2014-05-03

大日様も欄間も見事!高僧・源信の誕生院『阿日寺』@香芝市

大日様も欄間も見事!高僧・源信の誕生院『阿日寺』@香芝市

平安時代の高僧・恵心僧都源信の生誕地であり、ぽっくり往生の寺としても知られる、香芝市の『阿日寺(あにちじ)』。国重文・大日如来坐像や、珍しい踏み下げ方をした地蔵菩薩半跏像など、美しい仏さまとお会いできます。また、二十五菩薩来迎を表した欄間も見事でした!(※本堂のお詣りは事前予約が必要です)


「横川の僧都」生誕地に建つぽっくり往生の寺

香芝市良福寺にある『阿日寺(あにちじ)』は、平安時代中期の高僧・恵心僧都「源信」(Wikipedia)が誕生した地と伝わり、「誕生院」と号しています。

恵心僧都源信は、942年、大和国北葛城郡当麻に生まれ、比叡山へ入った天台宗の高僧です。「往生要集」(Wikipedia)を著し、極楽往生するには一心に念仏をあげる以外に方法はないと説き、地獄と極楽を体系づけるなど、浄土思想を確立。後に法然上人の浄土宗、親鸞上人の浄土真宗が開かれる基盤となりました。

その当時は都でもとても有名な方だったようで、紫式部の『源氏物語』に登場する「横川の僧都」は、源信をモデルにしていると言われています。

また、阿日寺は「ポックリ寺元祖」を名乗るお寺でもあります。

源信の母親がここで臨終を迎える際、母に新しい着物を着せ、除魔の法を修し母とともに念仏したところ、翌日には苦しまずに安らかな往生を遂げたとか(ご生母 安楽往生の寺)。その忌中に自ら阿弥陀仏を刻み、母の身代わり仏として朝夕お参りしたのが、ご本尊として祀られる阿弥陀仏だとされています。

ちなみに、斑鳩町の「ぽっくり往生の寺」として知られる「吉田寺(きちでんじ)」(紹介記事)も、同じく恵心僧都源信の開基と伝わるお寺です。

さらに、菩薩たちが極楽浄土からお迎えにくるシーンを再現した「練供養会式」という法要も、源信が比叡山で始めたものだとか。二上山の麓『當麻寺(たいまでら)』で、1005年から千年以上も続けられている「聖衆来迎練供養会式」も、源信の生誕の地ということからこの地へ伝わったとされます。


二上山を仰ぎ見る「恵心僧都誕生院」

香芝市良福寺の『阿日寺(あにちじ)』。山門は境内東側の細い旧道側にあり、参道前に「恵心僧都誕生霊地」という石碑が建っています。近鉄「五位堂駅」、近鉄「下田駅」から徒歩約20分ほどの距離になります。

駐車場は西側の168号線沿いにあり、大きな「ぽっくり寺」の看板が目印です。ここから歩いて5分くらいの距離でした。

なお、阿日寺は観光寺院ではありませんので、本堂をお詣りしたい方は、事前に拝観予約が必要です。拝観させてただける時間は「9:00~12:00」。水曜はお休みですのでお気をつけください。


阿日寺@香芝市-01

旧道側からの眺め。「恵心僧都誕生霊地」という石碑の奥に、100mほどの参道が続きます。周りは民家に囲まれています

阿日寺@香芝市-02
阿日寺の山門前。ここには「恵心僧都誕生院」とあります

阿日寺@香芝市-03
阿日寺の境内の西側、168号線沿いに無料駐車場がありますので、お車の方はこちらへ。10台分くらいのスペースです

阿日寺@香芝市-04
境内にあった阿日寺の縁起。重文「木造大日如来坐像」(平安時代中期)と、現在は奈良博へ寄託してある重文の掛け軸「阿弥陀聖衆来迎図」(鎌倉時代中期)など、寺宝の説明もありました

阿日寺@香芝市-06
阿日寺の境内。向かって右手が、以前は恵心僧都源信の坐像を祀っていたお堂(お堂の名前は失念)、その左手に「本堂」、さらにその隣に「庫裏」があります

阿日寺@香芝市-07
阿日寺の「本堂」。江戸時代中期ごろのものです

阿日寺@香芝市-08
本堂の真向かいには、以前は小さな池があり、その池越しに礼拝したのだとか。しかし、阪神淡路大震災の際に地盤がゆるみ、水が漏れるようになったため埋めてしまったそうです。古くは池越しに二上山まで見通せたことでしょう

阿日寺@香芝市-09
見づらいですが、お堂の軒瓦には「恵」の文字が入っています。もちろん、恵心僧都源信の恵です


欄間の「二十五菩薩来迎」の彫刻が見事!

