2013-09-17

薬師寺東塔の水煙が目の前に『水煙降臨展』@西ノ京

薬師寺東塔の水煙が目の前に『水煙降臨展』@西ノ京

世界遺産の古刹『薬師寺』で、東塔(国宝)の創建当時から屋根の上にある「水煙」が間近で観られる特別展『東塔水煙 降臨展』を拝見してきました(2013年11月30日まで)。千年以上も東塔の高みから奈良を見守ってくれた、水煙に描かれた24体の「飛天」は、みな穏やかな表情で美しかったです。元資材置き場だった建物での展示というミスマッチも、意外性があって良かったです!


薬師寺東塔の水煙が61年ぶりに地上で公開

世界遺産に登録されている西ノ京の古刹『薬師寺』では、2012年から国宝「東塔」の110年ぶりとなる大規模な解体修理を行っています。昨年末、その工事現場が一般公開された際には、私たちも見学会に参加してきました。


この時は、水煙は下ろされていたものの(水煙の写真撮影は禁止でした)、巨大な九輪がまだ屋根の上に乗っていて、遠くの足場から眺めて感動したものです。

そして工事は進み、水煙も相輪も無事に地上に下ろされたことから、これらを間近で拝見できる特別展『東塔水煙 降臨展』が開催になりました!(開催期間は「2013年9月16日~11月30日」)。

薬師寺東塔の水煙は、高さ1.9m。奈良時代から東塔の先端に飾られています。1950年の修理の際に取り外され一般公開されていますので、今回はそれ以来、61年ぶりに地上で展示される貴重な機会となります。


水煙降臨展@薬師寺(奈良市)-01

美しい金銅仏・薬師三尊像が祀られる薬師寺の「金堂」と、縞模様に見える覆屋の中の「東塔」。東塔の工事は、2019年(平成31年)までの10ヶ年を費やされる予定です。『東塔水煙 降臨展』の会場は、この写真の向かって右奥です


東塔水煙降臨展は会場内も「撮影可」です

行ってみて驚いたのですが、特別展『東塔水煙 降臨展』の会場は、寺宝を公開する施設「大宝物殿」ではなく、東塔解体の際の資材置き場として使っていた倉庫を使用していました!

まるでお寺さんで開催される特別展とは思えないような場所ですが、このミスマッチが面白いんですよね。広い倉庫を使って現代アートを展示するという試みはよく目にしますが、そんな空間に、奈良時代に作られた水煙があったり、東塔に祀られていた仏さまたちがいらっしゃったりするのが、ちょっと新鮮で楽しかったです。

また、展示品はすべて「写真撮影可」というのも嬉しいところですね!

なお、私たちは開催2日目の平日に拝見しましたので、さすがにそれほど混雑もせず、ゆったりと観られました。なるべく他の人が写らないように撮影し、そんな画像を選んで使用していますが、中高年の団体さんなどが押し寄せてくるタイミングにはかなり賑やかになりますので、時間に余裕をもって拝観しましょう。


水煙降臨展@薬師寺(奈良市)-03

薬師寺『東塔水煙 降臨展』の会場入口。東回廊の裏側、「東院堂」の北側にあります。こんなところに建物があったかしら?などと考えながら入場すると……

水煙降臨展@薬師寺(奈良市)-05
会場内はこんな感じ。もう明らかに資材倉庫ですね!現代アートの展示のようで、ちょっと斬新!

水煙降臨展@薬師寺(奈良市)-06
会場の奥側。物販スペースや東塔解体の記録映像などが拝見できます


間近で観る「水煙」は美しくて感動的!

