヤードツアーが開催されて内部に入れるそうです!

大阪府立近つ飛鳥博物館@大阪府河南町-03
博物館の周辺は、大規模な群集墳「一須賀古墳群」があり、『近つ飛鳥風土記の丘 』として保存されています。102基の古墳のうち、40基が見学できるようになっているとか。この日は時間が足りなかったので散策しませんでしたが、後日改めて歩きたいと思います


本物の土器に触れます!図書コーナーも充実

『近つ飛鳥博物館』の開館は1994年。まだ比較的新しい施設だけに、展示設備も分かりやすくて面白いですし、いたるところでサービス精神に感心しました。

例えば、音声ガイドが無料で借りられたり、モニター画面で映像を流す場所は腰掛けられるようになっていたり、お子さんを飽きさせないようなパズルがあったり、本物の出土品に触れることができたり。

無料で利用できるロビー部分からとても充実していて、ちょっと驚きました。


大阪府立近つ飛鳥博物館@大阪府河南町-04

近つ飛鳥風土記の丘の休憩所として利用できる1F部分は「普及ゾーン」と名付けられています。相談カウンターの前には土器パズルなど。そして、後ろの棚にずらりと並んでいるもののほとんどが本物の土器です。これ実際に触らせていただけます!

大阪府立近つ飛鳥博物館@大阪府河南町-05
係の方に「何番をお願いします」と伝えると、好きな出土品を触れます!隣接する一須賀古墳群から出土した本物の須恵器が主で、埴輪の複製品、三角縁神獣鏡・銅鐸・冑の復原模造品などがあります。手触りがリアル!

大阪府立近つ飛鳥博物館@大阪府河南町-06
古墳や歴史系の本を自由に閲覧できる「図書コーナー」も充実。手前にあるのはこの建物の建築模型ですね。この他、ビデオコーナーやお子さん向け図書コーナー(漫画版の日本の歴史、三国志も!)があったりします

大阪府立近つ飛鳥博物館@大阪府河南町-08
ロビーにそびえる「鹿谷寺(ろくたんじ)石塔復元模型」。太子町の廃寺で、奈良時代前半に、凝灰岩の岩盤を削ってこのサイズの十三重石塔を掘り出したのだとか!まだ実物を拝見したことがありませんでしたが、これはぜひ本物を観てみたいですね!


展示エリアも前方後円墳の形です

『近つ飛鳥博物館』の全体のテーマは「日本古代国家の形成過程と国際交流をさぐる」。これに沿った3つの常設展示コーナーで構成されています。

ゾーン1 - 近つ飛鳥と国際交流
ゾーン2 - 古代国家の源流
ゾーン3 - 現代科学と文化遺産

正直なところ、想像以上にボリュームと見応えがあって驚きました!

私は古墳時代のあれこれについてはそれなりに調べたこともありましたが、ずっと奈良を中心に観てきたため、大阪の遺跡などについてはほとんど知識がありませんでした。河内エリアのすごさに圧倒されました!

興味深いもののすべてを紹介していくと、とんでもない量になりますので、出来るだけ手短にまとめていきます。


大阪府立近つ飛鳥博物館@大阪府河南町-15

受付を済ませて、下のフロアを見下ろしたところ。建物の壁面に沿って展示があり、スロープで下に降りていく形になります。大きな仁徳天皇陵(大仙陵古墳)のジオラマが見えます。このフロア自体が、前方後円墳の形になっています!すごい!

大阪府立近つ飛鳥博物館@大阪府河南町-16
角度を変えて。豪華な建物で、展示品は渋め。静かにいつまでも楽しめる内容ですね


常設展示ゾーン1「近つ飛鳥と国際交流」

まずは「近つ飛鳥と国際交流」から。日本の古代を、倭の五王と渡来文化・聖徳太子の時代・仏教文化の開花・文字の時代・古墳の終わりと墓というテーマで見ていきます。なお、展示品の一部のみが撮影禁止になっています。受付で申し出れば撮影不可なもののマップがもらえます

大阪府立近つ飛鳥博物館@大阪府河南町-10
博物館の隣接地にある「一須賀WA-1号墳」から出土した「金銅製履」の復原模造品。斑鳩町・藤ノ木古墳で見つかったものに似ていますね。こんなすごいものが発見されていたとは!

