2011-07-10

国宝の十一面観音がおわす『観音寺(大御堂)』@京田辺市

国宝の十一面観音がおわす『観音寺(大御堂)』@京田辺市

京都南部の南山城の古刹『観音寺(大御堂)』で、天平時代の美仏「十一面観音立像(国宝)」にお会いしてきました。奈良・聖林寺の方と雰囲気が似た、凛としながらも優しさが感じられる、素晴らしい仏さまでした!


天武天皇 勅願の古刹。興福寺 別院でした

京都府京田辺市の『観音寺(大御堂)』は、奈良時代に、天武天皇の勅願により法相宗の僧・義淵が創建しました。さらに、聖武天皇の勅願により良弁が伽藍を整え「普賢教法寺」と号し、十一面観音立像を安置。法相・三論・華厳の三宗を兼ねた大寺で、「筒城の大寺」と呼ばれていました。

しかし、たびたび火災に見舞われ、藤原氏の援助により幾度も復興されてきましたが、1437年の火事では、諸堂13・僧坊20余りの建物はほぼ焼失。現在は、1953年に再建された「本堂(大御堂)」と庫裡・鐘楼のみとなっています。

所在地は、JR・近鉄「三山木駅」から2kmほど。広大な同志社大学の敷地に隣接していますが、周囲はのどかな田舎の風景が広がっていて、車通りも少なく静かでした。


観音寺(大御堂)@京田辺市-01

京田辺市の『観音寺(大御堂)』の境内。山門などもなく、山と庭園に囲まれてひっそりと本堂が佇んでいます

観音寺(大御堂)@京田辺市-02
本堂前の様子。この左手に庫裡がありますので、そちらの呼び鈴を押して拝観をお願いします。ご住職が本堂の扉とお厨子を開けてくださいます

観音寺(大御堂)@京田辺市-03
観音寺の「本堂」は、1953年に再建された簡素なもの。この中に、国宝の仏さまがいらっしゃるとは思えないような、侘びた風情ですね

観音寺(大御堂)@京田辺市-04
本堂前の説明文より「真言宗智山派に属し、大御堂とも普賢寺とも呼ばれる。寺伝によると、天武天皇の勅願で義淵僧正が親山寺(筒城寺)を建立し、奈良時代に聖武天皇の勅願により、天平16年(744年)良弁僧正が再び造営し、伽藍を増築、親山寺を取り込み、息長山普賢教法寺と号し、良弁の高弟実忠和尚を第一世とした。また、その時に大御堂本尊として丈六観世音を安置したという。」


天平時代の木心乾漆造に圧倒されます

本堂のお厨子の中には、744年に造られた「十一面観音立像(国宝)」がいらっしゃいます。すぐ目の前にまで近づいて拝見させていただきましたが、全体のバランスも素晴らしく、本当に美しい仏さまでした!ピンとした指先まで気高く、いつまでも見惚れてしまいそうです。



十一面観音立像
天平仏(奈良時代中期)を代表する仏像で、昭和28年国宝指定。天平16(744)年良弁僧正(ろうべんしょうじょう)開基時の仏像。
一木式木心乾漆造(いちぼくしきもくしんかんしつづくり)、漆箔(しっぱく)(下地の上に漆を塗り金箔で表面を加工)仕上げ。

立像は度重なる修理によって形を変えていた部分もあったが、昭和期の高度な補修技術により現状の姿に整えられた。本体では、頭上面中の七面、右耳朶(じだ)、両手の指(右第五指を除く)、本体以外では天衣や持物などが後補されたもの。当初の蓮肉と敷茄子をそのまま使用し、そこに蓮弁と反花(かえりばな)、八稜形の框(かまち)を付け足した六重の蓮華座に、静かに安置されている。

像高:172.7cm
重量:66.0kg


また、本堂前の説明文には、「この像は、等身大の木心乾漆造であり、少年のような初々しい顔だち、引き締まった肉付きの良い体躯など、天平彫刻特有の緊張感がある。奈良・聖林寺の十一面観音とよく比較されるが、ともに官営の造仏所で同じ奈良時代後半頃に製作されたものであろう」と説明がありました。やはり、同じ乾漆造だけに、奈良・聖林寺の十一面観音像と似た雰囲気を感じます。

