2009-07-16

座敷からお庭一望!茶の湯の寺『慈光院』@大和郡山市

慈光院@大和郡山市

奈良県大和郡山市にある、茶の湯と見事な庭園で有名な『慈光院(円通山)』さんへ行ってきました。

奈良には珍しい禅宗様式のお庭が見られるお寺ですが、一般的な観光ルートからは外れているため観光客も少なく、お抹茶をいただきながら、広々としたお座敷から静かなお庭を独り占めできます!


境内全体が一つの「茶室」です

『慈光院(円通山)』とは、1663年に「片桐石州」が、父の菩提寺として建立したお寺です。この片桐石州とは、四代将軍の徳川家綱や水戸光圀に茶の湯を教え、「茶道石州流」の開祖となる方です。京都「大徳寺」や奈良県葛城市の「当麻寺中之坊」の茶室も作っているのだそうです。

寺としてよりも境内全体が一つの茶席として造られており、表の門や建物までの道・座敷や庭園、そして露地を通って小間の席という茶の湯で人を招く場合に必要な場所ひと揃え全部が、一人の演出そのまま三百年を越えて眼にすることができるということは、全国的に見ても貴重な場所となっている。

「慈光院」ホームページより引用

奈良県内には、日本有数の歴史を誇る古刹が多いこともあり、それ以降に伝来した禅宗のお寺はそれほど多くありません。このため、禅寺らしい(いわゆる京都っぽい)美しいお庭が眺められるお寺はそれほどありませんが、ここ慈光院は数少ない例外となります。


慈光院@大和郡山-01

大和郡山市にある『慈光院』さん。奈良県内には数少ない禅宗「臨済宗大徳寺派」に属するお寺のため、見事な庭園が眺められます。「茶道石州流発祥之寺」の石碑も見えます

慈光院@大和郡山-02
それほど長くありませんが、参道も趣がありますね。木の根が見えるのが迫力です!


茅葺屋根の「茨木門」と「書院」

摂津茨木城から移築されたという「茨木門」と、その奥に見える「書院」。どちらも茶の湯のために招いた客人をもてなすためのものであり、とても落ち着いた雰囲気が感じられます。どちらも茅葺の屋根で、やや農家風になっているのも面白いですね。

しかし、参道から庭園の隅々まで、どこもしっかりと計算された造作で、どこをどの角度から見ても美しいんですよね。茶人の高い美意識が感じられるようです。


慈光院@大和郡山-03

慈光院さんの「茨木門」。逆光のためほとんど見えませんが、見事な茅葺屋根になっています。元は片桐石州の出生地の摂津茨木城の楼門をもらい受けたものなのだとか

慈光院@大和郡山-05
茨木門の美しい茅葺屋根。これだけ手入れが行き届いたものはなかなか見られないでしょう。楼門ですので、2階建ての構造になっています。残念ながら上には上がれませんが、上層はどうなっているのでしょうか?

慈光院@大和郡山-04
茨木門から「書院(重文)」を眺めたところ。茶席として客人をもてなした建物ですが、茅葺の農家風の造りになっているのが面白いですね

慈光院@大和郡山-06
拝観入口脇の建物の様子。古民家的な雰囲気があります


お座敷に座ってお抹茶と庭園を!

拝観受付を済ませて、「書院(重文)」のお座敷へ進むと、目の前には広々としたお庭が広がります!奈良県内で、縁側に座ってボンヤリとお庭を眺める・・・というスタイルが楽しめる数少ないお寺でしょう。

また、拝観料金(@1,000円)には、お抹茶代も含まれていますので、お茶をいただきながらのんびりホッコリとできますね。

禅寺のお庭には、石を使った枯山水的なものが多いのですが、慈光院のお庭はきれいに刈り込まれた植栽が中心となります。ここには70種類もの植物が植わっていて、季節によっては椿・サツキ・つつじ・さざんかなどが咲き、目を楽しませてくれるのだとか。

この時期はお花などは咲いていませんでしたが、また花の季節にお邪魔したら、もっと違った雰囲気だったのかもしれません。


慈光院@大和郡山-07

拝観受付を済ませて、奥の庭園が眺められる書院へ向かいます。奈良のお寺ですが、京都っぽい雰囲気がありますね

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書院のお座敷の様子。座布団と団扇が用意してありました。平日の夕方に近い時間帯だったため、他の参拝客の姿もなく、こんな素晴しいお庭を独占できました!

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全てが開け放たれた書院からは、手入れの行き届いたお庭が広がります。白砂の中に丸く刈り込まれたツツジなどが植わっています・禅寺のお庭にしては、石が少ないのが特徴です

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お庭側から眺めた書院の様子。座ってお庭を眺める際により落ち着けるように、あえて天井や鴨居を低めに作ってあるのだそうです

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慈光院さんの拝観料は「@1,000円」と、ややお高めですが、お抹茶がいただけます。石州の茶の湯が生まれたお寺で、素晴しいお庭を眺めながら、美味しいお抹茶がいただける・・・と考えると、それだけの価値があるでしょう

慈光院@大和郡山-12
書院の一角にはこんな「高林庵茶室」というお茶室が設けられています。こんなコンパクトなスペースで賓客をもてなしてきたのですからスゴイですね。向かって右手の壁には、小さな「にじり口」も設けられています


重要文化財の「手水鉢」にも注目

お庭を眺める「書院」もそうですが、お庭にある「角ばらず」「独坐」「女の字(めのじ)」という3つの手水鉢も重要文化財に登録されているのだそうです。ぜひじっくりと眺めておいてください。

さらに、慈光院さんのホームページから確認できますが、「露地蹲踞」という手水鉢も重要文化財に指定されており、これ以外にも水戸光圀から贈られた手水鉢もあるのだとか。それぞれに個性があって、見比べるだけでも面白いですね!


