弥生時代の復元楼閣がある『唐古・鍵遺跡』＠田原本町 (by 奈良に住んでみました)

2010-03-18

弥生時代の復元楼閣がある『唐古・鍵遺跡』＠田原本町

田原本町にある国史跡『唐古・鍵遺跡』へ立ち寄ってきました。近畿最大の規模を誇った弥生時代の環濠集落遺跡で、現在は唐古池のほとりに、当時の建物を復元した「楼閣」があります。その他には何も無い場所ですが、古代史に興味がある方には興味深い場所ですね。

近畿最大の「環濠集落」の遺跡です

『唐古・鍵遺跡（からこかぎいせき）』とは、奈良県磯城郡田原本町の唐古から鍵にかけて広がる、今から約2000年前の弥生時代に栄えた環濠集落遺跡です。遺跡面積は「約42ヘクタール」で近畿地方最大。居住区の周りを幾重にも「環濠」が巡っていました。

大型の建築物の跡地や青銅器の鋳造工房の跡地なども発見されただけではなく、全国からヒスイ・土器などが集まる大きな拠点だったと予想されています。1999年には国の史跡に指定されています。

出土した土器に描かれていた文様から、当時の建物を想像して復元した「楼閣」がシンボルで、国道24号線からもよく見えます。それ以外にはほとんど何もないところですが、料金なども不要ですので、気軽に立ち寄れます。

磯城郡田原本町にある『唐古・鍵遺跡』。弥生時代の大規模な環濠集落の遺跡で、出土した土器の文様から復元された「楼閣」が立っています。国道24号線からもとても目立つため、見かけた方も多いでしょう

唐古・鍵遺跡は、国の史跡に指定されています。ちょっした説明図と楼閣くらいしかありませんが、料金なども不要ですので、気軽に立ち寄れます

遺跡とはいっても、唐古池の周りに桜の木が植わっているくらいで、特に何があるワケではありません。春になったらきれいでしょうね

出土品の文様から復元された楼閣

復元された楼閣について、唐古・鍵遺跡にあった説明分を引用しておきます。

平成3年秋、唐古・鍵遺跡の第47次調査において楼閣の描かれた土器片が出土し、古代建築史上、画期的な発見として大きく取り上げられました。この土器は弥生時代中期（紀元1世紀）のもので、すでにこの時代に大陸文化を取り入れた建築物があったことを証明する資料となりました。

1つの土器片には2層の屋根、大きな渦巻き状の棟飾り、3羽の鳥と考えられる波線が、また、もう1つの土器片には2本の柱と刻み梯子が描かれています。この建物の表現から、宗教的な建造物でないかと考えられています。

また、魏志倭人伝（3世紀）には卑弥呼の宮室は「楼観、城柵をおごそかに設け･･･」と記されています。卑弥呼の住む邪馬台国はこのような高い建物がそびえていたのでしょう。

この楼閣は高さ12.5m、柱の間隔4×5m、柱の太さ0.5mの規模です。屋根は茅葺きで藤蔓製の棟飾り、窓はつきあげ窓、一枚板製の扉、刻み梯子などで復元しました。

唐古・鍵遺跡の説明図。唐古池のある場所を中心とした広い地域で遺物・遺構が発見されたことが分かります