2009-10-25

寺社めぐりの楽しみ『御朱印(ごしゅいん)』入門

「御朱印」とは?

寺社をめぐる際の楽しみの一つに「御朱印集め」があります。それぞれの寺社で個性あふれる書をいただけるのですから、いい旅の記念にもなりますし、より神仏のご加護をいただきやすくなることでしょう。

御朱印をいただくということは、寺社めぐりをしている方にとっては常識かもしれません。しかし、まだ御朱印の存在を知らない方も多いようですし、「御朱印とは特別な人がもらう特別な印である」と考えている方もいらっしゃると思います。初めての方にも分かりやすいようにご説明してみました。


「御朱印(ごしゅいん)」とは何か?

「御朱印(ごしゅいん)」とは、寺社でいただける墨書・押印をした印のこと。御朱印自体も見ていて美しいものですし、後から見返してみるととても面白いものですので、寺社を参拝した際には、ぜひ御朱印もいただいてみてください。寺社めぐりの楽しみ方が広がることでしょう。

もちろん、参拝した証としていただくものですから、ただの「スタンプラリー」のようなものではありません。スピードや数を競ったりすることなく、しっかりとお参りしてから、その記念としていただきましょう。

なお、一般的には浄土真宗のお寺では、御朱印をいただくことができませんのでご注意ください(お守りも販売していないところが多いそうです)(参考サイト)。

御朱印の内容はそれぞれですが、中央には「御宝印」が押印され、墨書で寺社名・参拝日・札所などが書かれるものが一般的です。こちらには私たちがいただいてきた御朱印が一覧になっていますので、興味のある方はどうぞ。


ご朱印-清水寺

清水寺でいただいたご朱印です。力強い書ですね。書いてある文字は「大悲閣(だいひかく)」。観音様を祀るお堂のことをこう呼ぶため、色んなお寺でこの御朱印を見ます

08-11-04_興福寺(南円堂)ご朱印
興福寺・南円堂でいただいた御朱印です。力強いというか、荒っぽいというか、独特の字体ですね

伊勢神宮-ご朱印
これは、伊勢神宮・内宮でいただいた御朱印です。御朱印はお寺だけではなく、神社でもいただけます。中央の版と日付のみのシンプルタイプですが、別格の雰囲気がありますね


御朱印代金は「300円」が一般的です

御朱印とは、元々は寺社に写経を納めた際の受付印であったとされており、今でも御朱印のことを「納経印」と呼んだりするところもあります。

寺社の本堂などに「納経所」「御朱印所」と書いてあることも多いため、そこでもらいます。西国三十三所などの大きなお寺では、納経所を独立して設けているところもありますし、普通の規模のお寺では本堂でいただくことも多いです。また、それらしい窓口が見当たらない場合は、お守りなどを販売している方に聞くと教えてくれます。

料金は、多くの寺社で「300円」とされています。また、中には「500円」だったり、「お気持ちをお納めください(志納)」とされているところもありますが、何も書いていない場合には、まず300円だと思っておいて間違いないでしょう。

手順としては、各寺社の「納経所」へ行って「御朱印をお願いします」と申し出ます。すると大抵は「この続きからでいいですか?(前の御朱印の次のページでいいですか?)」などと聞かれますので、特別な指定がある方以外は、そのまま「はい」と答えてください。書きあがったら御礼を述べてから料金を支払いましょう。


清水寺@京都-27

京都・清水寺の境内にある「納経所」の様子です。御朱印に興味がない方にとっては、ただの地味で小さな建物にしか見えないと思いますので、くれぐれもお見逃しなく

興福寺(南円堂)-05
こちらは奈良・興福寺(南円堂)の様子です。大きな札所になると、一日に書く御朱印の数も膨大になりますので、大変な作業でしょう。なお、御朱印帳や軸などの販売をしていることも多いため、ここで購入しておくといいでしょう


まずは「御朱印帳」を購入しましょう

御朱印は、通常は「御朱印帳」と呼ばれる、専用の帳面にいただくのが一般的です。屏風折になっていて、大きめの寺社や、文具店などで販売されています(一冊千円程度から)。中にはオリジナルデザインの表紙になっている御朱印帳を販売している寺社もありますので、気に入ったものを選んでみるのもいいかもしれません。

西国三十三所霊場巡りや四国八十八所霊場巡りなどの場合は、御詠歌などが記載された専用の御朱印帳があったりしますので、巡礼を始められる方は、それを購入しておくのもいいでしょう。

また、霊場巡礼をする際には、巻物のようになった「軸」などに御朱印をいただくこともできます。軸の代金は1万円を超えるくらい、軸への御朱印代は500円とされていることが多いようです。また満願を達した後には、軸を表装して掛け軸とすることもできます。


ご朱印とは-01

我が家の御朱印帳たち。右上のものは奈良・室生寺のオリジナルデザインです。それぞれ、紙質やページ数、サイズまで違うものがありますので、気になる方はご注意を。御朱印帳も表紙の美しさで選んだりすると楽しいでしょう

ご朱印とは-02
現在使用している「神仏霊場 参拝朱印帳」の中身。参加寺院の一覧がチェックシートになっています。ページ数が多くて経済的なんですが、その分だけ重いのが難点。あと、全てのページの右上に「神仏霊場」の印字があるのも、やや美しくありませんね


御朱印帳を両面使うか?片面のみか?

