2012-04-28

笠山荒神社『竹林寺』の薬師如来立像(重文)@桜井市笠

笠山荒神社『竹林寺』の薬師如来立像(重文)@桜井市笠

桜井市の笠地区の、日本三大荒神のひとつ「笠山荒神社」。この近くの『竹林寺』の、どっしりと美しい国重文の薬師如来立像にお会いしてきました。年に3回の「笠山三宝荒神大祭」など、御縁日にお参りすればお会いできますので、ぜひ日程を合わせていってみてください。


笠山荒神社の近くにある小さなお寺です

桜井市の笠地区に鎮座する、日本三大荒神のひとつに数えられる『笠山荒神社(笠山三宝荒神)』。祀られている「三宝荒神(さんぼうこうじん)」は、三面六臂で怒りの表情をした火の神で、「かまどの神さま」として、古くから篤く信仰されてきました。最近では、蕎麦の栽培が盛んになり、美味しいそばがいただける「笠そば処」(紹介記事)なども有名になっています。

その笠山荒神社の奥まったところに『竹林寺』というお寺があります。竹林寺は、古くは「笠寺」と称していた中の一寺でした。空海上人が、中国の竹林寺で修行して帰国した後、良弁僧正が描いた板面荒神を模写し、それを祀ったお寺を竹林寺と名付けたのだそうです。

明治時代の神仏分離令によって離されてしまいましたが、笠山荒神社と竹林寺の結びつきは深く、今でも大祭の際にはお神輿の御渡などが行われているそうです(参考記事)。

とても山深い場所ですが、この大祭(1月28日、4月28日、9月28日)の日には、桜井駅からの臨時バスも運行され、とても賑わいます。竹林寺の仏さまも、大祭の日と薬師祭(4月8日、8月14日、9月8日)の日に御開帳が行われているそうですので、ぜひこの日に合わせてお参りしてみてください。


笠山荒神社「竹林寺」@桜井市笠-01

竹林寺の本堂。この裏手に収蔵庫があり、重要文化財の薬師如来立像が安置されています。この日は大祭の御開帳日だったため、本堂の扉もすべて開け放たれ、地区の方がお酒などを召し上がっていらっしゃいました

笠山荒神社「竹林寺」@桜井市笠-02
竹林寺の駐車場から。東側の50号線、妙円寺側から車で乗り入れることができましたが、道幅がかなり狭いため、注意が必要です。「笠そば処」の駐車場から歩いてくる方が無難でしょう

笠山荒神社「竹林寺」@桜井市笠-04
「笠山三宝荒神大祭」のポスター。1月28日、4月28日、9月28日の年3回で、お神酒や甘酒も振舞われます。「火除・交通安全・厄除・土建・商売繁盛にご利益あらたか。日本第一・荒神発祥の地」とあります。火の神様だけに、デザインも荒々しくていいですね


年に三度の「笠山三宝荒神大祭」の御開帳

竹林寺には、「薬師如来立像」(重文・平安初期)、「地蔵菩薩立像」(県重文・鎌倉時代)、あとは時代は不明ながら十一面観音立像などが祀られています。また、竹林寺創建の逸話にも登場する「板面荒神図絵」もあります。

まずは本堂からお詣りしました。中央にいらっしゃるのが、大きな真っ赤な板光背を背負った十一面観音像。かなり体の厚みが薄めです。お堂の左手には不動明王像などが、雑多な感じで祀られていました。

気になったのが、仏さまの体の至るところに防虫剤が置かれていたこと。見た目もどうかと思いますし、引き出しなどの密閉された空間で使うならともかく、あまり効果はないような…。この点だけはかなり残念な印象でした。


笠山荒神社「竹林寺」@桜井市笠-03

竹林寺の文化財案内。今ではそれほど有名とは言えないお寺さんですが、平安初期の国重文「薬師如来立像」という貴重な仏さまがいらっしゃるあたり、さすがは奈良ですね!

笠山荒神社「竹林寺」@桜井市笠-05
本堂の中央に祀られた十一面観音像。大祭の日だけに、いろんなお供え物がありました

笠山荒神社「竹林寺」@桜井市笠-06
左手に水瓶、右手に錫杖の、いわゆる長谷寺式の十一面観音像かと思いきや、錫杖ではなく銛(もり)のような武器を持っていらっしゃいました。体が平ぺったいのも特徴的ですね

笠山荒神社「竹林寺」@桜井市笠-07
頭部や衣紋のあいだなど、白く見えるのが全て防虫剤です。うーん…

笠山荒神社「竹林寺」@桜井市笠-08
不道明像像など。やや雑多な感じで祀られています。こちらも防虫剤が目立つことに

笠山荒神社「竹林寺」@桜井市笠-09
向かって左手にいらっしゃるのが、六臂(腕が6本)の荒神さまです

笠山荒神社「竹林寺」@桜井市笠-10
お不動さんと荒神さんの版木があったり…

笠山荒神社「竹林寺」@桜井市笠-11
いわゆる「ラッパ」があったりします

笠山荒神社「竹林寺」@桜井市笠-12
本堂の片隅に祀られているのが、良弁僧正が描いた板面荒神を、空海上人が模写したと伝わる「板面荒神図絵」でしょう。厨子が閉じられており、拝見できませんでした


