2014-08-07

龍神を祀る聖地『室生龍穴神社』と「吉祥龍穴」@宇陀市

龍神を祀る聖地『室生龍穴神社』と「吉祥龍穴」@宇陀市

宇陀市の女人高野「室生寺」の奥に鎮座する、水を司る龍神を祀る『室生龍穴神社』。神さびた境内地のさらに奥には、巨大な岩山の洞穴に龍神が棲むとされる「吉祥龍穴」があります。古くから雨乞いの儀式が行われてきた聖地で、正面に立つと自然と背筋がピンと伸びるような空気感でした。(※追記あり)


勅命により雨乞い儀式を行ってきた古社

宇陀市室生に鎮座する、女人高野『室生寺』。門前を走る28号線を、さらに山中へ1kmほど直進すると、水を司る龍神を祀る『室生龍穴神社』(むろうりゅうけつじんじゃ)が見えてきます。

創建年代は不明ですが、「日本紀略」には、8世紀、皇太子だった桓武天皇の病気平癒を願い、室生の龍穴で祈祷が行われた記録があり、これが本殿のさらに山奥にある「吉祥龍穴」ではないかと考えられています。

そして、無事に病気が完治したことから、勅命によって創建されたのが室生寺です。聖なる地である龍穴が先に祀られており、室生寺はあとから誕生した可能性も高いのだとか。実際に室生龍穴神社では、平安時代ごろまで盛んに雨乞いの神事が催されていたほど社格が高く、室生寺はそれを守る神宮寺だったそうです。

また、奈良市・興福寺の近くの「猿沢池」で、天皇からの寵愛が薄れたことを嘆いた采女が身投げした、という有名なエピソードがあります。猿沢池にはもともと龍が棲むと考えられていましたが(芥川龍之介『龍』にも描かれています)、こうした汚れや騒ぎを嫌い、まずは春日山の山中へ、さらには室生へ移ったと伝えられています。

室生山中の龍が棲まう土地に鎮座し、水を司る「高龗神」(たかおかみのかみ)、または龍を使う女神「善女龍王」を祀る、古来よりのパワースポットです。


室生龍穴神社(吉祥龍穴)@宇陀市-01

水を司る龍神を祀る『室生龍穴神社』。鳥居の両脇、さらに境内のいたるところに杉の巨木がそそり立っています。28号線を女人高野『室生寺』の前を通りすぎ、南東へ1kmほど(徒歩で10分ちょっと)進んだ位置に鎮座しています

室生龍穴神社(吉祥龍穴)@宇陀市-02
境内にあるご由緒。消えている部分が多くて見づらくなっていました。祭神は「高龗神」(たかおかみのかみ)。イザナギノミコトが迦具土(カグツチ)を斬った時に生まれた、火と水を司る神です。天兒屋根命・大山祇命・水波能賣命・須佐之男命・埴山姫命も配祀されています

室生龍穴神社(吉祥龍穴)@宇陀市-03
鳥居からの眺め

室生龍穴神社(吉祥龍穴)@宇陀市-04
巨大な杉が伸びる境内。この右手に社務所はありますが、他のお社と兼務なさっており、常に人がいらっしゃるわけではありません。御朱印などをいただくには、週末にお詣りするといいでしょう

室生龍穴神社(吉祥龍穴)@宇陀市-05
室生龍穴神社の「拝殿」。徳川綱吉の母・桂昌院の援助で、室生寺の般若堂を移築したものとされるとか。扁額には「善如龍王社」とあります

室生龍穴神社(吉祥龍穴)@宇陀市-06
拝殿前の狛犬・吽形。足元に子獅子がいるタイプです

室生龍穴神社(吉祥龍穴)@宇陀市-07
同じく阿形。こちらは足元に鞠を置いたもの。サッカーボールっぽいですね!

室生龍穴神社(吉祥龍穴)@宇陀市-08
瑞垣の向こうに朱塗りの「本殿」(県指定文化財)があります。春日造の一間社。1671年の建立で、春日若宮社の旧社殿を移したものと伝わっているとか。両脇に、道主貴神社・手力男神社も鎮座しています

室生龍穴神社(吉祥龍穴)@宇陀市-10
境内にある「連理の杉」(夫婦杉)。2本の杉の根本が一体化したもの。他の土地でも見かけますが、大きさと神さびた雰囲気に圧倒されます


龍穴への道沿いに「天の岩戸」もあります

室生龍穴神社の境内地を通り過ぎ、さらに奥へと進むと、奥宮に当たる「吉祥龍穴」(きっしょうりゅうけつ)があります。

行き方の説明などがほとんど無いため不安になりますが、28号線を南東(室生寺と反対側)へ500mほど進むと、龍穴に向かう山道が見えてきます。後は一本道ですから、道に迷うこともないでしょう。途中に「天の岩戸」と、それを祀った小さなお社がありますので、手を合わせておきましょう。


室生龍穴神社(吉祥龍穴)@宇陀市-11

室生龍穴神社の境内と周辺の案内図。大雑把にいうと、室生寺→室生龍穴神社は1.0km(徒歩10分)、室生龍穴神社→奥宮「吉祥龍穴」1.3km(徒歩15分)という距離感です。まず拝殿前で参拝してから奥宮へお詣りしましょう

室生龍穴神社(吉祥龍穴)@宇陀市-13
清流・室生川にそって走る28号線。龍が棲まう土地から流れ出た水は、はるか大阪湾へ注ぎます

室生龍穴神社(吉祥龍穴)@宇陀市-14
室生龍穴神社の境内から、500mほど進むと、山道への分岐点が現れます。ここから奥宮「吉祥龍穴」までは800mほどの上り道になります。龍穴の近くの路肩はいくらか余裕があるため、車も停められます

室生龍穴神社(吉祥龍穴)@宇陀市-24
途中にある「天の岩戸」。太陽神である天照大神がここに隠れ、世界が真っ暗になってしまった場所とされるものです。ちなみに、天岩戸と伝わるものは日本各地にあり(Wikipedia)、三重県伊勢市・宮崎県高千穂町・滋賀県高島市などが有名です。奈良県橿原市の天香久山の麓にも「天岩戸神社」 があります

室生龍穴神社(吉祥龍穴)@宇陀市-25
巨石が豪快に2つに割れています。雰囲気ありますね!


