2010-03-20

久米仙人の逸話が残る真言宗発祥の寺『久米寺』橿原市

久米仙人の逸話が残る真言宗発祥の寺『久米寺』橿原市

平城遷都1300年祭/~祈りの回廊~ 奈良大和路 秘宝・秘仏特別開帳」の一環として、重要文化財である「多宝塔」初層開扉が行われている『久米寺』へ行ってきました。

花の寺として、5月の練供養の寺として有名な久米寺ですが、なかなか見どころも多くてとても楽しめました!


弘法大師が大日経を感得したお寺です

橿原市にある『久米寺(霊禅山)』は、あじさいとつつじが見事な花の寺として知られています。

寺伝では聖徳太子の弟「来目皇子(くめおうじ)」の開基とされています。眼病を患った皇子がこの地で祈願したところ、薬師如来が降臨して病を完治したことから、同地に伽藍を整備したのだとか。また、朝廷の軍事を担っていた久米部の氏寺だったという説もあり、7世紀後半から存在していたことは確実視される古刹です。

また、「今昔物語集」などに収録された、久米仙人による久米寺開基の逸話も有名です。

久米仙人は、吉野の龍門寺で修行し飛行術を体得。ある日、飛行中に川で洗濯をしている娘のふくらはぎに見とれたために法力を失い、地上に落ちてしまいます。その娘と結婚して幸せに暮らしますが、聖武天皇の大仏殿建立の際に仙術をもって、大木巨石を東大寺境内に運び込んだのだとか。その功を認められ、聖武天皇より久米寺の土地を与えられたとされています。

さらに、若き日の弘法大師が久米寺の宝塔内で大日経を感得したという逸話も残されているため、久米寺は「真言宗発祥の地」と名乗っており、色々と逸話の多いお寺なのです。

現在は、あじさいとつつじの名所として、また毎年5月3日に行われる練供養「久米レンゾ(練供養)」のお寺として、「大和七福八宝めぐり」の寿老神を祀るお寺として知られています。


久米寺@橿原市-01

橿原市にある『久米寺』。東大寺の創建に関わった久米仙人と縁の深いお寺です。弘法大師がここ久米寺の宝塔内で大日経を感得したとされているため「真言宗発祥の地」と名乗られています。また、あじさいとつつじのお寺としても知られています

久米寺@橿原市-02
この日の久米寺では「平城遷都1300年祭/~祈りの回廊~ 奈良大和路 秘宝・秘仏特別開帳」の一環として「多宝塔(重文)」初層特別開扉が行われていました(2010年5月31日まで)。外から見るだけではなく、重要文化財の塔の内部に入れるチャンスです!

久米寺@橿原市-03
久米寺の仁王像「阿形」。木造の比較的新しいもののようですが、迫力がすごいです!髪が逆立って、まさに「鬼のような形相」でした

久米寺@橿原市-04
久米寺の仁王像「吽形」。阿形と比べると静を感じますが、見開かれた目と力強い腕、割れた腹筋が見事!

久米寺@橿原市-07
久米寺の本堂前にいらっしゃる「久米仙人」の像。東大寺の建立の際に、仙術によって大木や巨石を東大寺へ運び込んだのだとか。その功により聖武天皇より久米寺の土地を与えられました。また、村の娘さんのふくらはぎに見とれて法力を失うという、お茶目な一面もお持ちの方です(笑)

久米寺@橿原市-11
久米寺の絵馬。長寿・縁結びの久米仙人バージョンには、空を飛ぶ久米仙人とふくらはぎがまぶしい娘さんの絵が。長生きできそうな絵柄ですね!お隣はナマズ柄の絵馬ですが、久米寺とナマズの関係は不明です(ややピンボケですみません)


丈六のお薬師さまと個性的な仏像たち

久米寺の「本堂」は江戸時代の再建のもので、外見はやや簡素ですが、内陣の天井には一面に梵字が描かれており、真言密教のお寺らしい雰囲気がありました。

御本尊は眼病に霊験あらたかとされる、お顔がハッキリとした(目がギョロっとした)やや今風の薬師如来さま。丈六の大きな仏像ですが、全体が見えないため、逆に通常の丈六仏よりも大きく見えます。御本尊の前には、キレイな日光月光菩薩像と、聖徳太子像、その弟で久米寺の開基ともされる来目皇子像がいらっしゃいました。

御本尊の背後の通路にも仏像がズラリと並んでいますが、久米仙人が自らの顎ひげと歯を植えて自刻したと伝わる「久米仙人坐像」がいらっしゃいます。実際に人間のものらしき毛が植えられていて、かなり変わった雰囲気でした。

「大和七福八宝めぐり」の寿老神は、やや地味な印象の仏像でした。他の仏さまたちに個性派が揃っているため、見落としたりしないようにご注意ください!


久米寺@橿原市-05

久米寺の境内。それほど広くはありませんが、本堂、多宝塔の他に3つの小堂があります。紫陽花やツツジで有名なお寺ですが、この日はユキヤナギと早めの桜が満開でした

久米寺@橿原市-08
久米寺の「本堂」。江戸時代の再建です。御本尊は、眼病に霊験あらたかとされる、丈六の薬師如来像さま。ただでさえ大きなお薬師さんですが、まるで蔵のような大きな厨子の中にいらっしゃって一部分しか見えないため、より大きく感じられました

久米寺@橿原市-09
本堂の雨といを受ける部分。あぐらをかいて背中でどっしりと受けている姿がいいですね。これは邪鬼になるんでしょうか?