大阪府立近つ飛鳥博物館@大阪府河南町-11
叡福寺の境内にある「聖徳太子墓」の復元模型。陵墓に指定されているため、現在は観られませんが、過去の記録から復元しているそうです。3つの棺が納められており、聖徳太子、母・穴穂部間人皇女、妻・膳郎女が埋葬されていると考えられているとか。こうした迫力のある大型展示も多く、とても見やすいですね

大阪府立近つ飛鳥博物館@大阪府河南町-12
古代の瓦の分類。時代ごとの移り変わりが分かりやすく分類されています。今まで古瓦はどれも同じに見えて苦手でしたが、これを見て少しだけ興味が出てきました(笑)

大阪府立近つ飛鳥博物館@大阪府河南町-13
墨書土器たち。堺市・南花田遺跡、藤井寺市・はさみ山遺跡出土のもの。味のある落書きですね


常設展示ゾーン2「古代国家の源流」前半

「古代国家の源流」では、4~6世紀の300年間も続いた、前方後円墳などが築造される古墳の時代がテーマです。仁徳陵古墳などの巨大な前方後円墳が作られた時代は、古代律令国家が成立した時期にあたり、朝鮮半島や中国大陸の影響を受けながら発展していきました。

竪穴式石室の世界・王と民衆・横穴式石室の世界といったテーマで、埴輪や武具・農具など、貴重な出土品が展示されています。


大阪府立近つ飛鳥博物館@大阪府河南町-17

葛井寺市・津堂城山古墳の「水鳥形埴輪」(重文)の複製品。かなり大きなものですね。発掘の際の様子を復元していますが、その時の写真も展示してあって見比べられるのがいいですね。大きな埴輪の断片がかたまって見つかった際にはドキドキしたでしょうね!

大阪府立近つ飛鳥博物館@大阪府河南町-18
蓋形埴輪・盾形埴輪・衝立形埴輪など、巨大な出土品の現物が並びます。「大きい!」だけで終わりがちですが、分かりやすい説明書きもあります。無料で借りられる音声ガイドは、簡単版・詳細版の2種類が聞けますので、ぜひ借りておきましょう

大阪府立近つ飛鳥博物館@大阪府河南町-19
馬形埴輪・犬形埴輪・鶏形埴輪・猪形埴輪

大阪府立近つ飛鳥博物館@大阪府河南町-20
短甲形埴輪・胄形埴輪など。立派なものがたくさん見つかってます

大阪府立近つ飛鳥博物館@大阪府河南町-21
八尾市・美園遺跡の「高床の家形埴輪」(重文)。入母屋造りの高床式。見事な線刻が施されており、広い部分がベンガラで赤く塗られていたとか。屋根の鰭(ひれ)飾りも見事ですし、中にはベットのような形まで作りこまれています!

大阪府立近つ飛鳥博物館@大阪府河南町-22
甲冑のコーナー。時代ごとに分類されていてとても分かりやすいです。藤井寺市・長持山古墳の「衝角付胄 挂甲」の模造復元品など、とても見事なものでした

大阪府立近つ飛鳥博物館@大阪府河南町-23
展示の中で一番驚いたのがこれ。応神天皇陵の陪塚である、藤井寺市・アリ山古墳の出土状況を再現したものです。5世紀の方墳で、上から鉄鏃・鉄槍・鉄剣・鉄刀が、その下には929点もの鉄製農工具が見つかったとか!立派な武器庫ですね。どれだけの権力を持っていたのかがうかがえます!

大阪府立近つ飛鳥博物館@大阪府河南町-25
「一須賀O-5号墳」の出土状況を再現したもの。強化ガラスで上に乗って見下ろせます。リアルに伝わりますね

大阪府立近つ飛鳥博物館@大阪府河南町-26
石棺あれこれ。手前から、長持山古墳1号棺(刳り抜き式家形石棺・阿蘇溶岩凝灰岩製・複製品)、前塚古墳 長持山石棺(播磨竜山石製・実物)、安福寺石棺(割竹形石棺・讃岐鷲の山石製・実物)。形も時代も石の産地もさまざまです


常設展示ゾーン2「古代国家の源流」後半

下のフロアでは「大古墳の造営」と題して、日本最大の前方後円墳である「仁徳陵古墳」(大仙陵古墳)の築造時の姿を、周りの陪冢群とともに150分の1の大きさで再現したジオラマがあります。築造に参加する人たち、支配者層たちも含めて、約3,000体の人形を用いて再現!すごい迫力でした!

また、このジオラマを上から見下ろせるカメラが設置してあって、手元の操作盤で視点をう移動させたり、アップにしたりと動かすことができます。私が子どもだったら大喜びして、ここをずっと離れないかもしれません(笑)


大阪府立近つ飛鳥博物館@大阪府河南町-27

仁徳陵古墳復元模型。縮尺150分の1で、それでも直径10mもあります!周囲の陪塚群も再現されているのはもちろん、建物や人間までも配置されています

大阪府立近つ飛鳥博物館@大阪府河南町-28
周りの陪塚ですら大きい!航空写真でもこうはっきりとは見られませんから、ワクワクしますね

大阪府立近つ飛鳥博物館@大阪府河南町-29
建物や人間も作りこまれています。米粒のよう!