阿日寺の本堂に入ってまず驚いたのが、精緻な彫刻を施された欄間です。

江戸時代のもので、二十五菩薩来迎を表しており、極彩色の美しい姿に目を奪われてしまいました。菩薩さまが乗っている雲の部分がかなり前にせり出していることから、分厚い板から掘り出したか、後からはめ込むかしているのでしょう。まさに極楽浄土を感じさせる荘厳さでした。

ちなみに、二十五菩薩+お地蔵さまで、計26体いらっしゃるとか。楽器を手にしているのが15体いらっしゃって、勢至菩薩や観音菩薩、それに天蓋を差し掛ける菩薩像なども描かれています。

當麻寺・奥院』の宝物館に、こちらと同じような雰囲気の「二十五菩薩来迎像」(室町時代)がありますが、それを欄間で表現するというのがすごいですね。


阿日寺@香芝市-10

座布団と木魚が並ぶ本堂。奥には仏さまが祀られていますが、それよりもまずは頭上の欄間に目を奪われます

阿日寺@香芝市-12
當麻寺の練供養会式などでも演じられる、二十五菩薩来迎を表したもの。二上山の向こう側から仏さまたちが雲にのってお迎えに来ると信じられていたため、この地区のお寺さんらしい表現です

阿日寺@香芝市-13
手に手に楽器を持っています。じっくり見ていくと、それぞれ表情もポーズも違っていて、とても面白いです

阿日寺@香芝市-15
キーボードのような楽器を奏でている方も。雲の表現も迫力があって見事ですね!

阿日寺@香芝市-14
手に蓮座を持ち衆中を救いに来た観音菩薩と、それに天蓋を差し掛ける菩薩さま


ご本尊は源信自刻と伝わる阿弥陀如来像

阿日寺@香芝市-16
本堂のお厨子周辺。観光寺院とは違って、卒塔婆があったりして、檀家さんの存在を感じられるのもいいですね。余談ですが、木魚の下に万歩計をつけて、何回叩いたかカウントできるようになっていました!ご住職のアイディアだとか(笑)

阿日寺@香芝市-17
阿日寺の御本尊は、源信が自ら刻んだと伝わる阿弥陀如来さまです。脇侍には観音菩薩・勢至菩薩が、その前には恵心僧都源信の坐像がいらっしゃます

阿日寺@香芝市-19
阿日寺のご本尊は「阿弥陀如来立像」。源信の母がここで亡くなった忌中に、自ら阿弥陀仏を刻んだと伝わる仏さまで、平安時代のもののようです。両太もものところに衣紋を描かないのが特徴の、とても美しいお姿でした

阿日寺@香芝市-20
御本尊の前には「恵心僧都源信坐像」が。もともとお隣のお堂にいらっしゃったのですが、防犯などの都合上、御本尊の前にお移ししているのだそうです。とてもお優しそうな表情が印象的でした!

阿日寺@香芝市-18
御本尊の脇に、観音菩薩・勢至菩薩がお伴する三尊像です。脇侍はやや後の時代のものかも。前傾姿勢を保ち、「すぐに救いに行きますよ!」を表現しています


国重文の凛々しい「木造大日如来坐像」

阿日寺@香芝市-21
本堂の向かって右手には、「木造大日如来坐像」(重文)がいらっしゃいます。像高94cm、樟(くすのき)材を用いた一木造で、平安時代中期のもの。全体的に細身で、両腕を外に張り出しているのが特徴ですね。まさに「シュッとした」という言葉が似合うお姿でした

阿日寺@香芝市-22
引き締まった端正な顔立ちで、とても穏やかな印象です。少しだけ微笑んでいらっしゃるようにも感じられます。円光背も見事で、とても美しいお姿でした!


蓮華座を内部から踏み下げるお地蔵さまも

阿日寺@香芝市-23
そのお隣には、お厨子に入ったお地蔵さまが。右足を踏み下ろした「半跏踏下坐(はんかふみさげざ)」です。右手に錫杖、左手に宝珠を持っています。源信は生涯に100体の仏像を刻んだといい、このお地蔵さまはその一つと伝わっているのだとか

阿日寺@香芝市-24
このお地蔵さまの珍しい点は、左足を踏み下げる際に、台座となる蓮華座の上から(外側に)足を下ろすのではなく、蓮弁を内側から踏んで倒すように表現していることでしょう。蓮が完全な形ではなくなっているんですね。初めて観ました!

阿日寺@香芝市-25
本堂の向かって左手には、法然上人&善導大師の尊像も祀られています

阿日寺@香芝市-28
山門の右手にある小さな「観音堂」には、石像の「石像如意輪観音菩薩坐像」がいらっしゃいます。近くにあったお寺から移されたものだとか。ゆったりと可愛らしいお姿ですね

阿日寺@香芝市-29
阿日寺でいただいた御朱印です。印が独特で美しいですね!



■阿日寺(あにちじ)

HP: 参考サイト(巡る奈良)
住所: 奈良県香芝市良福寺361
電話: 0745-76-5561
宗派: 浄土宗
本尊: 阿弥陀如来
創建: 不詳
拝観料: なし
拝観時間: 9:00 - 12:00(要予約。水曜休)
駐車場: 無料駐車場あり
アクセス: 近鉄「五位堂駅」、近鉄「下田駅」から徒歩約20分

※本堂のお参りをご希望の方は、事前に電話予約が必要です。拝観させてただける時間は「9:00~12:00」まで。水曜はお休みです。

※毎年7月11日の「恵心忌(えしんき)」の法要の際には、予約なしで拝見できます。この日は五幅の「地獄絵図」が公開されます。

※拝観料などは「不要です」とおっしゃられていました。しかし、貴重なお時間を割いてくださるのですから、お賽銭として納めておくといいでしょう


■参考にさせていただきました

ええ古都なら|阿日寺(あにちじ)
阿日寺(あにちじ) 奈良県香芝市 : 古社寺見聞
奈良県 ・ 阿日寺「魅惑の大日如来像の巻」 : ひたすら仏像拝観


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