本堂では、ご住職から様々なご説明をいただきました。やはり、ここへお詣りに来る方は仏像好きな方が多いのでしょう。ご住職も文化財などにとても詳しく、参考になるお話を伺えました。

この像が造られた奈良時代には、大量の漆を用いて造る乾漆像は非常に高価なものでした。そんな仏さまがここにいらっしゃることからも、かつての寺勢が偲ばれます。また、乾漆造は、奈良の都で発達した技術であり、後に寄木造りなどに取って代わられるため、この像が存在は奈良の影響下にあったことの現れとも考えられます。興福寺の別院として栄えたお寺だけに、今では県境をまたいでいますが、南都と近しい関係にあったのでしょう。

また、本堂には、現在、国宝に指定されている十一面観音像の一覧のような資料も作ってありました。奈良の聖林寺・法華寺・室生寺、京都の六波羅蜜寺、大阪の道明寺、滋賀の向源寺(渡岸寺)、そして観音寺のものと、7体いらっしゃるそうです。六波羅蜜寺の御本尊は秘仏となっているためなかなかお会いできませんが、ぜひ全ての方にお詣りしておきたいですね。

御本尊以外にも、室町時代の十二神将像、きれいな地蔵半跏像などもいらっしゃいますので、そちらもじっくりご覧ください。


観音寺(大御堂)@京田辺市-05

この一帯の寺院で販売されているガイドブック「南山城の古寺」(500円)より。観音寺(大御堂)の御本尊「十一面観音立像(国宝)」のお姿です。金箔が適度に剥げ、地の漆が出た様子は、乾漆造の天平仏ならでは。本当に美しい仏さまでした!

観音寺(大御堂)@京田辺市-12
この一帯のお寺で販売されているガイドブック「南山城の古寺」の表紙。観音寺・海住山寺・蟹満寺・一休寺・神童寺など、このエリアのお寺の拝観情報などが掲載された、充実の内容です。お値段は500円。このエリアをまわる際には、購入しておくと役立ちます

観音寺(大御堂)@京田辺市-11
また、このエリアは、十一面観音が多く、白洲正子さんの「十一面観音巡礼」でも取り上げられています。現在、各寺院が参加して「南山城十一面観音巡礼」という巡礼コースも出来ていますので、興味のある方はぜひ!

春には桜と菜の花が咲き乱れるそうです

観音寺の境内には、本堂の他は、庫裡・鐘楼・地祇神社などがありますが、それほど時間はかからないでしょう。春になると、桜と菜の花が見事に咲き乱れるそうですので、その季節にお参りするのが一番かもしれませんね。


観音寺(大御堂)@京田辺市-10

観音寺の鐘楼。手前に「二月堂竹送り復活の地」という石碑がありました。調べてみたら、東大寺・二月堂で行われる「お水取り」に使われる竹は、ここから送られているのだそうです。そんな結びつきもあったんですね!(二月堂竹送り

観音寺(大御堂)@京田辺市-07
本堂の脇にある「地祇(ちぎ)神社」。観音寺の鎮守とされ、大国主命など3柱を祀る式内社です

観音寺(大御堂)@京田辺市-08
地祇神社の様子

観音寺(大御堂)@京田辺市-06
庭園の池には、睡蓮の花が咲いていました

観音寺(大御堂)-御朱印
観音寺でいただいたご朱印です



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■観音寺(大御堂)

HP: 参考サイト(京田辺市観光協会)
住所: 京都府京田辺市普賢寺下大門13
電話: 0774-62-0668
宗派: 真言宗智山派
本尊: 十一面観音(国宝)
創建: 8世紀前半
開基: 義淵、天武天皇 勅願
拝観料: 本堂拝観 400円
拝観時間: 9:00 - 17:00
駐車場: 無料駐車場あり
アクセス: JR・近鉄「三山木駅」より、徒歩25分


■参考にさせていただきました!

観音寺(京田辺)/京都 │ 仏像ワンダーランド
大御堂観音寺(普賢教法寺)










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