2008-03-24

こんな小さなお寺に国宝が!『海龍王寺』

海龍王寺

「佐保路の三観音巡り」の流れで、法華寺の後は、同じ区画内に隣接している『海龍王寺』に行きました。「海龍王」という勇ましい名前よりも、別名の「隅寺」というちょっと控えめな名前の方が似合いそうなお寺ですが、こちらにもステキな観音さまがいらっしゃいました。


別名「隅寺」が相応しい雰囲気

海龍王寺は、藤原不比等の邸宅跡に建てられた法華寺の、その敷地の隅に建てられた小さなお寺でした。

「隅寺」の創建について、伝承では天平7年(735年)、光明皇后の発願で僧・玄昉のために建立したというが、このことは正史に記載がなく、創建時期や事情について正確なところはわかっていない。なお、海龍王寺境内からは飛鳥時代から奈良時代前期の古瓦が出土しており、平城京遷都以前に何らかの前身建物が存在した可能性が指摘されている。海龍王寺の敷地は、平城京の整然とした条坊(碁盤目状の町割り)からずれて位置しており、平城京内を南北に貫通する道の一つである東二坊大路は、海龍王寺の境内を避けて、東方向に迂回している(現在の道路にもその名残りが見られる)。このことは、先に寺があり、後から道がつくられたことを意味している。

発掘調査の結果により、奈良時代の海龍王寺には、小規模ながら、中金堂、東金堂、西金堂の3つの金堂があったことがわかっている。現存する西金堂は、位置、規模等は奈良時代のままであるが、鎌倉時代に再建に近い修理を受けており、主要な部材はおおむね鎌倉時代のものに代わっている。
Wikipedia「海龍王寺」より引用


今見てもかなり小さなお寺で、まさに「隅寺」という名称に相応しい、簡素で落ち着いた雰囲気です。パッと外見だけ見たら、こんなところに国宝があるなんて思わないかもしれませんね~。

海龍王寺-01
法華寺に隣接する『海龍王寺(かいりゅうおうじ)』。元は藤原不比等の邸宅の片隅に建っていたため「隅院」「隅寺」という別名も。伝承では735年、光明皇后の発願で僧・玄昉のために建てられたとされています

海龍王寺-02
海龍王寺の縁起を記した看板。「弘法大師空海が渡唐するにあたり当寺に千日参籠して心経千巻を書写し・・・」という記述も見られます

海龍王寺-03
表門から参道を通ると、すぐに「山門」が。短い参道ですが、静かでいい雰囲気のところです


精密な細工の国宝「五重小塔」

今回は秘仏の公開時期でしたので、鎌倉時代作のご本尊「十一面観音立像(重文)」も見ることができました。像高92.7cmの小さな仏さまですが、金箔や華やかな文様が見事に残されていて、とても美しいものでした。あまりにキレイに彩色が残っていますし、造形もかなり洗練されているため、最近になって新しく作られた仏像なんじゃないかと思えてしまうほど。そのくらい緻密な美しさがありました。

この他にも、快慶作と伝えられている「文殊菩薩立像(重文)」や、奈良時代に聖武天皇から賜ったとされる海龍王寺の名前を記した「寺門扁額(重文)」などを見ることができます。それほど派手さは無いのですが、落ち着いて仏さまを見るにはいい雰囲気ですね。

また、本堂の脇、奈良時代の建築物「西金堂(さいこんどう)」には、国宝の「五重小塔」があります。これは小さな小さな五重塔で、実物の10分の1のサイズで造られた工芸品です。これが海龍王寺の西塔にあたるものだったそうです。ちなみに、薬師寺東塔に次ぐ古さで、当時の建築技術を知る上で重要なものなんだとか。

こんな小さくて細かいものを造る根気も大変だと思いますが、こんな規模の塔が破損もせずに長い間残されていたのがすごいですね。出来れば自宅にも欲しいくらいの精密さです(笑)

海龍王寺-04
法華寺・海龍王寺・不退寺の三寺合同で、それぞれ秘仏の観音様を同時に公開する「佐保路の三観音」キャンペーンを開催しています。今回、全て周りましたが想像以上に良かったです!

