2009-04-28

空也上人立像がスゴイ『六波羅蜜寺』@京都府東山区

六波羅蜜寺@京都

西国三十三所の秘仏ご開帳巡りのため、京都東山区にある『六波羅蜜寺』へ行ってきました。

「空也上人立像(重文)」が収蔵されていることでも有名なお寺ですが、想像以上に規模が小さく、想像以上に素晴しい仏像の宝庫でした!


『六波羅蜜寺』の縁起は

『六波羅蜜寺(ろくはらみつじ)』は、「踊り念仏」で知られる、醍醐天皇第二皇子の「空也(くうや)上人」によって、951年に創建されました。当初は「西光寺」と称していました。

空也上人は、疫病が蔓延していた京都の街を、自らが彫ったとされる十一面観音像を車に乗せて引きながら歩き、念仏を唱えお茶をふるまい、多くの人を命を救いました。963年には鴨川に僧600名を集めて大規模な大般若経供養会を行った記録も残されています(当時、鴨川の岸は遺体の捨て場だったそうです)。浄土教の弱者救済の思想を民間に広めた先駆者となりました。

空也上人の死後、977年に比叡山の僧「中信」が中興し、平安末期には「六波羅殿」と呼ばれた平清盛らの屋敷が置かれたり、後に鎌倉幕府によって「六波羅探題」が置かれたりと、平氏・源氏双方との繋がりが深いお寺でもあります。

平家没落の際や、北条・足利などの時代にも兵火を受けてきましたが、そのたびに、源頼朝・足利義詮・豊臣秀吉などの有力者によって再建。明治以降は廃仏毀釈によって大きく寺領を減らし荒廃してしまいました。

ちなみに、六波羅蜜寺という名前は、般若心経の中の「完成された」という意味を持つ「波羅蜜多(サンスクリット語のパーラミター)」から取られています。さらに、「六波羅蜜」とは、この世に生かされたまま、仏様の境涯に到るための「布施・持戒・忍辱・精進・禅定・智慧」という六つの修行のことを指すそうです。


西国三十三所の第17番札所です

『六波羅蜜寺』は、京都市東山区の清水寺と建仁寺の間くらいの位置にある、小さなお寺です。すぐ近くには駐車場が見当たりませんでしたので、車で行かれる方は注意が必要です。

六波羅蜜寺は、西国三十三所の第17番札所となっており、この日は秘仏のご本尊「十一面観音立像(国宝)」の特別ご開帳の日でもあったため、多数の参拝客の姿が見られました。また、都七福神のお一人である「六波羅弁財天」さんなどもいらっしゃいます。

やはり歴史の教科書などに必ず登場した、口から6体の阿弥陀仏が発せられた「空也上人立像(重文)」を所蔵するお寺として有名でしょう。


六波羅蜜寺@京都-01

京都市東山区にある『六波羅蜜寺』。清水寺と建仁寺の間くらいにある、あまり目立たない小さなお寺ですが、6体の阿弥陀仏が口から発せられている「空也上人立像(重文)」がいらっしゃることで有名です

六波羅蜜寺@京都-02
六波羅蜜寺の案内看板。空也上人自らの作とされている秘仏「十一面観音立像(国宝)」がご本尊です。源平の両陣営、仏師集団「慶派」との繋がりが深く、優れた仏像を多数所蔵しています

六波羅蜜寺@京都-03
入口の正面にある護摩堂には、都七福神のお一人である「六波羅弁財天」さんが祀られています。水を司る女神さまで、技芸のご利益があるとされています

六波羅蜜寺@京都-04
六波羅蜜寺の「六波羅弁才天」さん。まだ新しい小さな像で、金色に輝いています。手に楽器らしきものを持っていますが、どことなくサックスのようにも見えました(笑)

六波羅蜜寺@京都-05
護摩堂と本堂の奥には、お地蔵さんたちが並んでいます。貴重な仏像たちが収められた宝物館は、本堂の裏手にあります

六波羅蜜寺@京都-06
本堂前から拝観受付窓口の方面を見たところ。廃仏毀釈の時期に多くのお堂が取り壊されてしまったため、現在はかなり規模が小さくなっています

六波羅蜜寺@京都-07
六波羅蜜寺の手水舎。かなりシンプルなタイプですね


ご本尊「十一面観音」は穏やかで美しい!

六波羅蜜寺の「本堂」。1363年再建のもので、1969年に解体修理を行ったため、かなり美しい色彩が残っています。規模はそれほど大きくはありませんが、今回の特別ご開帳で内陣にまで入れていただいたのですが、3つの大きな厨子が並ぶ様子は、とても荘厳で、素晴しいものでした!