大阪府立近つ飛鳥博物館@大阪府河南町-30
首長の居館。周囲に水濠をめぐらした立派なものです。リアル!

大阪府立近つ飛鳥博物館@大阪府河南町-31
ジオラマの上にカメラが設置してあり、自由に移動、ズームなどが出来るようになっています。贅沢!楽しい!


常設展示ゾーン3「現代科学と文化遺産」

「現代科学と文化遺産」では、考古学で活用される現代科学の技術が分かりやすく体験できるコーナーになっています。モニターを使った体験型だったり、とても分かりやすい内容でした。

また、藤井寺市・三ツ塚古墳の周濠から出土した「修羅(しゅら)」(重文)の実物も展示してあります!修羅とは、重い石などを引きやすくするソリのような役割のもの。14年にも及ぶ保存処理を行い、展示できるようになったとか。すごい迫力でした!


大阪府立近つ飛鳥博物館@大阪府河南町-33

ガラスケースの中に入った「修羅」。藤井寺市・三ツ塚古墳のもので、素材はアカガシで、二股に別れた一木を使用。長さ8.8m・重さ約3.2tもあります!これに巨石を乗せて運んだというのですから、すごいですね

大阪府立近つ飛鳥博物館@大阪府河南町-34
その修羅を引く実験ができるコーナーも。こういうの楽しいですよね!

大阪府立近つ飛鳥博物館@大阪府河南町-36
四條畷市・蔀屋北遺跡の「馬埋納土坑」。5世紀後半のもので、馬が丁寧に埋葬されたまま出土しました。馬の年齢は5~6歳、肩までの高さが約125cmと小型の品種だとか。珍しい展示ですね

大阪府立近つ飛鳥博物館@大阪府河南町-37
仁徳陵古墳の「巫女形埴輪頭部」の複製品の展示。黒いネット上のものの中心に埴輪の頭部だけ。シュールな展示方法です(笑)

大阪府立近つ飛鳥博物館@大阪府河南町-32
建物の「黄泉の塔」と呼ばれる部分の真下。見上げても真っ暗です


春季特別展『ヤマト王権と葛城氏』も

大阪府立近つ飛鳥博物館@大阪府河南町-38


通常展示エリアの奥で、近つ飛鳥博物館の平成26年度春季特別展『ヤマト王権と葛城氏-考古学からみた古代氏族の盛衰-』が開催されています。


●平成26年度春季特別展「ヤマト王権と葛城氏-考古学からみた古代氏族の盛衰-」

HP: http://www.chikatsu-asuka.jp/?s=exhibition/special2

会期: 2014年4月26日(土)~6月29日(日)
観覧料: 一般 600円、高校生・大学生・65歳以上 400円、中学生以下 無料


近つ飛鳥とは、葛城山系をはさんだ反対側にあたるエリアで、百舌鳥・古市古墳群が形成されたのとほぼ同じ時期に、大豪族「葛城氏」が勢力を伸ばしていました。この特別展では、葛城地域の古墳とその出土品を中心に、葛城氏の盛衰を見ていくものです。

「開館20周年記念特別展」と銘打っているだけに、橿原考古学研究所や奈良国立博物館の所蔵品などを含め、とても貴重なものが出陳されています。詳しくは述べませんが、河合町・佐味田貝吹山古墳の文様の美しい「内行花文鏡」など、鏡の展示は特に面白かったです。

地元・奈良の企画展示ですから、ぜひこの期間中に足を運んでみてください!



■大阪府立近つ飛鳥博物館

HP: http://www.chikatsu-asuka.jp/
住所: 大阪府南河内郡河南町大字東山299番地
電話: 0721-93-8321
休館日: 月曜(祝日の場合は火曜休)、年末年始
開館時間: 9:45 - 17:00
入館料: 大人 300円、高校生・大学生・65歳以上 200円、中学生以下 無料
駐車場: 無料駐車場あり
アクセス: 近鉄長野線「喜志駅」から、金剛バス「阪南ネオポリス」バス停下車、徒歩10分

※特別展・企画展の開催中は、入館料が異なります


■参考にさせていただきました

大阪府立近つ飛鳥博物館 - Wikipedia
近つ飛鳥博物館 安藤忠雄










  • Twitterでフォローする
  • Facebookページを見る
  • Instagramを見る
  • ブログ記事の一覧を見る







メニューを表示
ページトップへ