2014-06-24

巨大な心礎が埋まる国指定史跡『尼寺廃寺跡』@香芝市

巨大な心礎が埋まる国指定史跡『尼寺廃寺跡』@香芝市

香芝市尼寺にある飛鳥時代に創建された寺院跡『尼寺廃寺跡』。塔跡・金堂跡など少しずつ整備されてきていますが、まだほとんど原っぱです。しかし、この塔跡では、心柱を支える日本最大級の「心礎」が見つかっています。約3.8m四方の巨大な石が足元に埋まっている……という事実を想像して楽しみましょう!


飛鳥時代のお寺跡。今は静かな広場です

香芝市尼寺に、飛鳥時代創建の寺院跡『国史跡 尼寺廃寺跡』(にんじはいじあと)があります。北と南、それぞれに廃寺跡が見つかっているため、どちらかは尼寺ではないかという説も。尼寺北廃寺は史跡公園として整備が始まっています。

近くに行っても特に道案内などもありませんので、場所が分かりづらいのですが、王寺町に入る直前、国道168号線「王寺ニュータウン入口」交差点を曲がってすぐ左手です。がらんとした空き地になっていて、塔跡・金堂跡の場所が示してある程度です。

尼寺廃寺の特徴を簡単に説明してみます。

●飛鳥時代(7世紀後半)に創建された寺院跡。奈良時代の後半まで存続した後に廃寺に
●聖徳太子が建立した「葛木寺」跡とも、敏達天皇の孫・茅渟王にまつわる寺とも言われている
●伽藍配置は「法隆寺式」。北に金堂、南に塔、東に中門を配置し、回廊で囲んでいる
●塔跡の調査で、日本最大級(約3.8m四方)の「心礎(しんそ)」が見つかった
●心礎に柱を立てた「柱座」の部分から、耳環・水晶丸玉・ガラス丸玉など、多彩な舎利荘厳具が出土

注目されたのは、巨大な「心礎」です。基壇下に埋められて塔を支えた石材ですが、約3.8m四方・厚さ1.8mもある、8畳間ほどもある巨大な石を使っています。そのまま埋め戻されていて、実物を見ることはできませんが、足の下にそんな巨石があるかと思うだけで驚きますね!


史跡尼寺廃寺跡@香芝市-01

香芝市尼寺にある、国史跡『尼寺廃寺跡』。古い写真では、畑の真ん中にぽつりと塔跡があるように写っていますが、周辺の用地買収を終え、広い原っぱのようになっています。国道168号線から少し入っただけですが、静かなものです

史跡尼寺廃寺跡@香芝市-03
「国指定史跡 尼寺廃寺跡

尼寺廃寺跡は、香芝市尼寺に所在する飛鳥時代に創建された寺院跡です。尼寺廃寺跡には、礎石が残る基壇が南北約200m隔てて存在することから南北2つに分かれる寺院跡と考えられています。

尼寺北廃寺は、北に金堂、南に塔、東に中門を配し、それを回廊で囲む東向きの法隆寺式伽藍配置で、その規模は南北約70.8m、東西約44.3mあります。

平成7年度に実施した塔跡の調査では、地下約1.2mで約3.8m四方の日本で最大級の規模を誇る心礎がみつかり、心礎の柱座内からは耳環12点、水晶丸玉2点、水晶切子玉2点、ガラス丸玉1点、ガラストンボ玉1点、ガラス小玉1点などの多彩な舎利荘厳具が出土しました。

尼寺廃寺跡は、奈良盆地における飛鳥時代後半の造営者一族の動向等の政治状況をはじめ、仏教文化を考える上で重要であることから平成14年3月19日付けで国史跡に指定されました。」

史跡尼寺廃寺跡@香芝市-05
何もないスペースが尼寺廃寺の金堂跡。南北約16m・東西10mの規模だったとか

史跡尼寺廃寺跡@香芝市-06
こちらが尼寺廃寺の塔跡。手前にある、おそらく何かを書き入れるためと思われる石碑も、まだのっぺらぼうでした(笑)

史跡尼寺廃寺跡@香芝市-08
塔跡には、巨大な心礎を含めて13の礎石が遺されています。ここの地下約1.2mには、約3.8m四方という巨大な心礎の岩がそのまま眠っています!日本最大級ですよ!

史跡尼寺廃寺跡@香芝市-09
心礎は埋め戻されていますが、その様子が表面にプリントしてあります。中央の花びら型のようにも見える「柱座」は、太い心柱と、その周囲に4本の支えの柱を据えたもの。ここには湿気防止のためと思われる木炭が敷き詰められていて、その上からガラスや水晶などの荘厳具が埋められていたとか。末永く繁栄することを願いながら、比較的早い時期に廃寺となってしまったのですから切ないですね

史跡尼寺廃寺跡@香芝市-11
隣接する小高い丘には「白山姫神社」が鎮座し、そのお隣に「香塔寺」という寺院があります。Googleのマップでは「尼寺廃寺跡」では表示されないようですので、白山姫神社の名前で検索するといいでしょう


二上山博物館で出土品なども観られます

香芝市の『二上山博物館』(紹介記事)では、尼寺廃寺跡に関して分かりやすい展示があります。

塔の心柱の実寸台の模型、柱座の模型、発掘された舎利荘厳具の実物が展示してあり、その規模の大きさが実感できます。約4km、車で10分少々とやや距離がありますが、ぜひ合わせてご覧ください。


史跡尼寺廃寺跡@香芝市-12

「香芝市二上山博物館」にある尼寺廃寺跡のコーナー。巨大な心柱の周りを、三日月形の4本の柱が囲んでいる姿が復元されています。基壇のサイズなどから、この塔は法隆寺五重塔(総高32.45m)よりもやや大きいくらいだったと考えられるとか!

史跡尼寺廃寺跡@香芝市-13
巨大な心礎に設けられた柱座の模型。上のパネルに写っているように、大きくひび割れていたそうです。このように心柱が地表に接しているのは、揺れや湿気に弱い古い形式。床面まで、1層目の天井までと、時代が下るごとに地面から遠くなる傾向にあります。除湿のために木炭がまいてあったそうですが、それでも根本から腐っていったでしょうね

史跡尼寺廃寺跡@香芝市-15
尼寺廃寺跡から出土した「舎利荘厳具」(市指定文化財)などは実物が展示してあります。装飾品である耳環は鮮やかな金色ですし、水晶玉やガラス玉もきれいに残っていますね



■尼寺廃寺跡

HP: 参考サイト(文化遺産オンライン)
住所: 香芝市尼寺
駐車場: 空き地に駐車可
アクセス: JR和歌山線「畠田駅」より徒歩10分


■参考にさせていただきました

奈良歴史漫歩No.030 尼寺廃寺の巨大な心礎
尼寺北廃寺と南廃寺 (香芝市尼寺) - ならリビング.com
大和尼寺廃寺


■関連する記事






  • Twitterでフォローする
  • Facebookページを見る
  • Instagramを見る
  • ブログ記事の一覧を見る







メニューを表示
ページトップへ