海龍王寺-05
海龍王寺の境内の風景。向かって右手が「本堂(江戸時代の再建)」で、左手が国宝の「五重小塔」を安置している「西金堂」。海龍王寺の伽藍はこれでほぼ全てです

海龍王寺-06
海龍王寺の「本堂(市指定文化財)」。奈良次代に建っていた中金堂の位置に、江戸時代になって再建されたもの。江戸時代にしてはかなりクラシックで簡素な建築になっています

海龍王寺-07
軒先の組木もシンプル。堂内もかなり質実剛健系でした

海龍王寺-08
奈良時代の建築の「西金堂(さいこんどう)」。1960年代に大規模な改修が行われているそうですが、奈良時代の小規模なお堂が現存している例はほとんどなく、とても希少なものです

海龍王寺-09
海龍王寺の西金堂に安置してある「五重小塔(国宝)」。奈良時代のもので、高さ4m。屋内で近くから拝んだりする目的で作られた工芸品のような性格のものです。様式が薬師寺三重塔に類似しているとの指摘もあります

海龍王寺-10
高さわずか4mの「五重小塔」。近くで見ることは出来ませんが、その細工の細やかさは十分に伝わってきます


住職自らのブログがスゴイ!

海龍王寺はとても小さなお寺ですので、本堂と西金堂以外には、小さなお堂があるくらいです。他の見どころといえば、「見仏記」でお馴染みのみうらじゅん氏から一升瓶が奉納されているところくらいでしょうか(笑)

しかし、それ以前に見ていただきたいのは、海龍王寺のホームページです!フラッシュまで取り入れてしっかりと作ってあるページで、お寺の拝観に必要な情報はここを見れば全てが分かるようになっています。インターネットの活用にまで手が回っていないお寺が多い中、ここまでやってもらえるととても嬉しいですね。

また住職自らが更新しているブログでは、お花の開花状況などを知ることができるだけではなく、今の時期であれば「平城遷都1300年祭のマスコットキャラクター(私見)」というようなエントリがアップされていたりと、押し付けの観光情報だけではない、読者を意識したブログになっているのがスゴイですね。

仏さまの言葉を伝えるのがお寺の役割だとしたら、こんな試みはもっともっと行われるべきだと思います。

また、いただいたご朱印も、普通であればご本尊の名前が書いてあるものなのですが、海龍王寺では「妙智力」という言葉が記してありました。観音経の一節から取ったものということですが、古い伝統を守り続けるお寺にもこうした試みが行われているのが面白いと思います。

数十分で全て見て周れるような規模なんですが、色んな意味で応援したくなる、ちょっと魅力的なお寺ですね。

海龍王寺-11
山門をくぐってすぐのところにある手水舎。シンプルで、まるでつくばいのように見えますね

海龍王寺-12
1288年建立の「経蔵(きょうぞう)」。高床式で、一部に禅宗の影響も見られるのだとか。こちらも1960年代に大改修を行っています

海龍王寺-ご朱印
海龍王寺のご朱印です。「妙智力」とは、観音経の「観音妙智力」から取った言葉で、「観音菩薩の素晴しい智慧の力は普く世間の苦しみを救いたまう」という意味なのだそうです。なるほど


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■画像の一覧は【Flickr】でどうぞ。



大きな地図で見る


■海龍王寺

HP: http://www.kairyuouji.jp/index.html
住所: 奈良県奈良市法華寺北町897
電話: 0742-33-5765
宗派: 真言律宗
本尊: 十一面観音(重要文化財)
創建: 735年
開基: 光明皇后の発願で僧・玄昉のために建立したとされる
拝観料: 400円(特別公開時500円)
拝観時間: 9:00 - 16:30
駐車場: 数台分あり(かなり狭いです)
アクセス: JR大和路線奈良駅・近鉄奈良駅から奈良交通バス(西大寺駅・航空自衛隊行き)「法華寺」下車すぐ。または、近鉄大和西大寺駅から奈良交通バス(JR奈良駅・白土町行き)「法華寺」下車すぐ

※遣唐使の旅の無事を祈願したという故事から、旅行・留学の安全祈願を受け付けていらっしゃいます








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