六波羅蜜寺のご本尊は、12年に一度しか開扉しない秘仏「十一面観音立像(国宝)」です。平安初期から藤原時代の間となる951年、空也上人が自ら彫ったものだと言われており、像高258.0cmの堂々とした十一面観音さまでした。

厨子の中にいらっしゃるため、完全な全体像は見られませんでしたが、とてもバランスが良く、穏やかで美しい仏様でしたね。幾多の戦禍に巻き込まれた京都の中心部のお寺に、これだけの時代のこれだけの大きな仏様が残されているというのは、奇跡的だといえるかもしれません。

今の「西国三十三所結縁御開帳」のタイミングを逃してしまうと、12年に1度の辰年にしかお会いできなくなってしまいますので、ぜひお早めにどうぞ。


六波羅蜜寺@京都-08

六波羅蜜寺の「本堂」。1363年に再建されたものを、1969年に解体修理を行ったのだそうです。西国三十三所の札所であり、ご本尊の特別ご開帳の時期でもあったため、次々と団体さんが押し寄せてきていました

六波羅蜜寺@京都-09
六波羅蜜寺の本堂前の様子。改修から40年近く経っているはずでが、朱色が鮮やかですね。ご本尊の「十一面観音立像(国宝)」とご縁を結ぶことができただけではなく、内陣にまで入れていただけました。3つの大きな厨子が並ぶ様子は圧巻でした!

六波羅蜜寺@京都-10
本堂の軒の装飾も、かなりキレイに残っていました。簡素な作りなんですが、やはり美しいものですね

六波羅蜜寺@京都-11
本堂前の2ヶ所に、こんな石が入ったものがあります。一見、意味が分からないのですが・・・

六波羅蜜寺@京都-12
石に願い事を書き込んだものもありました。そのために置いてあるのかは分かりませんが、中にはこんな贅沢な願いを書き込んだ人もいました(笑)


空也上人立像など、優れた仏像の宝庫!

本堂の裏手には「宝物館」が設けられています。十体ほどの仏像が展示されていましたが、どれも素晴しいんですよね。

やはり主役となるのは「空也上人立像(重文)」でしょう。口から針金で6体の阿弥陀仏が出ている・・・というギミックが目立ちすぎてしまうため、正直なところ、これまで仏像としての出来栄えなどは考えたことすらありませんでした。しかし、間近に拝見すると、想像以上にリアルで力強い、素晴しい完成度なんですよね。

空也上人は、鳴声を愛していた鹿が猟師に撃たれてしまったことを嘆き、その皮を衣に、角を杖頭につけて、首からカネを下げ、それを撞木(しゅもく)で叩きながら街を歩いた、その姿がシンプルに力強く表現されています。ジッと見ていると、口から阿弥陀仏が発せられていることも自然なことのように感じられてきますから、不思議なものですね。

また、その他の仏像も、個性があって面白いものばかりでした。平清盛や運慶・湛慶など、人の像が多いのも特徴ですが、運慶作とされている「木造地蔵菩薩坐像」や、左手に頭髪を持つ(!)「木造地蔵菩薩立像(別名:鬘掛地蔵)」といった、秀作ぞろいです。仏像好きにはたまらない空間でした!


六波羅蜜寺@京都-13

六波羅蜜寺の本道裏にある「宝物館」。それほど広いスペースではありませんが、十数体の素晴しい仏像ばかり!面白いのは、仏様の像と同じくらい、空也上人立像・平清盛坐像・運慶・湛慶坐像など、人間をかたどった像が多いことですね

六波羅蜜寺@京都-14
もちろん、宝物館の内部も撮影禁止ですので、代わりに六波羅蜜寺の入口に貼ってあったポスターの画像をどうぞ。どうしても口もとに目が行ってしまいますが、とても写実的で、全身どこを見ても素晴しい像でした!


仏像好きな方はぜひ立ち寄ってください

六波羅蜜寺の境内はそれほど広いワケではありませんので、拝観にはそれほど時間は掛からないと思います。宝物館以外は、それほど見どころが多いワケでもありませんが、仏像好きな方は、立ち寄ってみるだけの価値はあると思います。


六波羅蜜寺@京都-15

本堂に向かって右手には、やや新しい目の仏様たちがいらっしゃいました

六波羅蜜寺@京都-16
銭洗い弁天さんがいらっしゃいましたので、ざるに100円玉を乗せて、洗っておきました。金運が向上・・・してくれるといいですね!

六波羅蜜寺@京都-17
ある仏様の足元には、薄い木片に写経したものが多数水に沈められていました。色んな方の色んな思いがこもっているかと思うと、なかなか迫力がありますね

六波羅蜜寺@京都-18
境内にあるお土産物屋さんの様子。西国三十三所のお寺らしく、巡礼関係の商品が多数販売されています

六波羅蜜寺@京都-19
絵葉書もなかなかの渋さですが、隣にある「空也上人手ぬぐい(@500円)」がいいですね!キャラが立ってて、誰が見てもそれと分かります。お土産にどうぞ!

六波羅蜜寺@京都-ご朱印
六波羅蜜寺でいただいたご朱印です。見事ですね!



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■六波羅蜜寺(補陀洛山)

HP: http://www.rokuhara.or.jp/
住所: 京都府京都市東山区五条通大和大路上ル東
電話: 075-561-6980
宗派: 真言宗智山派
本尊: 十一面観音立像(国宝)
創建: 951年
開基: 空也上人
拝観料: 600円(通常は境内自由、宝物館が500円)
拝観時間: 8:30-17:00
駐車場: 周辺の民営駐車場を利用
アクセス: 京阪電車「五条駅」から徒歩7分

※西国三十三ヶ所観音霊場の第17番札所
※洛陽三十三所観音霊場の第15番札所






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