衣紋が美しい平安仏「薬師如来立像」

本堂裏手の立派な収蔵庫には、「薬師如来立像(国重文)」と「地蔵菩薩立像(県重文)」がいらっしゃいます。

木造薬師如来立像(国指定重要文化財)

像高194.3cmの大像で、頭部から両袖や台座蓮肉部までを、檜の一材から彫出した平安初期の代表作である。螺髪は植付け、両手首より先をはぎ付ける。背面から長方形に内刳りを行なってから背板を当ている。

強く隆起した肉髻の形や厳しく闊達な表情の面相、体躯にみる充実した重量感、深く刻んで全体に力強い印象を与え、緊密に構成された衣文など、いずれも平安時代初期の典型的な表現を示している。

境内の説明より

ちなみに、竹林寺は古くは「長谷寺の奥之院」と呼ばれていた時代もあったとか。寺伝によると、長谷寺のご本尊の巨大な十一面観音立像を刻んだ際に、同じ木からこの薬師如来立像を彫ったとされているそうです。

長谷寺の方ほどではありませんが、この薬師如来像も2m近い大きさで、堂々としています。全体的にゆったりと落ち着いた雰囲気が感じられますが、衣紋が鋭く流れていて、そこだけ別の空気が感じられるほどでした。こんなに素晴らしい仏さまと、こんなに間近でじっくりとご対面できる機会はなかなかありません。いい体験をさせていただきました!


笠山荒神社「竹林寺」@桜井市笠-13

本堂の裏手にある立派な収蔵庫。ここに「薬師如来立像(重文)」と「地蔵菩薩立像(県重文)」が安置されています

笠山荒神社「竹林寺」@桜井市笠-14
木造薬師如来立像の説明看板

笠山荒神社「竹林寺」@桜井市笠-15
収蔵庫の中の、お薬師さまとお地蔵さま。さすがに背後には回れませんが、至近距離でしっかりと拝見できます

笠山荒神社「竹林寺」@桜井市笠-16
竹林寺の薬師如来立像のお姿。左手に薬壺を持たないタイプです。極端ではないものの、全体的にボリュームがあり、とても美しいですね。表情も穏やかです。左の袖からの流れるような衣紋の表現が圧巻!思わず見とれてしまうような豪華さでした

笠山荒神社「竹林寺」@桜井市笠-17

笠山荒神社「竹林寺」@桜井市笠-18

笠山荒神社「竹林寺」@桜井市笠-19

笠山荒神社「竹林寺」@桜井市笠-20
同じく収蔵庫に安置されている「地蔵菩薩立像」(県重文・鎌倉時代)。像高は約80cmほど。とても美しいお地蔵さまです。それにしても防虫剤が…


より大きな地図で 笠山荒神社 竹林寺 を表示


■笠山荒神社 竹林寺

住所: 奈良県桜井市大字笠2340
電話: 0744-48-8556
本尊: 薬師如来(重要文化財)
拝観料: 300円
拝観日: 御縁日の日のみ(年6回)
駐車場: 無料駐車場あり
アクセス: 近鉄桜井線「巻向駅」から約7.0km(車で15分、徒歩1時間半強)


■御開帳について

薬師如来像などのご開扉は、年に6回行われているようです。

●大祭 1月28日、4月28日、9月28日
●薬師祭 4月8日、8月14日、9月8日

これらの日以外でも、事前に区長さんへ拝観予約をして開けていただくことも可能のようです。


■交通について

大祭の日には、JR桜井駅から臨時バスが運行されます(乗車時間は約40分)。

駐車場もありますので、車で行くことも可能です。やや山道になりますが、「笠そば処」(紹介記事)から歩くのがベターです。東側の50号線、妙円寺側からすぐ近くまで車で乗り付けることもできますが、すれ違いもできない細い山道なので、十分ば注意が必要です。


■参考にさせていただきました!

ホーム>仏像探訪記>奈良県>笠区
竹林寺 / 奈良大和路~悠~遊~
奈良の寺社: 竹林寺「笠寺」
笠山三宝荒神ご参拝 (奈良の宿泊予約 料理旅館大正楼)






 【笠山荒神社『竹林寺』の薬師如来立像(重文)@桜井市笠】へのコメント
ぷくぼん  14-01-09 13:20

千葉県在住の奈良大好き&まほろばソムリエ検定合格を目差す自分にとり、こちらのブログはバイブルです。
数多くの素晴らしい写真と分かり易い解説のお蔭で、つまらない公式テキストへ書き込みを加えることにより格段に楽しさupとなりました。
唯、この作業を開始したのが一週間前なので、試験日当日まで網羅できるか………(≧∇≦)

竹林寺の防虫剤、思わず吹き出してしまいました。公共の場で拝読していたので笑いを堪えるのが大変でした。

naka  14-01-09 19:48

>ぷくぼんさん

過分なお褒めのお言葉、ありがとうござます!
私もまほろばソムリエ検定は受験してきましたので(1級までですが)、そこまでおっしゃっていただけると本当に嬉しいですね。遠い関東の方が合格するのは簡単なことではありませんが、少しでもお役に立てていただければ幸いです。頑張ってくださいね!

竹林寺さんの防虫剤は、本当に衝撃的でしたねー。昨年もそのまま変わっていなかったようですから、ぜひいつか実際にご覧になってみてくださいね(笑)





  • Twitterでフォローする
  • Facebookページを見る
  • Instagramを見る
  • ブログ記事の一覧を見る







メニューを表示
ページトップへ