特別拝観『長谷寺』巨大観音様に触れました@桜井市
西国三十三所の八番札所『長谷寺』でも、「西国三十三所結縁ご開帳」の関連行事として、「長谷寺大観音 特別拝観」が開催されていました。
長谷寺は個人的にもかなり好きなお寺なんですが、あの巨大な十一面観音さまの足元に行って、下から見上げることができるなんて、なかなか無いチャンスです。期待して行ってみたのですが、その期待を遥かに上回るほどの迫力と感動でした!
見どころの多い「端正」なお寺です
長谷寺の創建は、686年のこと。奈良と伊勢を結ぶ初瀬街道沿いにあり、「花のお寺」として、貴族や庶民からの篤い信仰を集めていました。また「枕草子」「源氏物語」などの古典にも登場するほどの歴史を持ちます。
現在では、真言宗豊山派の総本山として、「全国に末寺が三千余ヶ寺、 檀信徒はおよそ三百万人」という、大寺院となっています。
現在のイメージや見どころをあげていくと、
・牡丹・桜・紅葉などの「花のお寺」
・見事な399段の石段「登廊(のぼりろう)」
・京都・清水寺タイプの見事な「舞台造り」の礼堂
・西国三十三所観音霊場巡りの「八番札所」
・日本最大の「像高10m」の木造の十一面観音像
というところでしょうか。
また、奈良県民の方ならご存知だと思いますが、地元の奈良テレビでは一年を通じてお寺のTVCMを流しているという、ちょっと珍しいところです。その効果・・・とは思いませんが、この日は修学旅行生も多数参拝に来ていたりと、観光面でもがんばっていらっしゃるようでした。
399段の「登廊」お楽しみください!
長谷寺前の門前の通りを抜けて「仁王門」をくぐると、長くて美しい「登廊(のぼりろう)」が現れます。全部で「399段」という長い石段で、下から眺めても、上から見下ろしても、かなり端正な雰囲気のある姿です。
それほど急勾配というワケでもありませんが、その雰囲気を楽しみながら、そして登廊の脇にある牡丹などを眺めながら歩けば、それほどヘビーな道のりではないでしょう。休み休み、途中で後ろを振り返って見たりしながら、のんびりと進んでください。
長谷寺の山門前。西国三十三所観音霊場「第八番札所」で、長く美しい登廊と、境内一面の紅葉、そして「牡丹のお寺」として有名です。ちなみに、地元の奈良テレビでは、通年TVCMを放映しているハイカラなお寺でもあります
山門手前の案内所(兼休憩所)でも、「西国三十三所結縁ご開帳」関連のポスターが貼られていました。この日も、紅葉にはまだ早い平日だというのに、「特別公開」目当ての沢山の観光客が参拝していました
長谷寺の「仁王門」。二階建ての「楼門」で、左右にはもちろん仁王像が、そして拝観はできませんが、2階部分には十六羅漢像がいらっしゃるとか。現在のものは1885年の再建で、江戸時代っぽい豪華な意匠がほどこされています
仁王門ごしに見る「登廊(のぼりろう)」。1039年に作られたもので、上中下の3廊に分かれた「399段」の見事な石段です。二間おきに吊るしてある灯籠は「長谷型」というものなんだとか
仁王門を本堂側から見上げたところ。見事な龍の細工などを見ると、明らかに江戸時代以降の豪華さが感じられます。しかし、あんな高くて面倒なところにまで、よく千社札を貼りましたね
「登廊」を脇から。とても美しい石段なんですが、柱にいちいち「特別公開」の告知の貼り紙があるのが邪魔くさいんですよね。そんなに何度も書かなくても気付きますって(笑)
登廊横にある「牡丹」の花壇。春と冬の牡丹が有名ですが、今の時期は殺風景なものです
登廊の2層目の踊り場にある「貫之梅」。有名な歌人「紀貫之」が、古今集で「人はいさ 心も知らず故里の 花ぞ 昔の香ににおひける」と詠んだのは、この梅のことだったそうです
常夜燈と摂社のお社。背後に見える舞台造りの足場部分もとても美しく見えます
登廊を上りきった「尾上の鐘」の脇から眼下を見下ろしたところ。少しだけ紅葉が始まっていましたが、ピークはまだ2週間くらい先のようです
長谷寺の本堂脇にある「手水舎」。下には竹が編んだものが敷いてあり、とても美しいものでした
10mの十一面観音様、特別公開は大迫力!
