2010-03-01

美仏がズラリ!阿修羅像にも直接会える『興福寺国宝館』

美仏がズラリ!阿修羅像にも直接会える『興福寺国宝館』

世界遺産にも登録されている『興福寺』。数々の寺宝が展示されている「国宝館」がリニューアルを終え、一般公開が始まりましたので、その初日に拝観してきました。

ガラスケースでの陳列を極力減らし、落ち着いたライティングを取り入れた新しい展示方法が導入されており、仏像好きな方であれば何時間でも楽しめそうな、本当に素晴らしい空間になっていました!


「阿修羅展」の好評を受けてリニューアル

2010年1月18日から2月28日までリニューアル工事を行っていた『興福寺国宝館』。3月1日より一般拝観が再開されました。もちろん、内部は写真撮影禁止ですので、画像は掲載できませんが、以下のニュースサイトに画像入りの記事がありますので、まずはそちらをご覧ください。


興福寺・阿修羅像を直接鑑賞 ガラス陳列取り止め - 47NEWS(よんななニュース)
asahi.com:新生「美の仏堂」に感動-マイタウン奈良


今回のリニューアルの最大の特徴は、これまでガラスケース内での展示だった阿修羅像などの仏像がオープン展示となり、わずか1mほどの至近距離から直接拝見できるようになったことでしょう。

東京と九州で開催されて、約190万人もの来場者を記録した「阿修羅展」、興福寺の仮金堂で開催され約25万人を動員した「お堂でみる阿修羅」などの好評を受けてのことですが、これまでの博物館的な面白みに欠ける展示方法が改められたのですから、これは期待できますね。


興福寺(国宝館)-01

2010年1月から改装工事を行っていた『興福寺国宝館』ですが、リニューアルを終え、3月1日から拝観が再開されました。興福寺の近くではこんな大きな看板が。阿修羅像がメインで、龍燈鬼・天燈鬼のアップの写真も載せられています

興福寺(国宝館)-02
興福寺南円堂前に貼ってあった、国宝館リニューアルのポスター。こちらも主役は阿修羅さんで、その下に金剛力士像が配してあります。主役級の仏さまの宝庫ですから、画像のセレクトも大変でしょうね


ガラスケースを減らして、さらに見やすく

この日は、興福寺国宝館のリニューアルオープン初日ということもあり、興福寺境内はもちろん、奈良市街にはたくさんの観光客の方の姿が見えました。平日でしたが、国宝館前には観光バスが何台も並び、以前のひっそりと静かな様子とは大違いです。

行列が出来るほどではありませんでしたが、内部はかなりの混雑ぶりでしたので、週末などに拝観する方は、少し覚悟が必要かもしれません。


興福寺(国宝館)-03

この日は月曜日でしたが、3月に入って観光シーズンが始まったためか、リニューアルを終えた国宝館が目当ての方が押し寄せているのか、興福寺境内はもちろん、市内はどこも人が多めでした。少しは平城遷都1300年祭の効果が現れているのかもしれません

興福寺(国宝館)-04
興福寺国宝館前の駐車場。観光バスがが何台も停車していて、以前の静かな様子とは比べものにならないほどの盛況ぶりでした。ただし、阿修羅展の時のような行列はありません

興福寺(国宝館)-05
興福寺国宝館の前。もとは食堂(じきどう)があった場所に建てられた近代的な収蔵庫です。閑散としているように見えますが、中に入るとそれなりの混雑ぶりでした

興福寺(国宝館)-07
興福寺国宝館のエントランス部分。内部には28件(展示点数はもっと多いです)の仏像や寺宝が見られます。多くの展示物でガラスケースを無くしたオープン展示へと変更され、照明の当て方も工夫されています。以前の博物館的な見せ方から、よりお堂的な見せ方に近づいていました

興福寺(国宝館)-08
お土産に購入してきた、興福寺の寺宝を網羅したグラビア本(@1,050円)。下は新しくなった拝観チケットです。このリニューアル以降、拝観料は500円から600円に値上げとなっていますので、ご注意ください


落ち着いた雰囲気の「新しいお堂」です

私は以前から興福寺国宝館は大好きな場所でしたが、リニューアル工事を終え、さらにその魅力が増したことは間違いありません。館内にいらっしゃったお寺関係者の方のお話などを伺ったりしながら、ゆうに一時間以上は楽しんできました。

