阿修羅像など美仏の宝庫!

奈良の寺社観光ガイド【興福寺】

奈良の寺社観光ガイド【興福寺】

興福寺の歴史とは

南都六宗の一つ「法相宗」の大本山『興福寺』は、669年、藤原鎌足の病気の平癒を願った夫人が諸仏を祀った「山階寺」が前身です。672年の壬申の乱の後、飛鳥へ遷都された際に移転し、地名をとって「厩坂寺」となりました。さらに、710年の平城遷都の際、藤原不比等によって現在地へ移され「興福寺」と名付けられました。

藤原家の氏寺として栄え、平安時代には春日社の実権を手中にし、大和国一国の領土を治める実質的な国主となります。鎌倉・室町時代に入っても、幕府は大和国に守護を置くことができず、興福寺がその任に当たっていました。1595年の検地では、春日社興福寺を合わせて21,000余石が与えられています。

また興福寺は、1181年の平重衡の兵火(南都焼討)、1717年の火災など、堂宇は何度も焼失を繰り返してきました。明治時代はじめの神仏分離令・廃仏毀釈でも大きな危機を迎えますが、見事に復興を遂げ、1998年には「古都奈良の文化財」として世界文化遺産にも登録されています。


古都・奈良のシンボル!50.8mの五重塔

興福寺-東金堂・五重塔-01

東大寺と並ぶ奈良の大寺院『興福寺』(世界遺産)。近鉄奈良駅と奈良公園の間にあり、境内にはのんびりと鹿が歩く姿も見られます。また、壮大な「五重塔」は奈良のランドマークにもなっています。境内を歩くだけなら料金も不要ですので、奈良に来たらとりあえず五重塔で記念撮影してみてください。

また、五重塔は通年ライトアップされているため、夜の興福寺に行ってみるのもいいでしょう。昼間とはまた違った幻想的な姿が見られます。

興福寺・五重塔は、730年に光明皇后によって建てられたものですが、5回の焼失・再建を繰り返し、現在のものは1426年に再建されたもの。通常は内部の拝観は出来ませんが、特別公開の際に内部を拝見した時には、薬師三尊像・釈迦三尊像・阿弥陀三尊像・弥勒三尊像が四面に向いて安置されており、曼荼羅風に表現されています。外からは分かりませんが、ありがたい仏さまたちがいらっしゃる様子を想像しながらご覧ください。

また、五重塔に隣接して建つ「東金堂(国宝)」は、素晴らしい仏像の宝庫です。ご本尊「薬師三尊像」は重要文化財ですが、文殊菩薩坐像・維摩居士坐像・十二神将立像・四天王立像など、18体もの国宝が立ち並ならぶ濃密な空間になっています。


興福寺-東金堂・五重塔-02

昼間の興福寺「五重塔(国宝)」。高さは50.8mで、木造としては京都・東寺の五重塔に次ぐ、日本で2番目の高さです。奈良市内のかなり遠い位置からもその姿が見られます。こんな塔が600年近くも立ち続けていることが驚きですね

興福寺-東金堂・五重塔-03
ライトアップされた五重塔。昼の姿とはまた違った趣があります。ライトアップは一年中行われていますし、境内は拝観料も不要ですので、ぜひ夜の興福寺もブラリと散策してみてください


阿修羅像も!国宝像が立ち並ぶ「国宝館」

興福寺-国宝館-01

「阿修羅展」で大ブームを巻き起こし、日本でもトップクラスの知名度と人気を誇る、興福寺「阿修羅像(国宝)」。普段は興福寺・国宝館にいらっしゃいます

興福寺国宝館は、2010年3月からリニューアルオープン。以前は、ほとんどの仏像がガラスケース越しに見るしかありませんでしたが、わずか数mの距離から直接拝見できる「露出展示」という展示方法に切り替わりました。照明も工夫され、様々な角度から仏さまの表情がはっきりと見られます。

興福寺国宝館には、中央には像高520.5cmという巨像「千手観音菩薩立像」がいらっしゃり、阿修羅像を含む「八部衆」や「十大弟子」「龍燈鬼・天燈鬼」「金剛力士立像」など、まさに貴重な仏像や寺宝の宝庫!ものすごい迫力がありますので、仏像がお好きな方はもちろん、あまり興味がない方も、ぜひ立ち寄ってみてください。


興福寺-国宝館-02

リニューアルを知らせる看板。興福寺国宝館は、もとは食堂(じきどう)があった場所に建てられた近代的な収蔵庫です。リニューアル後は、ガラス越しではなく、貴重な仏さまと直接対面できるため、とても見やすくなりました