多宝塔の内部はまるで「曼荼羅」のよう!

また、この日は「平城遷都1300年祭/~祈りの回廊~ 奈良大和路 秘宝・秘仏特別開帳」の一環として、重要文化財である「多宝塔」初層開扉が行われていました(2010年5月31日まで)。

「弘法大師が久米寺の宝塔内で大日経を感得した」とされていますが、その塔はもう失われており、今建っているのは、1659年に京都・仁和寺より移築されたものです。

本堂の拝観を終えた後、お寺の方に案内されて多宝塔へ入ると、中央には大日如来坐像がいらっしゃいます。普段は公開されていない仏さまだけに、金箔もよく残っていて、とても鮮やかでした。塔内部は極彩色で、まるで曼荼羅の中に紛れ込んだかのよう!感動的でした!

重要文化財に指定された塔ですから、初層を外から眺めるだけでも十分に嬉しいのに、その内部に入ることができるのですから、ぜひ公開期間中に体験してみてください。


久米寺@橿原市-12

久米寺の「多宝塔(重文)」。すぐ隣に以前塔が建っていた「大塔礎石」がありますが、その塔が失われてしまったため、1659年に京都・仁和寺より移築されました

久米寺@橿原市-13
桃山形式を残すという美しい多宝塔です。この日は特別開扉だったため、初層の内部に入れていただけましたが、内部の絵や彩色なども美しく残されていて、まるで曼荼羅の中に紛れ込んだかのようでした!

久米寺@橿原市-14
久米寺の多宝塔の御本尊は、もちろん大日如来坐像ですが、一般的な智拳印(忍者の忍術ポーズのようなもの)ではなく、坐禅の時に結ぶような「法界定印(ほっかいじょういん)」でした。調べてみたところ、胎蔵界大日如来さまはこの印を結ぶものなのだとか


金色の大日如来像など見どころ多めです

久米寺の境内はそれほど広くなく、本堂・多宝塔の他に3つの小堂があるくらいです。本堂脇のまだ真新しい金色の大日如来像も見事でしたし、駐車場近くにある手水場の水の吹き出し口もとてもユニークな形状でしたので、ぜひじっくりとご覧ください。

境内は無料のため、つつじなどの花の季節には気軽に立ち寄ってみたいですね。ただし、あじさい園は有料(大人400円)となりますのでご注意ください!


久米寺@橿原市-16

久米寺の「観音堂」。青空とユキヤナギの花で華やかでした。向かって右手には、同じようなサイズの「大師堂」もあります

久米寺@橿原市-18
境内奥手には、金色に輝く大日如来像がいらっしゃいます(この手の形が智拳印です)。仏像の当初の姿を見るようですね。青空に映えてとても美しいお姿でした

久米寺@橿原市-19
金色の大日如来像の隣には、石仏が並んでいました。中央の薬師・観音・大日さんたちは新しいようですが、両脇の不動明王とお地蔵さんは古いもののようです。一箇所にまとめてお祀りしたんでしょうね

久米寺@橿原市-20
本堂脇にある「あじさい園」。6月上旬から7月上旬が見頃で、入園料は大人400円。約40種、4,000株が植えられているそうです

久米寺@橿原市-21
駐車場の隣に立つ渋い建築物(合掌道場とありました)の前には、ヤマザクラが満開でした。花のお寺は四季折々で楽しめていいですね

久米寺@橿原市-22
久米寺の手水。全体で見るととても簡素ですが。。。。

久米寺@橿原市-23
手水の水の吹き出し口が鯉らしきお魚です!上に仏さまが乗っていたりと、とにかく不思議ですね。色んなパターンを見てきましたが、このタイプは初めてです!


※ 2013/05/13 追記

2013年5月3日に行われた『久米寺練供養(久米レンゾ)』を拝見してきました。菩薩面も衣装もきらびやかで美しいものですが、檀家さんや地元の方も参加したのんびりとした雰囲気が特徴です。最後には来迎橋から福餅まで撒かれて、荘厳ながらとても楽しい法要でした!



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■久米寺(霊禅山)

HP: 参考サイト(Wikipedia)
住所: 奈良県橿原市久米町502
電話: 0744-27-2470
宗派: 真言宗御室派
本尊: 薬師如来
創建: 不明
開基: 来目皇子(聖徳太子の弟。寺伝による)
拝観料: 境内無料。本堂拝観:400円 (アジサイ園:400円)
拝観時間: 9:00 - 17:00
駐車場: 無料駐車場あり(10台分)
アクセス: 近鉄「橿原神宮前駅」から徒歩5分

※「大和七福八宝めぐり」の札所(寿老神)です


■参考にさせていただきました!

アジサイの写真などが掲載されています
久米寺 (奈良の宿泊予約 料理旅館大正楼)

5月3日に行われる練供養「久米レンゾ」の様子
橿原市-観光-歳時記-久米寺練供養










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