2010-02-07

推古天皇即位の地『豊浦寺跡(向原寺)』@明日香村

推古天皇即位の地『豊浦寺跡(向原寺)』@明日香村

明日香村へ出かけた帰り、思いつきで『豊浦寺跡(向原寺)』へ伺ってみました。豊浦寺とは、飛鳥五大寺の一つにも数えられた日本最初の(または2番目の)お寺で、推古天皇が即位した豊浦宮の発掘現場を見学することもできます。

この日は、時間の関係で遺構は拝見できませんでしたが、古代史がお好きな方はぜひ立ち寄ってみてください。


百済渡来の釈迦仏が祀られたお寺です

『豊浦寺』とは、日本最初の寺(創建年の解釈によっては飛鳥寺に次ぐ2番目のお寺となります)とも呼ばれ、飛鳥五大寺の一つにも数えられたお寺でした。

「日本書紀」の記述では、552年、百済の聖明王から金銅の釈迦仏などが献上された際に、物部氏や中臣氏らの反対を抑え、蘇我稲目が向原の自宅に持ち帰り、それを寺として安置したことが始まりとされています。しかし、その後に疫病が流行。これを国神の祟りとして排仏派たちは、仏像を難波の堀江に流し、寺を焼き払いました。後の581年に再建され、桜井寺という尼寺になります。

この一帯にあった「豊浦宮」で推古天皇が即位し、603年に「小墾田宮」へと移りました(小墾田宮跡は、現在の豊浦寺跡から200mほどの距離にあります)。その際に、小墾田宮も土地にあった桜井寺を現在地へ移動させ、名前を豊浦寺と改めました。平安時代以降は衰退し、江戸時代になると、現在同地に建つ「向原寺」が建立されました。

豊浦寺跡の発掘調査が進められ、1993年には、大規模な金堂跡があったことが判明。伽藍配置も飛鳥寺式伽藍(塔を中心に3つのお堂で囲むもの)であったと類推されています。


豊浦寺跡(向原寺)@明日香村-01

明日香村豊浦にある『豊浦寺跡(奈良県指定文化財)』。かつては「飛鳥五大寺」の一つとされ、日本最初の寺とも言われる豊浦寺がありました。現在は、江戸時代から続く「向原寺」が建っています

豊浦寺跡(向原寺)@明日香村-03
豊浦寺跡の解説看板。「603年推古天皇が豊浦宮から小墾田宮に移った後に、豊浦寺を建立したとされている。近年の発掘調査で、寺院の遺構に先行する建物跡がみつかり、これを裏付けている」などとあります

豊浦寺跡(向原寺)@明日香村-04
もう一つ、やや時代の古い案内看板もありました


豊浦宮の発掘現場も見学できます

現在、豊浦寺跡には「向原寺」というお寺が建っており、奈良県指定文化財に登録されている豊浦寺跡の管理もなさっています。

本堂前の貼り紙によると、発掘調査によって発見された豊浦宮の遺構がそのまま残されており、向原寺の方にお願いすると現場を拝見させていただけるのだそうです。この日は、何の下調べもせずに夕方からブラリと伺ったため、そんな時間はありませんでしたが、また後日、日を改めて伺ってみたいと思います。

また、この一帯は甘樫丘の北側になりますが、道幅が極端に狭く駐車場もありません。公共交通機関を利用するか、レンタサイクルなどで訪問するのがいいでしょう。


豊浦寺跡(向原寺)@明日香村-02

太子山向原寺の門。「日本仏法根元寺院最初」の文字が見えます

豊浦寺跡(向原寺)@明日香村-05
向原寺の境内の様子。この日は夕方近い時間になってからフラリとお邪魔したため、少し様子を眺めただけで帰ってきてしまいました。本堂の拝観などが可能かどうかは不明です

豊浦寺跡(向原寺)@明日香村-06
本堂前の貼り紙。「向原寺境内地の発掘調査により、飛鳥時代最初の推古天皇宮の遺構、蘇我馬子建立の飛鳥時代飛鳥寺に続く2番目の本格寺院豊浦寺(飛鳥寺の妹寺)の伽藍がわかりました。推古天皇の豊浦宮の発掘調査時出た遺構を現状保存で公開しています。見学、説明御希望の皆様方は向原寺に申し出て下さい。」


善光寺縁起に登場する「難波池」も

向原寺のすぐ隣には、百済の聖明王から贈られた金銅の釈迦仏を、物部尾輿が投げ込んだとされる「難波池」の案内がありました。看板のすぐ裏には小さな池がありましたが、これが難波池なのかどうかは不明です。

この仏像は、この地を通りかかった、信濃の国の本田善光という人物が発見し、長野の善光寺に祀られたという伝承もあるのだとか(詳しくは善光寺ホームページにあります)。まさに古代史の中心だったことが分かります。


豊浦寺跡(向原寺)@明日香村-08

「難波池の由来」と書かれた看板が。「向原寺(豊浦寺)の一角に難波池と称される池がある。この池は『日本書紀』欽明天皇13年仏教伝来の記事に排仏派の物部尾輿が仏像を投げ込んだなんばの堀江であるとの伝承をもつ。そして後世の記録には、この仏像が信濃(長野県)善光寺に祀られたという善光寺縁起として語りつがれている」



大きな地図で見る


■豊浦寺跡(向原寺)

HP: 参考サイト(明日香村HP)
住所: 奈良県高市郡明日香村豊浦630
電話: 0744-54-2512
宗派: 真宗本派本願寺派
本尊: 不明
創建: 603年
開基: 推古天皇(または552年、蘇我稲目)
拝観料: 境内無料
拝観時間: 不明
駐車場: 無し
アクセス: 近鉄「橿原神宮前駅」より、奈良交通バス岡寺行き「豊浦」下車


■参考にさせていただきました!
豊浦寺跡
向原寺(豊浦寺跡)-日本仏法根源寺院最初






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