今も残る巨大寺院『根来寺』@和歌山-その1(大塔)
和歌山方面へ出かけた途中で、前から行ってみたいと思っていた『根来寺(ねごろでら)』へ立ち寄ってみました。歴史の中で「豊臣秀吉の根来攻め」として登場することで有名なお寺ですが、決して攻め滅ぼされたりせず、現在でも広大な境内を所有する巨大寺院だったのです!
※あまりに画像が多いので、計3回に分けて掲載します。
■今も残る巨大寺院『根来寺』@和歌山
<1.大塔編> │ <2.光明殿編> │ <3.不動堂編>
豊臣秀吉の「根来攻め」で有名なお寺です
根来寺は「覚鑁(かくばん)上人」によって、1130年に開かれたお寺です。元は高野山の地で、鳥羽上皇の庇護を受けて隆盛を誇ったのですが、高野山の一派と諍いが起こり、現在の地(和歌山県岩出市根来)へ移ってきました。
日本の歴史の中で、最も「根来寺」の名前を聞く機会が多いのは、やはり戦国時代の豊臣秀吉の「根来攻め」のエピソードでしょう。
室町時代末期には数百の堂宇が立ち並ぶ一大宗教都市を形成していた根来寺は、「根来衆」と呼ばれる1万人もの僧兵を擁する一大勢力になりました。さらに、種子島から伝来したばかりの火縄銃が持ち込まれ、鉄砲の生産地となった雑賀の鉄砲隊とともに、織田信長と豊臣秀吉に抵抗を続けたのです。
1585年、ついに豊臣秀吉による根来攻めが行われ、大師堂・大塔などを残して、壊滅状態に陥ってしまったのです。
江戸時代に入り、紀州徳川家の庇護を受けて、その一部が復興され、現在は葛城連峰の端に、「350万平方メートル」という広大な境内を有する大寺となっています。
敷地は「350万平方メートル」と広大!
さて、こんな歴史を持つ根来寺ですが、正直なところ、大学受験の際に日本史を懸命に勉強してきたはずの私のイメージの中では、「豊臣秀吉に攻め滅ぼされたお寺」とインプットされていました。さすがに「根来寺跡」とまではいかないものの、それほど大きなお寺であるはずがない、という思い込みがあったんですよね。
ところが、現代でも根来寺はかなりの大寺院でした!
何と言っても「350万平方メートル」ですからね。あまりに見どころが多すぎて、何回かに分けて写真を掲載しなくてはいけないくらいの規模ですから!
和歌山『根来寺』の境内案内図。ある意味では「歴史の埋もれたお寺」というイメージもありましたが、今でもかなりの大寺院です
「光明殿」前の鐘楼。白壁タイプのものは、奈良ではあまり見かけません
根来寺境内の参道。山間のお寺ですので全体像は見渡しづらいですが、敷地は広大です。最盛期には数百の堂宇が立ち並ぶ一大宗教都市でした
戦禍を逃れた「大塔」が素晴しい!
まずは、根来攻めの際にも戦禍を免れた「大師堂(重文)」「大塔(国宝)」から。
大師堂は、それほど目立ったところのない小さめのお堂なんですが、その隣の「大塔(国宝)」は素晴しいですね。真言密教の建物で高野山で数多く見かけるものなんですが、下層が四角形に、上層が円形に作られているとっても面白い造形です。
その複雑な造りを眺めていると、本当にいつまで経っても飽きることがありませんでした。そのくらい美しい塔です。
塔の内部に入ってみると、円形の内陣が造られているのも面白かったですね。内部をグルリと回ることが出来るのですが、残念ながら祀られている諸仏はあまりよく見えず・・・。しかし、とっても雰囲気のあるお堂でした。
基壇のところには、秀吉の根来攻めの際の、火縄銃で撃たれた跡もあります。みんなが指を突っ込むのでツルツルになっていて、銃撃戦のイメージとのギャップが大きくて面白かったです(笑)
手前から、「大師堂(重文)」「大塔(国宝)」「大伝法堂」の3堂。弘法大師を祀る大師堂は、豊臣秀吉の根来攻めの際の焼失をまぬがれた、根来寺で最も古いお堂です
国宝に指定されている「大塔」。高さ40mで、日本で最も大きな木造大塔だとか。内部には円形の内陣が作られていて、ご本尊の大日如来像の周りを一周することができます
「大塔(国宝)」を別アングルから。根来寺は、和歌山でも有数の桜の名所として知られているところですので、春に来たらさらに美しいでしょうね
大塔の組物部分。吸い込まれそうになるほど幾何学的で美しいですね
根来寺「大塔」の組物と相輪部分。四角い屋根と丸い建物の組み合わせは、いつ見ても面白いですね。バランスがいいような悪いような、不思議な気分になります
初層部分の組物。色の残り方といい、とっても美しい塔ですね。ずっと見ていても飽きませんでした
基壇部分に残されている、豊臣秀吉の1585年の根来攻めの際の弾痕。この大塔と大師堂以外はほぼ焼失してしまったほどの激しい攻めだったそうです
光明真言殿の中に飾ってあった「大塔」内部を撮影した様子。塔の内部に入って拝見できますが、薄暗いためここまではっきりとは見えませんでした
本堂「大伝法堂」には巨大仏が三体
大塔の隣にあるのが、根来寺の本堂にあたる「大伝法堂」です。こちらは江戸時代後期の1827年の再建のものですので、シンプルで力強い作りですね。
お堂の中に入ってみると、ご本尊の「大日如来坐像」を中心に、脇侍には「金剛薩タ(こんごうさった)坐像」(タの字は、土編に垂)と「尊勝仏頂尊(そんしょうぶっちょうそん )坐像」が控える、かなり珍しい組み合わせでした。いずれも14世紀ごろの作品で、秀吉の根来攻めの戦禍を免れたものです。
この三像は、とにかく巨大で迫力があるんです!全て3mを超すサイズですので、目の前で眺めていても、圧倒されるようなパワーすら感じました。私は大きめの仏像が好きですので、特に楽しめました。
大塔の隣にある「大伝法堂」。やや目立たない感じですが、コチラがお寺の本堂という扱いになるそうです
大伝法堂の周囲にも桜の木が。やはり春にもう一度訪れてみたいお寺ですね
「大伝法堂」内部の写真。大日如来様を中心に、金剛薩タ(こんごうさった)・尊勝仏頂尊(そんしょうぶっちょうそん )が脇を固めています。全て3mを超す巨像で、かなりの迫力でした!
■根来寺(一乗山)
HP: http://www.negoroji.org/
住所: 和歌山県岩出市根来2286
電話: 0736-62-1144
宗派: 新義真言宗 総本山
本尊: 大日如来
創建: 1130年
開基: 覚鑁(かくばん)上人
拝観料: 500円(大塔・名勝庭園などを含む)境内無料
拝観時間: 4月-10月 9:10-16:30、11月-3月 9:10-16:00
駐車場: 無料駐車場あり
アクセス: JR「紀伊駅」から、「粉河駅前ゆき」もしくは「近畿大学ゆき」にて
「根来」下車、徒歩20分