長谷寺のご本尊さまは、右手に「錫杖(お地蔵様が持つようなもの)」、左手に「水瓶」を持つ、「長谷寺式」といわれる十一面観世音菩薩さまです。8世紀に徳道上人が造立して以来、何度も焼失してきたため、現在のものは室町時代の1538年に作られたものです。
しかも、驚くのが、その像高は「三丈三尺六寸(1018.0cm)」!日本で最も大きな木造仏です。さらに、こんな巨大な仏像が、一本の樫の木から部材を切り出して作られているそうですから驚きです!長谷寺の初代のご本尊が、何らかのご神木を彫って作られていたという寺伝が残っており、それに従っているのでしょう。
また、山深い地域でもありますので、巨木に対する信仰心は篤かったのだと思います。昔の奈良には、このレベルの巨木が存在していたのかと思うとスゴイことですね。
さて、この日の長谷寺では、「西国三十三所結縁ご開帳」の関連で、「長谷寺大観音 特別拝観」が開催されていました。
これは普段は入ることができない本堂の内陣に入れていただいて、「像高10メートル」という、長谷寺の巨大なご本尊「十一面観音像」の足元に行き、しかも足の部分に触れことまでできるんです!仏像関連の番組や写真集では、十一面観音様を見上げるアングルの映像も多いのですが、今なら誰でもその角度から見れるのです。
・・・と書いても、どれだけこの興奮が伝わるのか、全く自信がありませんが(笑)
この特別公開は、500円の入山料を払った後に、別途「1,000円」が納める必要があります。実は、私も行ってみる前には、それほど期待をしていなかったのですが・・・、本当にスゴかったですね!こんなに迫力があるものだとは思いませんでした。
やはり、単純に「大きさ」に圧倒されますし、巨大な本堂の内陣のヒンヤリとした雰囲気もいいんです。すぐ目の前には、驚くほど太い錫杖がありますし、頭上には水瓶を持った太い左腕が見えて、今にも落ちてきそうな、そんな迫力があるんですよね。みなから撫でられて、黒光りしている両方の爪先も、信仰の証としてのリアリティーを感じます。
また、真下から見上げる仏さまの顔は、とても穏やかに見えたり、角度によっては厳しい表情に見えたりと、本堂の外側から遠く離れて見ていた印象とは全く違いました。
とにかく、夫婦二人で飽きもせずに、立ったり座ったり、グルグル周ってみたりと、本当にいいものを見せていただいたと思います。
この日は「長谷寺大観音 特別拝観」の期間中です。普段は入ることが出来ない本堂の内陣で、像高10mのご本尊「十一面観音像」の足元に行けて、しかも足の部分に触れるんです!さすがにかなりの混雑ぶりでした
特別拝観(@1,000円)を申し込んだ方に渡されるもの一式。内陣に入る際に「五色線」を手首にまいてもらって、お札や観音絵などもいただけます
向かって右手側が「本堂」、左手側が「礼堂」(ともに国宝)。いつもはあの位置からご本尊の観音様にお参りするのですが、やはり近くで見上げてみると、その迫力はすごかったです!本当に想像以上の驚きで、かなり感動しました!
舞台造りの本堂・礼堂も力強い!