御朱印帳は屏風折になっていますし、紙質は厚手ですので、御朱印帳は裏表の両面を使うことができます。『決定版 御朱印入門』(淡交社)を読んでみると、「表側が終われば、裏側を使用する」と書いてありました。

しかし、ネット上を調べてみると「裏側は使用しない」という方も多いようですね。

例えば、後から御朱印帳をきれいに裁断して額に入れて飾る・・・という使い方をしようと思えば、両面を使用することは避けた方がいいでしょう(そんな方がいらしゃるのかどうかは分かりませんが。それなら最初から一枚の用紙に御朱印をいただいた方がスマートだと思います)。

一般的な御朱印帳では、片面だけで20数ヶ所の御朱印がいただけるだけのページ数があると思いますので、よほどの数を周られる方以外は、「片面のみを使用する」と考えておいてもいいのかもしれません。いずれにしても、それほどの問題はないと思います。


ご朱印とは-03

御朱印帳の中は、こんな屏風折になっています。全てのページが埋まってから広げると、かなり壮観な眺めになりますので、ぜひのんびりと御朱印集めを楽しんでみてください


御朱印帳を忘れても別紙でいただけます

御朱印帳は、どこの寺社でも販売されているものではありません。ある程度の大きなところにしか置いてありませんので、ページが残り少なくなったら次の分を購入しておいた方がいいでしょう。

また、御朱印帳を持っていくのを忘れたり、急にお参りすることになったりした場合には、一枚の用紙に御朱印をいただくこともできます。後から御朱印帳に貼り付けられますので、「御朱印帳を持っていないから参拝しない」ということは避けられます。

寺院と神社とで御朱印帳を分けている方もいらっしゃると思いますが、特に厳密に区別しなくてはいけない理由は無さそうです。この辺りはお好みでどうぞ。


ご朱印とは-04

御朱印帳が切れてしまったため、大阪・道明寺さんの御朱印は別の用紙にいただきました。後から御朱印帳にのりで貼るのもよし、これだけを集めて額に入れたりするのもいいでしょう


より詳しくは『決定版 御朱印入門』を

なお、御朱印についてもっと詳しく知りたい方は、『決定版 御朱印入門
』(淡交社)という書籍をご覧ください。御朱印についての情報が事細かに解説してあります。



内容紹介
神社仏閣で頂くことができる御朱印は、御納経とも呼ばれ、元々は写経を奉納した証として宝印をいただいたものでした。現在では気軽に頂くことができますが、それでもやはり記念スタンプとは異なり、大切にしたいものです。近頃では修学旅行生や外国人観光客も集めている御朱印。御朱印を知らない人、これから始めてみようという人、すでに巡っている人まで、幅広く御朱印の魅力を伝える、これまでになかった御朱印紹介本。百数十社寺の御朱印を掲載しています。御朱印と霊場の歴史についての解説は、八木透(佛教大学文学部教授)氏が担当。

内容(「BOOK」データベースより)
「御朱印」を御存知でしょうか?寺院や神社でいただくことができる御朱印は、元々、参拝者が経典を写して、その写経を寺院に納めて祈願した証としていただくものでしたので、単なる「記念スタンプ」とは異なります。御朱印の歴史やいただき方の解説、百数十ヶ寺におよぶ様々な御朱印を掲載。墨色と朱色が織り成す御朱印を、ここに一斉御開帳。西国三十三所、四国八十八ヶ所など、御朱印をいただける霊場も紹介。


目次はコチラ。

■御朱印鑑賞 寺院編
■第一章 御朱印の集め方
■御朱印をいただくときの注意点
■御朱印鑑賞 神社編
■第二章 霊場を巡る
■御朱印鑑賞 さまざまな御朱印
■第三章 多種多様な御朱印


寺社を巡って御朱印をいただく際の手順などが説明されていますが、もともとそれほどややこしいものではありませんので、その解説は数ページのみ。

また、御朱印に書いてある内容が説明してあったりと、御朱印を楽しむための入門書としては最適ですが、これ一冊で寺社巡りのガイドブックになるワケではありませんのでご注意ください。

また、様々な寺社の御朱印が掲載されていたり、全国にある様々な霊場巡りが紹介されていたりしますが、もう寺社巡りを楽しんでいる方にとっては、それほど実用性は高くないかもしれません。あくまでも入門書として考えた方がベターでしょう。

個人的に面白かったのが、「<第三章>多種多様な御朱印」の項目です。

寺社などの最深部にある奥の院などに参拝した者だけがいただける「奥の院・奥の宮」
富士山山頂など、霊山として崇められる「山頂」
西国三十三所などの札所で申し出るといただける「御詠歌」
歴代天皇の天皇陵の印で、各地の陵墓監区事務所でいただける「天皇陵」

など、「こんなところでも御朱印がいただけるのか」と、私の知らないこともいくつもありました。

図書館に置いてあるところも多いと思いますので、まず一度探してみてください。


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■御朱印についてより詳しくはコチラ!
御朱印マニア
御朱印・日本の旅
御朱印帳
東本願寺 - 真宗(念仏)の教え - リーフレット - 朱印をしない理由


※ 2011/01/14 追記

ご朱印に関する書籍『御朱印ブック』が発売になりました。御朱印を集め始めようという方から、もうすでに親しんでいる方まで、幅広くオススメできる良書ですので、ぜひ本屋さんなどで探してみてください。

●レビューはこちら
【書評】分かりやすいオススメ御朱印本『御朱印ブック』

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