美しく八角墳が整備された『牽牛子塚古墳』@明日香村
斉明天皇と間人皇女の合葬墓と考えられている八角墳『牽牛子塚古墳』が、築造当時を思わせる真っ白い姿に蘇り、隣接する『越塚御門古墳』とともに整備されました。飛鳥駅からのルートには、美しい石室内に入れる『岩屋山古墳』などもあります。ぜひ散策してみてください!
牽牛子塚古墳の過去の画像など
天皇家の墓に特有の「八角墳(八角形墳)」である、明日香村の『牽牛子塚(けんごしづか)古墳』(Wikipedia)。第35代天皇・斉明天皇とその娘・間人皇女が合葬されたと考えられるお墓です。
2009~10年にかけての発掘調査で八角墳であることが判明し、その重要性が再認識されたことから、2022年3月に八角形の墳丘が復元され、公開されました。
●詳しくはこちらをご覧ください。
牽牛子塚古墳・越塚御門古墳復元公開 | 旅する明日香ネット
こちらは2010年10月、『牽牛子塚古墳』が八角墳であったことが判明し、現地説明会が行われた直後の墳丘の様子です。一躍脚光を浴びましたが、まだほとんど整備されていません。
※【過去記事】斉明天皇が眠る八角形墳『牽牛子塚古墳』@明日香村 より
そしてこちらは2014年5月の様子。墳丘全体が黒いシートに覆われているだけで、凝灰岩をくり抜いた巨大な石槨の様子を外から見学できました。
※【過去記事】ニ室に分かれた石室が観られる『牽牛子塚古墳』@明日香村 より
そんな荒っぽい環境だった『牽牛子塚古墳』が、2022年3月、美しく整備されました!以前の様子を見比べてみると、あまりの違いにびっくりします!
墳丘も、八角形の真っ白い姿に。SF映画やアニメに登場しそうな雰囲気です。現代の古墳はほとんど草木に覆われていますからちょっと違和感がありますが、おそらく築造当時はこのような姿だったんでしょうね。
外から立派な石槨も見られます
整備された『牽牛子塚古墳』の真っ白い墳丘の一角は、柵が設けられていて、
石槨の一部が見られるようになっています。
アップで。二上山から切り出した巨大な凝灰岩をくり抜いた横口式石槨で、中央部に仕切りが削りだしてあり、築造当初からもう1体を追葬できるように製作されたと考えられています。
現地の説明書き「牽牛子塚古墳と八角墳」。同時期に築造された八角墳の天皇陵と比較しながら解説してあります。
丘の上から観たところ。見晴らしの良い丘陵の斜面に築造されています。
園内の「模型広場」には、牽牛子塚古墳(と越塚御門古墳)のこんな立体模型もあります。実物と見比べられるのがいいですね。
越塚御門古墳も整備されました
また、牽牛子塚古墳の墳丘のすぐ南東側には『越塚御門(こしつかごもん)古墳』があり、こちらも美しく整備されています。
この扉の向こうには石室が。
越塚御門古墳の解説。7世紀後半に造られた方墳であることなどが説明されています。
『日本書紀』に、斉明天皇の陵墓の前に孫・大田皇女を葬ったという記述があることから、大田皇女のお墓である可能性が高いとされています。
扉の内部には、埋葬施設の様子がはっきりと見られます。また、その背後では美しい解説映像も流されています(映像は約3分間。上映時間は9:00~17:00)。
近くの真弓鑵子塚古墳は未整備です
ちなみに、牽牛子塚古墳から、直線距離で200mほどの位置には『真弓鑵子塚(まゆみかんすづか)古墳』があります(参考)。のどかな田舎道を歩いていくと数分で到着しますが、
墳丘の上には立ち入ることができず、周辺から眺めるのみです。興味のある方以外にはそれほど面白いスポットではありませんのでご注意を。
【ご注意を】現地に駐車場はありません
牽牛子塚古墳へのアクセスなどをご紹介します。
・牽牛子塚古墳へは、飛鳥駅から徒歩約10分です。
・現地には車用の駐車場はありません(※手前に臨時駐車場あり。後述します)。
・駐車場は、飛鳥駅すぐの道の駅「飛鳥」、またはアグリステーション飛鳥の駐車場を利用できます。
・2022年3月現在、Google Mapで「牽牛子塚古墳」のルート検索をすると、西側の「奈良産直センター」からのルートが表示されますが、こちらは遠回りになります。介護施設「あすかの里」側から向かってください。
牽牛子塚古墳へは、飛鳥駅に向かって右手(北側)、このかっこいい自販機の脇の道を進み、踏切を渡って西へ向かいます。
踏切を渡るとすぐ、『岩屋山(いわややま)古墳』が見えてきます。ここの石室が本当に美しくて、奇跡的な造形美なので、ぜひ立ち寄ってみてください。
※【過去記事】美しい石室に自由に入れる!『岩屋山古墳』@明日香村
岩屋山古墳は、石室の中に自由に立ち入ることができます。古墳時代の終末期(7世紀前半ごろ)の方墳で、身長170cm未満の私は羨道部分でも頭がつくことはありません。
玄室は、長さ約4.9m×幅約1.8m×高さ約3m。2段に大きな切石を積んで、上段が内側に傾斜する形は「岩屋山式」と呼ばれています。「駅のすぐ近くにこんな美しい古墳があるなんて、飛鳥はすごい!」と心から思ってしまいますね。
岩屋山古墳を過ぎて、こんな道標を眺めながら進むと、
臨時駐車場が現れます(Google Mapへのリンク)。臨時とあるのでいつまで利用可能かはわかりませんが、ここからだと徒歩5分ほどで到着しますので覚えておくといいかもしれません。
■牽牛子塚(けんごしづか)古墳
HP: 参考(Wikipedia)
住所: 奈良県高市郡明日香村越
駐車場: なし
アクセス: 近鉄吉野線「飛鳥駅」より徒歩約10分
※実際に現地へ行ったのは「2022年3月7日」でした。
■参考にさせていただきました
■お知らせ
牽牛子塚古墳は、八角形の墳丘がアサガオの花に似ていたことから、別名「あさがお塚」とも呼ばれていました。その整備にあたって、明日香村では、古墳にアサガオを咲かせることを目指して、ガバメントクラウドファンディングを実施しています(2022年4月30日まで)。ぜひご協力ください!
古墳にアサガオを咲かせ、牽牛子塚古墳を未来に伝えよう!|ふるさと納税のガバメントクラウドファンディングは「ふるさとチョイス」
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