日本最大の塑像仏がいらっしゃる『岡寺』@明日香村
明日香村にある西国三十三所の第七番札所『岡寺(龍蓋寺)』へ行ってきました。
この日は、西国三十三所の秘仏ご開帳巡りとしてお邪魔したのですが、境内にはシャクナゲがほぼ満開!そして牡丹も咲き始めているなど、色々と見どころが多い一日になりました!
飛鳥『岡寺(龍蓋寺)』の縁起は
飛鳥にある『岡寺』は、奈良県明日香村の「岡山」という小高い丘の中腹に位置しています。名称はやや複雑で、法名は「龍蓋寺(りゅうがいじ)」、院号は「真珠院(しんじゅいん)」、山号は「東光山(とうこうさん)」、そして通称が「岡寺(おかでら)」となります。
その創建は詳しく判明しておらず、寺伝では、約1300年前に、天智天皇の勅願によって「義淵僧正」が建立したことになっています。若い頃に天智天皇に引き取られ、岡宮で草壁皇子とともに育てられた後、この地を与えられ岡寺を建立しました。
義淵僧正は、日本の法相宗の祖とされる人物であり、門下には東大寺創建に尽力した「良弁」や「行基」などがおり、江戸時代までは法相宗の本山『興福寺』の末寺でしたが、それ以降は『長谷寺』の末寺となり、真言宗豊山派に属するようになっています。
西国三十三ヶ所観音霊場の第七番札所であり、また「日本最初やくよけ霊場」としても信仰を集めています。
シンプルで美しい「仁王門」
岡寺は、小高い丘の上にあるためやや急な傾斜もあります。最初に見えてくる「仁王門」は重要文化財に指定されていますが、これは明日香村の建築物としては唯一なんだとか。文化財指定を受けている遺跡などは多いのですが、さすがにそこまで古い建物はそれほど残っていないんですね。
1612年の建立で、シンプルな作りですが、朱色の具合も美しい門です。お地蔵さんらしきものがズラリと並んでいる様子も必見ですね!
西国三十三所の七番札所『岡寺』の「仁王門(重文)」。1612年の建立で、明日香村にある建物として唯一、重要文化財に指定されています。とても堂々とした楼門で、朱色の落ち具合がいいですね
岡寺の堂々たる「仁王門」。何故か仁王さんの前には、お地蔵さんらしきものが並んでいますが、、、、
門の突起部分に布を被せて、お地蔵さんらしく見せていたようです。みんな並んで仁王さんを見上げているようで、ちょっとシュールですね
岡寺の仁王門の阿形。作成年代は分かりませんが、比較的新しい時期のものだと思われます。力強い姿でした
仁王門をくぐると、高台の上には寺務所のような建物が。この辺りだけ見ると、高級旅館のようですね
どっしり落ち着いた雰囲気の「本堂」
仁王門をくぐり、シャクナゲの花などを見ながら短い石段を上ると、どっしりと落ち着いていた雰囲気の「本堂」が見えてきます。本堂の建築には、1805年から30年以上もかかったといいますから、資金集めなどが難航していたんでしょうね。
この日は、シャクナゲが満開だったこともあり、多数の参拝客の姿が。西国三十三所の巡礼の方の姿も見られました。
岡寺の本堂周辺。それほど広い敷地ではありません。牡丹が咲き始めで、シャクナゲとともに美しい姿を見せていました
境内の高台になっている部分から本堂を見下ろしたところ。お寺自体が飛鳥を一望できる丘の上に建てられているため、本堂の周囲は鬱蒼とした森になっています
さらに本堂を引いて見た図。それほどお堂が立ち並ぶというようなお寺ではないので、拝観にはそれほど時間がかからないでしょう
ご本尊は日本最大の塑像(土製)の仏様!
また、岡寺の本堂の内部は、かなり渋くてかっこいい作りなんです!
中央には、日本最大の塑像(土でできた像)の仏様「如意輪観音座像(重文)」が鎮座しています。この像は、いわゆる一般的にイメージされるような、六臂(手が六本)でどこか艶かしいという如意輪観音さんとは全く違います。
像高4.85m、白っぽい色合いの巨大仏で、岡寺ホームページによると、奈良の大仏さん、長谷寺の十一面観音さんと並んで、「日本三大仏」の一つに挙げられているのだとか!
