丈六の阿弥陀像に祈るぽっくり寺『吉田寺』@斑鳩町
お彼岸のこの日、斑鳩町にある『吉田寺(きちでんじ)』へお参りに行ってきました。コチラは長患いせず、シモ・スソの世話にもならずにぽっくり往生できる「ぽっくり寺」として知られているお寺です。
幸い、まだその方面をお祈りする必要は無い私たちですが、吉田寺さんのご本尊である、丈六の「大和のおおぼとけ」と呼ばれる阿弥陀如来坐像はを拝見してきました。お堂の雰囲気といい、とてもいいお寺でした!
小さく静かな「ぽっくり往生の寺」
吉田寺(きちでんじ)は、天智天皇が妹の「間人(はしひと)内親王」の冥福を祈って発願し、987年に恵心僧都(源信)が開基したお寺です。
恵心僧都は、母親の臨終の際に、除魔の祈願をした浄衣を着せ、安らかな往生を遂げさせたという伝説から「ぽっくり往生の寺」「ぽっくり寺」とされています。吉田寺にお参りして、ご本尊の丈六阿弥陀如来像に祈ると、長く病むことがなくシモの世話にならない、さらに臨終の際にも阿弥陀如来のお迎えが得られ、安らかに極楽往生できるとされています。
現在の吉田寺は規模もそれほど大きくなく、国道25号線から少し入っただけなのに驚くほど静かなお寺でした。
斑鳩町にある『吉田寺(きちでんじ)』。駐車場にある案内看板でも、吉田寺が「ぽっくり往生の寺」と呼ばれていることが説明されています
駐車場のすぐ脇にある「放生池」。毎年9月1日には、念仏を授けた後に、数百羽の鳩と数千尾の魚を逃がす「放生会」(鳩にがし法要)が行われます
吉田寺の山門。寺号の「清水寺」の文字が見えます。それほど大きなお寺ではなく、山門も簡素です
大きく美しい「大和のおおぼとけ」
吉田寺の本堂は、江戸時代に再建された重厚なもの。本堂の拝観料300円を支払って中に入ると、座布団と木魚がズラリと並び、普段から法要が執り行われている様子が伺えます。
本堂の一番奥には、像高515cmの堂々とした「阿弥陀如来坐像(重文)」がいらっしゃって、そのすぐ前まで近寄って拝見することができました。こちらのご本尊は「大和のおおぼとけ」とも呼ばれる大きな像で、光背には見事な「千体仏(小さな仏様が多数)」が見られます。藤原時代の後期の作とのことですが、金色の色彩はまだ鮮やかに残っていて、とても落ち着いた雰囲気の仏様でした。
脇侍はおらず、丈六の仏様一体だけですが、これだけのサイズともなると、決して寂しい印象はありません。とても自然に見えました。
お堂の中はかなり薄暗く、耳が痛くなるほど静か。決して華やかではありませんが、仏様と静かに対峙できるとても素晴らしいお堂でした。
吉田寺の境内。本堂・多宝塔・鐘楼があるくらいで、それほど大きなお寺ではありません。国道25号線から少し入ったところにありますが、驚くほど静かでした
吉田寺の「本堂」。江戸時代に再建されたものです。本堂の奥には、丈六(像高515cm)のご本尊「阿弥陀如来坐像(重文)」がいらっしゃいます。藤原時代作の堂々とした仏様で「大和のおおぼとけ」と呼ばれているそうです
バランスの良い「多宝塔(重文)」
吉田寺の境内には、高さ12mの「多宝塔(重文)」があります。奈良県下では最も古い多宝塔となり、それほど大きくはありませんが、バランスの取れた美しい塔でした。コチラには秘仏の「大日如来像」が安置されており、年に5日間のみ開扉されるのだそうです。
小さなお寺の真ん中に、こんな美しい塔があるとは全く知りませんでしたが、見ておくだけの価値はあると思います。
吉田寺の「多宝塔(重文)」。1463年の銘がある、古色蒼然とした塔です。意外なことに、奈良県下では唯一の重要文化財の指定を受けている多宝塔なのだそうです
多宝塔の内部には、大日如来像(秘仏)が安置されていて、毎年9月1・2日、11月1・2・3日のみ開扉されます
多宝塔を別の角度から見たら、大きなスズメバチの巣が!ハチの姿は見えませんでしたが、かなりの迫力でした
法隆寺方面に向かう途中にどうぞ
吉田寺はかなり小さなお寺ですので、この他には1774年に建立された「鐘楼」くらいしかありません。それほど参拝の時間も掛からないと思いますので、法隆寺方面へお出かけの際に立ち寄って、「ぽっくり往生」をお願いしてくるのもいいでしょう。
また、5分も離れていないところには「龍田神社」もありますので、ぜひ合わせて周ってみてください。
多宝塔の向かいにある「鐘楼」。それほど大きくない簡素なものでした
鐘楼の足元には、何故か色んなサイズの鬼瓦がズラリ。なかなか見事な眺めです!
吉田寺境内にあった手水舎(水は入ってませんでした)と、小さなお社(これが間人内親王の陵か?)
吉田寺でいただいたご朱印です。「丈六阿弥陀佛」と書かれている、ちょっと珍しいパターンですね
■吉田寺(清水山)
HP: 参考サイト(浄土宗ホームページ)
住所: 奈良県生駒郡斑鳩町小吉田1-1-23
電話: 0745-74-2651
宗派: 浄土宗
本尊: 阿弥陀如来坐像(重要文化財)
創建: 987年
開基: 恵心僧都(源信)
拝観料: 境内自由、本堂300円
拝観時間: 9:00-16:00
駐車場: 無料
アクセス: 近鉄「奈良駅」から、奈良交通バス王寺駅(北)行きで「竜田神社前」下車(40分)、徒歩3分
※長く病むことなく安らかにぽっくり往生できる「ぽっくり寺」の別名で呼ばれています