龍神の息吹が届きそうな「吉祥龍穴」

天の岩戸からしばらく進むと、道路に面した鳥居と「吉祥龍穴」と書いた看板が見えてきます。鳥居をくぐり川の方向へ降りて行くと、屋根の付いた拝所(遥拝所)があり、そこから川向うにある「吉祥龍穴」を拝する形になります。

この一帯は「室生赤目青山国定公園」(Wikipedia)に含まれており、火山岩の侵食によってできた「柱状節理(ちゅうじょうせつり)」という、柱状の地形が観られます。曽爾村の倶留尊山・鎧岳・兜岳・屏風岩、三重県名張市の香落渓などが有名です。

吉祥龍穴の付近も、せり上がった巨石がそのまま山になったような場所で、ゴツゴツとした岩肌は、どこか龍の鱗のようにも見えます。しめ縄がかかった洞穴からは、確かに龍神が棲まう場所という雰囲気は感じられました。

今から1400年近い昔、この場所で、この穴へ向かって雨乞いの儀式が行われていたのでしょう。その当時は拝所の建物などは無かったかもしれません。古い時代の様子が目に浮かぶようで感動しました!


室生龍穴神社(吉祥龍穴)@宇陀市-15

山道を800mほど進むと、白い小さな鳥居が見えてきます。ここを下ると聖地・吉祥龍穴があります。鳥居の前の道路は路肩が少し広がっていますので、端に寄せて停車できます

室生龍穴神社(吉祥龍穴)@宇陀市-16
つづら折りの道を100mほど進みます。整備されているので歩きやすいですね。ハイキングコースのように見えますが、鳥居をくぐって奥宮へ向かう道ですから、ここも神社の参道になります

室生龍穴神社(吉祥龍穴)@宇陀市-17
水音が少しずつ近づいてきた先に、小さな遥拝所(奥拝殿)があります。ここから対岸の吉祥龍穴を拝みます。ちなみに、ここは板の間になっていて、スリッパも置いてあります。靴を脱いで上がらせていただきましょう

室生龍穴神社(吉祥龍穴)@宇陀市-19
室生龍穴神社の奥宮「吉祥龍穴」。岩が柱状になる「柱状節理」の下、ぽかりと穴が洞穴が開き、しめ縄がわたされています

室生龍穴神社(吉祥龍穴)@宇陀市-20
龍穴をアップで。奥に潜む龍神の息吹が感じられそうですね

室生龍穴神社(吉祥龍穴)@宇陀市-21
この山全体がこうした岩場になっています。じっと眺めていると、龍の背びれやウロコのようにも見えてきます

室生龍穴神社(吉祥龍穴)@宇陀市-18
遥拝所から眺めた龍穴。こうした建物があったかどうかは分かりませんが、千年以上もこの場所で龍神への祈りが捧げられてきた場所です

室生龍穴神社(吉祥龍穴)@宇陀市-22
遥拝所から右手を見ると、巨大な岩盤の上を流れ落ちる滝「招雨瀑」(しょううばく)があります。この日は水量が少なく、あまり滝のようには見えませんでした。巨大な岩盤がすごい迫力です!

室生龍穴神社(吉祥龍穴)@宇陀市-23
滝の上までずっと岩山です。迫力ありました



■室生龍穴神社

HP: 参考サイト(宇陀市観光協会)
住所: 奈良県宇陀市室生1297
電話: 0745-93-2177
主祭神: 高龗神(善女龍王)
創建: 不詳(室生寺よりも古いとも)
拝観料: 境内自由
駐車場: あり
アクセス: 近鉄大阪線「室生口大野駅」から、奈良交通バス「室生寺前」行きで終点「室生寺前」下車。徒歩15分ほど

※実際にお詣りしたのは「2014年7月21日」でした


■参考にさせていただきました

玄松子の記憶│室生龍穴神社
日本経済新聞│龍神伝説にあやどられた清流と洞窟 室生龍穴神社(奈良県宇陀市)
室生龍穴神社(奈良):ぶらり寺社めぐり


■関連する記事


※ 2014/08/27 追記

数日前に「吉祥龍穴」へお詣りした際には、しばらく晴天が続いていたため、「招雨瀑」(しょううばく。招雨滝)の水量が少なく、とても大人しい印象でした。数日後の8月11日、また室生まで来る用事がありましたので、また拝見してきました。

この日は、前日に台風が通りすぎて、龍穴へと続く細い山道は、折れた小枝などが散乱しているような状況です。水量もかなり多く、荒々しい迫力に満ちていました!

<追記>室生龍穴神社(吉祥龍穴)-27

<追記>室生龍穴神社(吉祥龍穴)-28

<追記>室生龍穴神社(吉祥龍穴)-29

<追記>室生龍穴神社(吉祥龍穴)-30










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