言葉だけではその良さを伝えるのは難しいのですが、簡単に感想を箇条書きにしておきます。


  • 阿修羅像を含む「八部衆」や「十大弟子(6体のみ)」などは、ガラスケースが無いオープン展示になりました。やはり遮るものがないだけ迫力が違いますし、わずか1mほどの距離から貴重な仏像が拝見できるのですから、魅力は格段に増しています。
  • 照明も一方向からだけではありませんので、細部までくっきりと見えました。阿修羅像の三面のお顔も、影になること無くしっかりと見えます。また仏像や光背のシルエットが背後の壁に映し出されて、それもまた美しかったです。館内の照明もやや抑えられ、よりお堂の雰囲気に近づいています。
  • 以前は数点ずつ入れ替えながらの展示だった、八部衆、十大弟子などが全て展示されているのもいいですね。これまでは目立たなかった「法相元祖像」や「板彫十二神将立像(※)」なども全て陳列されていて、本当に迫力があります。それぞれ一列にゆったりとシンプルに並べられているのも分かりやすくて良かったです。

    ※平安時代作。東金堂本尊の薬師如来像の台座に貼りつけてあったという、板に浮き彫りされた珍しいもの

  • 以前は拝観者の目線の高さにあった展示物も多かったのですが、高さ少し上がり、目線よりも少し上の位置、仏さまを拝む本来の高さに近づいたのも嬉しいところでした。有名な旧山田寺の「銅造仏頭」も、目線よりも高い位置にあることで、より本来の魅力を感じられるようになりました。
  • 個人的に最も嬉しかったのが、これまでは他の展示物に埋もれるような印象があったユニークな小像「龍燈鬼・天燈鬼」が、両脇に「金剛力士立像」に挟まれて、一つのコーナーを与えられていたこと。また、運慶作と伝えられる「木造仏頭」の展示では、残された化仏・飛天を宙に舞うような展示(平等院的なイメージです)になっていたのも驚きでした。
  • 中央には、鎌倉時代作、像高520.5cmの「千手観音菩薩立像」がいらっしゃいます。大きいだけではなく、とても力強くて素晴らしい仏さまですが、左右と正面の三方向からじっくりと拝見できるのもいいですね。お堂での展示では、こんなに色んな角度から見ることは出来ないでしょう。
  • ミュージアムショップはとてもきれいに整備され、絵葉書などはアクリルケースで展示されるなど見栄えするようになりました。しかし、内容的には絵葉書やガイドブック、便箋など、従来からあるものが中心で、特に目新しいものはありません。携帯ストラップやフィギュアなどの品揃えがほぼ無いため、やや物足りなさを感じました。

  • 中央には、鎌倉時代作、像高520.5cmの「千手観音菩薩立像」がいらっしゃいます。大きいだけではなく、とても力強くて素晴らしい仏さまですが、左右と正面の三方向からじっくりと拝見できるのもいいですね。お堂での展示では、こんなに色んな角度から見ることは出来ないでしょう。

    展示方法が凝っているため、以前よりも点数が減ってしまったのかと思いましたが、興福寺の関係者の方のお話では、逆に増えているのだそうです。さらに、しっかりと時代別に展示できるようになったため、より分かりやすさも増していると思います。

    仏像好きな方にはもちろん、あまり興味が無かった方にも本当に楽しめる内容となっていますので、ぜひ拝観してみてください。


    「中金堂」の再建工事の真っ最中です

    興福寺国宝館の拝観を終えて、少しだけ境内を歩いてみました。

    現在「中金堂」の再建工事のため、大きな囲いが出来ていますが、実はこれはただの作業場で、この中に中金堂を造ったりするのではないのだそうです。すっかり勘違いしてました(笑)


    興福寺(国宝館)-09

    興福寺の境内では、現在「中金堂」の再建工事が進められています。大きな仮説の囲いが出来ていて、この中に中金堂を作るのかと思いきや、これは単なる作業場で、その奥の基壇が見える部分に建てるのだそうです。よく考えれば当たり前のことですが、ついつい勘違いしてました

    興福寺(国宝館)-10
    数年前から回廊の基壇は完成していますが、興福寺の方に少しだけお話を伺ったところ、ここに回廊を復元できるのはいつの日になることやら・・・とのこと。まずは中金堂の復元を行い、その後に南大門の復元など、課題が山積のようです

    興福寺(国宝館)-11
    雨の南円堂。この時は西国三十三所巡礼の方の姿も見えず、静かなものでした

    興福寺(国宝館)-12
    興福寺南円堂の裏手にひっそりと建つ「三重塔(国宝)」。どうしても五重塔の影に隠れて見落としがちですが、鎌倉時代の美しい塔です。もう少しいい天気の日に撮影したいですね



    大きな地図で見る


    ■興福寺

    HP: http://www.kohfukuji.com/
    住所: 奈良県奈良市登大路町48
    電話: 0742-22-7755
    宗派: 法相宗大本山
    本尊: 釈迦如来(国宝)
    創建: 669年
    開基: 藤原不比等
    拝観料: 境内-無料、国宝館-600円、東金堂-300円
    拝観時間: 9:00 - 17:00
    駐車場: 有料駐車場あり
    アクセス: 近鉄奈良線-近鉄奈良駅 徒歩7分

    ※西国三十三所の第九番札所(南円堂)
    ※南都七大寺の一つ






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