しかも、こんな大きな像が、当初は左足を踏み下げて坐る「半跏像」だったというのですから面白いですね(現在は結跏趺坐(あぐら型)です)。頭部はほぼ当初のまま残っていますが、体の部分はこのような後に補修された部分が多いのだそうです。
どことなく武骨な感じさえある仏様ですが、とにかく迫力があります。特にこの日は、西国三十三所の特別ご開帳の期間中だったため、ご本尊のすぐ脇の扉を開け放ってあったため、すぐ間近に拝見できました。
近くで見るとますます大きさを実感できますし、塑像ならではの素朴さのようなものを感じます。自重で崩れやすい塑像でありながら、こんな大きな像が残っているんですから、スゴイものです。「奈良は地震が少ないんだなー」と改めて感じますね。
また、ご本尊の両脇には脇侍が配置されているのですが、それが床面ではなく、通路の上に持ち上がっていて、丸窓になっているのも面白いんですよね。この模様は岡寺ホームページのトップページのFLASHの中に登場していますので、ぜひ注意して見てみてください。
本堂外からの一枚。ご本尊の日本最大の塑像「如意輪観音座像(重文)」の姿と、ご縁を結べる紐が見えます。この日は特別拝観の時期に当たっているため、すぐ脇の扉が開け放たれて真横から拝見できました。高さ4.85mの巨大仏は大迫力でした!
岡寺名物(?)の「やくよけぜんざい(@500円)」。岡寺は「日本最初やくよけ霊場」を名乗るお寺ですが、小豆の持つ赤色は密教では大事な色とされていて、このぜんざいを周囲の方にふるまうことで、みんなの厄除けとなるのだとか
岡寺の絵馬には、如意輪観音さんのお姿が。しかし、塑像のご本尊さんとは全く似ても似つかないような気もします(笑)
明日香村のランドマーク「三重塔」
岡寺は、多くのお堂が立ち並ぶ・・・というタイプのお寺ではありませんので、参拝にはそれほど時間は掛からないでしょう。
最大の見どころは、1986年に514年ぶりに再建された「三重塔」。それほど高いものでも、古いものでもありませんが、夜にはライトアップされ、明日香村のランドマークのような存在になっています。
毎年10月第3日曜日の「開山忌」に、内部の壁画が公開されています(先回行った時に拝見してきました)。
1986年に514年ぶりに再建された「三重塔」。それほど大きな塔ではありませんが、明日香村の広い範囲から姿を見ることができます。軒先には「琴」が吊るされている、珍しいつくりで、毎年、10月第3日曜日一度だけ内部が公開されます
本堂前にあるこの「龍蓋寺(りゅうがいいけ)」。岡寺の開祖・義淵僧正が龍を封じ込めた池だと言われていて、「龍に蓋をした池」ということからこの名前となっています
本堂の脇に立つ「開山堂」。前面はガラス張りになっていて、阿弥陀三尊像がいらっしゃいました。元は「多武峰妙楽寺(今の談山神社)」より移築されたお堂で、元は護摩堂だったそうです
昭和始めの建立という小さなお堂「大師堂」。その前にいらっしゃるのは幼い頃の弘法大師さん「稚児大師」さんです
境内には約3,000株のシャクナゲが!
岡寺の境内では、この日は石楠花(シャクナゲ)の花がほぼ満開でした!シャクナゲというと、奈良では「室生寺」が有名ですが、岡寺のものもなかなか見事。境内には約3,000株ものシャクナゲがあり、毎年4月中旬-5月初頭にかけてが見頃になるようです(岡寺HPにはシャクナゲのフォトギャラリーもありました)。
また、まだ少し早かったようですが、皐月や牡丹などもありましたので、四季折々の表情が楽しめるようです。
境内には、華やかな石楠花(シャクナゲ)が咲き乱れていました。あまりシャクナゲのお寺というイメージはありませんでしたが、かなり見事です
石段脇には、見事なシャクナゲが。カメラを持った方たちが集まっていて、思い思いに撮影していました
樹齢500年の皐月「緋乃司(ひのつかさ)」。かなり立派な木でしたので、シーズンになったらキレイでしょうね!開花時期は5月中旬-6月中旬ごろだと思われます
まだ時期には少し早いようでしたが、見事な牡丹も咲いていました
岡寺でいただいたご朱印です。ちょっと・・・曲がってる?
■岡寺(龍蓋寺)
HP: http://www4.kcn.ne.jp/~balance/
住所: 奈良県高市郡明日香村岡806
電話: 0744-54-2007
宗派: 真言宗豊山派
本尊: 如意輪観音(重要文化財)
創建: 不明
開基: 義淵僧正(伝)
拝観料: 300円
拝観時間: 8:00-17:00(12月-2月の間は16:30まで)
駐車場: あり(民営の有料駐車場 500円)
アクセス: 近鉄「橿原神宮前駅」より、奈良交通バス「岡寺」下車、徒歩10分
※西国三十三ヶ所観音霊場の第七番札所
※日本最初厄除けの寺