長谷寺の山側に位置する「本堂」と、舞台造りでせり出すように見える「礼堂」は、どちらも国宝に指定されています。どちらも何度も火災で焼失を繰り返してきたものですから、奈良の建物としてはやや時代が下ってのものですが、どちらも簡素で力強く、さすがに迫力がありますね。
舞台部分に立ってみると、山間のお寺だけにそれほど眺めがいいものではありませんが、紅葉のシーズンなどはさすがに見事です。京都・清水寺ほどではないかもしれませんが、季節のいい時にここに立つだけで、かなり気分爽快になれますね。お花や紅葉で混雑する時もいいですが、ぜひ普通のお天気の日にも出かけてみてください。
本堂脇から西側を見たところ。紅葉シーズンにはこの先全体が真っ赤に染まり、絶好のシャッターポイントになるのですが、この日はまだまだでした
本堂に隣接する形の「礼堂」の内部。現在のものは、1650年に徳川家光の寄進を受けて再建されたものです。薄暗くてよく写りませんが、天井などを見ると、細やかな装飾がほどこされています
礼堂の南側は舞台造りのスペースに。初瀬の山深い土地を切り開いて作られたお寺だということが分かります。この足組みは、いつみてもクールですね!
礼堂の南面。大額の文字は「大悲閣」とあります。正面入母屋作りの渋い建物に、色鮮やかな幕の色合いが映えて、本当に美しい眺めですね
長谷寺の舞台から下界を見下ろしたところ。しかし、これだけの山奥ともなると、特に視界が広がるワケでもありません。ある意味「奈良っぽい風景」といえるかも
舞台部分から五重塔を眺めたところ。長谷寺でも有数のビューポイントで、桜の季節などは絶景でしょう。丸っこい灯籠(長谷型)もいい感じです
地味系の「開山堂」にも注目です!
本堂の西側には、小さな目立たないお堂「開山堂」があります。特別拝観のパンフレットにも、あえて1ページを使って「開山堂へもお詣りしましょう」というページがあるくらいですから、やはり目立たない存在なんでしょうね(笑)
しかし、ここに祀られている「徳道上人」は、長谷寺を開基した「道明上人」のお弟子さんで、ご本尊を彫ったり本堂を作ったりと、長谷寺の基礎を築いた方なのだとか。
この方がいらっしゃらなかったら、きっと長谷寺は今の形とは違ったものになっていたことでしょう。長谷寺の一ファンとして、これからは丁寧にお参りしておきたいと思います!
また、その先にある、長谷寺のシンボルとなっている「五重塔」。昭和になってから作られたもので、そのためかどうかは分かりませんが、とてもバランスが良く、端正な姿に見えるのです。ぜひじっくりと眺めてみてください。
本堂の西側にある「開山堂」。長谷寺の開基は「道明上人」ですが、そのお弟子さんで、ご本尊を刻み、本堂を建立した「徳道上人」を祀ったお堂です。やや地味目なお堂ですが、お寺にとってはとても重要なものなのです
長谷寺「開山堂(かいさんどう)」の前にいらっしゃるお地蔵さん。苔むし方がいいですよね。特に左の眉毛あたりの苔が絶妙です!
1954年に建てられた「五重塔」。戦後の日本で最初に建てられたものなんだとか。バランスがいいのか、遠目に見ても近くで見ても、とても端正な印象がある塔です。周囲の草木と調和している雰囲気もいいですね
しつこいようですが、ここもあと数週間で紅葉に染まります。惜しいチャンスを逃したかも。。。。
長谷寺の「本坊」。中は拝観できるワケではありませんが、とても雰囲気のいい建物ですし、皇室の方々のお手植えの松などもありますので、どうぞお忘れなく
本坊前の辺りから見た本堂。もう少しパワーのあるカメラだったら、もっときれいに写っていると思います(笑)
長谷寺でいただいてきたご朱印です
■長谷寺
HP: http://www.hasedera.or.jp/
住所: 奈良県桜井市初瀬731-1
電話: 0744-47-7001
宗派: 真言宗豊山派総本山
本尊: 十一面観音(重要文化財)
創建: 686年(朱鳥元年)
開基: 道明
拝観料: 500円(特別寺宝展は別途100円)
拝観時間: 8:30 - 17:00(10月-3月は 9:00-16:30)
駐車場: 民間の有料駐車場あり
アクセス: 近鉄大阪線「長谷寺駅」下車、徒歩15分
※西国三十三ヶ所観音霊場の第八番札所
※牡丹・桜・紅葉など、四季折々の花のお寺