慈光院@大和郡山-13

慈光院さんにある3つの手水鉢は重要文化財に指定されています。これは「角ばらずの手水鉢」というもの。スクエアな手水鉢の角が落としてあり、もしろモダンさを感じます

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こちらは「独坐の手水鉢」。飛び石の配置や笹の雰囲気などもいいですね。暑い日だったためか、鳥がやってきてここで水浴びしていました!重要文化財で水遊びなんて・・・、贅沢ですね(笑)

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こちらの重要文化財の「女の字(めのじ)」の手水鉢。美しい造形ですね!


もちろんお庭にも下りられます

もちろん、お庭に下りて散策することもできます。それほど広いものではありませんが、小さなお堂やお社があったりしますので、ゆっくりと一周しておきましょう。お庭側から眺める書院も、趣があっていいですよ!


慈光院@大和郡山-15

もちろん、庭園に下りることもできます。それほど広くはありませんが、セミの声を聞きながら軽く散策するのもいいですよね

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お庭の一角にあったお社。緑と白のお庭の中に、突然朱色が現れると、それだけでハッとします

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白砂と書院。ゆったりとした雰囲気を感じさせてくれます


中庭・茶室など、隅々まで美しい!

書院と本堂の間には中庭があります。お庭もそうですが、本堂の脇のちょっとしたスペースまで、隅々が美しいんですよね。もちろん、二つあるお茶室(ともに需要文化財)も独特の雰囲気がありますし、じっくりと見ていても全く飽きませんでした。


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書院から本堂へ続く廊下には、こんな窓があります。風景の一部を切り取って味わう、古来からの楽しみ方でしょう

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本堂側から書院を見たところ。黄色っぽい壁は、茶室「閑茶室(重文)」。もう一方の「高林庵茶室」よりも薄暗く造られていて、その二つが対になって陰陽を表しているのだそうです

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本堂前にはこんな中庭も広がっています。コチラも手入れが行き届いた、とても美しい庭園でした

慈光院@大和郡山-22
お庭に咲いていたキキョウの花。季節の花を愛でることも、お茶の楽しみの一つなんでしょう

慈光院@大和郡山-23
本堂脇の一角。隅から隅まで、本当に絵になりますね

慈光院@大和郡山-24
こんな何気ないところにも雰囲気があります

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慈光院さんの本堂の内部。ご本尊は藤原中期の作とされる「釈迦如像」。その両脇には、「開山玉舟和尚」「片桐石州」の坐像がいらっしゃいます。本堂は1984年に建てられたもののため、まだ真新しさが感じられました

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本堂の天井画「墨絵の龍」。前田青邨門下の「入江正巳」画伯による作品です

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書院側から眺めた「茨木門」。こんな美しい陰影は、他ではなかなかお目にかかれませんね!

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麺好き心をくすぐる「石州麺」。石州侯が客人をもてなした「油不入素麺」を再現したもので、何と秋田の「稲庭うどん」の元祖と言われているのだそうです!お土産にどうぞ!

慈光院-ご朱印
慈光院さんでいただいたご朱印です。独特な字体ですね


夏の参拝は・・・「蚊」に注意!

慈光院さんは本当に美しいお寺でしたが、一つだけ注意点があります。

今の時期だけのことですが・・・、とにかくものすごい「蚊」の大群がいるんです!私はもともと蚊に刺されやすい体質なんですが、ちょっと動きを止めると蚊がワラワラと寄ってきて・・・、とてもジッとしていられませんでした(苦笑)

夏に慈光院さんへ参拝に行かれる方は、虫除けスプレー・電子蚊とり・塗り薬などを持参の上でお出かけください!



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■慈光院(円通山)

HP: http://www1.kcn.ne.jp/~jikoin/
住所: 奈良県大和郡山市小泉町865
電話: 0743-53-3004
宗派: 臨済宗大徳寺派
本尊: 釈迦如来像
創建: 1663年
開基: 片桐貞昌、玉舟
拝観料: 1,000円(お抹茶代を含む)
拝観時間: 9:00-17:00
駐車場: 無料駐車場あり(普通車25台分)
アクセス: 近鉄「郡山駅」から、奈良交通バス法隆寺行き(約15分)「慈光院」バス亭下車、徒歩5分

※境内では「石州料理(精進料理)」などをいただくこともできます(要事前予約)
※なお、この日は一日中曇っていて、しかも夕方近い時間帯だったため、やや写真の写りが良くありませんでした。実物はもっと美しいですので、ぜひ実際に行って確かめてみてください!










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