慶派の傑作仏像が祀られる「南円堂」と「北円堂」

興福寺-南円堂-01

興福寺には、いくつかの御開帳時期が決められていて、普段は拝観できないお堂もあります。

境内の南側にある、朱色が鮮やかなお堂が「南円堂(重文)」です。ここは西国三十三箇所の札所ですが、開扉されるのは一年で「10月17日」の一日のみ。仏師・康慶(運慶の父)作のご本尊「不空羂索観音坐像(国宝)」や「四天王立像(国宝)」にお会いするのはなかなか難しいですが、鎌倉時代の仏さまらしいダイナミズムが感じられる、素晴らしい仏さまがいらっしゃいます。

また、境内北側に建つ、「北円堂(国宝)」は、春と秋、毎年2回の特別開扉日が設けられています。北円堂は、721年に長屋王の指揮によって創建され、現在の建物は1208年の再建のもの。やや地味な八角形の建物です。中には、仏師・運慶の写実的な才能が発揮された「無著・世親菩薩像(国宝)」などがいらっしゃいますので、機会があればぜひ拝観してみてください。

現在、興福寺境内では、長年の悲願だった「中金堂」の再建工事が行われています。完成は遙か先のことになりますし、工事中の様子もやや見苦しく思われるかもしれませんが、もう二度と見られないかもしれない貴重な場面を目撃したとでも考えて、暖かく見守りましょう!

興福寺-南円堂-02
興福寺「南円堂(重文)」は、813年に藤原冬嗣が創建したもので、現在のものは1789年西国三十三箇所巡りの九番札所にもなっていて、常に多数の参拝客が訪れています。開扉日は、毎年10月17日の一日のみ。ご本尊は3メートルを越す鎌倉時代の「不空羂索観音坐像(国宝)」です。なかなか見られないものですが、機会があったらぜひ!

興福寺-南円堂-03
夜の南円堂の様子。ライトアップされているわけではありませんが、夜に見てもとても美しいお堂です。なお、南円堂の裏手には「三重塔(国宝)」が建っています。見落としがちですがお忘れ無く

興福寺-北円堂-01
興福寺「北円堂(国宝)」。法隆寺・夢殿と同じく、八角形の「八角円堂」になります。薬師如来像や無著・世親菩薩像などの国宝が安置されていますが、普段は公開されていませんので、春と秋の特別公開のタイミングをお待ちください

興福寺-整備計画
現在の興福寺は、境内の中央に「中金堂」を再建中です。その裏手にある「仮金堂(普段は公開されていません)」にいらっしゃる仏さまも、中金堂の完成とともにいつでもお会いできるようになるのかもしれません


『なら燈花会』期間中など、夜間特別拝観も

興福寺-なら燈花会-01

夏の奈良の恒例イベント『なら燈花会』の期間中には、興福寺の境内にもロウソクの灯りが灯され、とても幻想的な姿が見られます。五重塔は通年ライトアップされていますし、なら燈花会の期間中は「東金堂」の夜間特別拝観も行われています。昼間に見るのとは全く違う、とても厳かなお堂にお参りできる数少ないチャンスですので、ぜひ立ち寄ってみてください。


興福寺-なら燈花会-02

『2009 なら燈花会』の様子。東金堂前には燈火が「星型」に並べられていました。ライトアップされた五重塔とのコントラストもとても美しいものです

興福寺-なら燈花会-03
なら燈花会の期間中は、東金堂の夜間拝観が行われます。国宝仏がずらりと立ち並ぶお堂に、夜に参拝できるという機会は滅多にありません。昼間とは全く雰囲気が違います


興福寺の拝観・アクセスなど

  • 名称: 興福寺
  • HP: http://www.kohfukuji.com/
  • 住所: 奈良県奈良市登大路町48
  • 電話: 0742-22-7755
  • 宗派: 法相宗大本山
  • 本尊: 釈迦如来(国宝)
  • 創建: 669年
  • 開基: 藤原不比等
  • 拝観料: 境内:無料、国宝館:600円、東金堂:300円(国宝館・東金堂連帯共通券は800円)
  • 拝観時間: 9:00~17:00
  • 駐車場: 有料駐車場あり(1日1,000円程度)
  • アクセス: 近鉄奈良線「近鉄奈良駅」から徒歩7分
※世界遺産「古都奈良の文化財」に登録
※西国三十三箇所霊場の第九番札所(南円堂)
※南都七大寺の一つ


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興福寺の主な年中行事

  • 01月02日 【春日社参式】春日大社へのお参り
  • 02月03日 【追儺式(ついなえ)】節分の豆撒き
  • 02月15日 【涅槃会】甘酒の接待など
  • 04月08日 【仏生会】お釈迦様誕生の行事
  • 04月17日 【放生会】猿沢池への放生
  • 04月25日 【文殊会】稚児たちのお練り
  • 05月11日・12日 【薪御能】4座参勤の薪能
  • 07月07日 【弁財天供】<秘仏御開帳>三重塔の御開扉
  • 10月第1土曜日 【塔影能】能の法要
  • 10月17日 【大般若経転読】<秘仏御開帳>南円堂の御開扉
  • 11月13日 【慈恩会】薬師寺と隔年で開催

興福寺の年中行事一覧



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