今回の展示の主役とも言えるのが、奈良時代から東塔(高さ約34m)の先端に飾られ、今回61年ぶりに地上で公開された「水煙」(高さ約1.9m)です。水煙とは、塔の先端の相輪の一部となる金属製の装飾です。薬師寺・東塔のものは、塔の創建の奈良時代からずっと、高みから大和の国を見守ってきました。

水煙が地上に下ろされ、間近に観られるのは61年ぶりのこと。数メートルの距離からじっくりと観察できる、とても貴重な機会です。間近に見ると、ところどころに金で塗られていた痕跡がはっきりと見えたり、一部では金属が腐食しかかっていたり、パーツが取れているのが分かります。

他の塔の水煙は火焔文様のデザインになることが多いそうですが、薬師寺東塔のものは、飛雲の中に、笛を奏でたり(奏楽天人)、頭を下にして衣を翻しながら舞う天人、手に花びらを盛るためのかご「華籠(けご)」を持った天人が、計24人が描かれているのが特徴です。どの方の表情もとても穏やかでいいですね。

なお、奈良を愛した歌人・會津八一は、東塔の水煙をこのように詠っています

●「すゐえんの あまつをとめが ころもでの ひまにもすめる あきのそらかな」
(歌意: 水煙に彫られた天女たちの衣の、その間にさえ、秋の空は澄みとおっている)

西塔の近くにこの歌の歌碑がありますので、こちらもお忘れなくご覧ください!


水煙降臨展@薬師寺(奈良市)-07

薬師寺東塔から地上に下ろされた水煙。至近距離からじっくりと拝見できます。後ろに金色の衝立のようなものが立てられていて、観察しやすいように工夫してあるのがいいですね

水煙降臨展@薬師寺(奈良市)-08
水煙周辺の名称の解説図。水煙は4枚ありますが、1枚の重さは100kg前後です。もっとも重い東側のものが「102.4kg」、軽い西側のものが「93.0kg」だとか。10kg近い差があるんですね!

水煙降臨展@薬師寺(奈良市)-10
水煙の底部で笛を奏でる「奏楽天人」。塔の上からずっと天上の楽曲を奏でてくれている方です

水煙降臨展@薬師寺(奈良市)-11
別の位置の奏楽天人は、まだ黄色く見える部分が多めです。これは塗られていた金が残っているのだとか。今は古色蒼然としている薬師寺東塔ですが、創建当初は西塔のように色鮮やかだったでしょうし、水煙も金色に輝いていたんでしょうね

水煙降臨展@薬師寺(奈良市)-12
水煙の上部には、頭を下にした天人が2名ずついらっしゃいます。体のラインが美しいですね!

水煙降臨展@薬師寺(奈良市)-13
手に花びらを盛るためのかご「華籠(けご)」を持った天人。頭が真下を向いていて、ちょっとしんどそうな体制ですね(笑)

水煙降臨展@薬師寺(奈良市)-14水煙の上にあるのは、貴人の乗り物とされるという「竜舎(りゅうしゃ)」、さらに上には蓮の花弁を模した「宝珠(ほうじゅ)」。宝珠は、古くは仏舎利を収める容器であり、仏陀の輝きを表すそうです。宝珠の蓮弁は数枚欠落していて、別のケース内に展示してありました


巨大な「相輪」も迫力ありました

水煙降臨展@薬師寺(奈良市)-17
縦に連なる9枚の輪「九輪(くりん)」の展示。相輪の土台部分になります。6枚が取り付けられたままで展示され、残り3枚は細部が見やすいように個別に展示されていました。倉庫の天井に固定されています

水煙降臨展@薬師寺(奈良市)-19
真下から見上げたところ。こんな大きなものが塔の頂上にあるのかと思うと迫力がありますね。このアングルで見上げられるのも感動的です!

水煙降臨展@薬師寺(奈良市)-20
相輪の心柱が「さつかん」(木へんに察。管)と言います。この根本部分には、薬師寺建立の由来を示した「さつ銘」が刻まれています

水煙降臨展@薬師寺(奈良市)-21
さつ銘の写し。前半は、天武天皇が皇后(後の持統天皇)の病気平癒を願い薬師寺を建立したという由来を、後半は、中国・唐の西明寺の鐘銘らしきものが刻まれているそうです

水煙降臨展@薬師寺(奈良市)-22
九輪の一つ。「相輪はさつ管に乗せられているだけで、金具等で留められていません。この状態で全てが組まれています。」

水煙降臨展@薬師寺(奈良市)-23
取り外したものも間近に観察できます。表面の金ははがれていますが、今でも傷んだ感じはありません。すごい技術ですね


東塔の尊像や「水鏡の塔」に関する展示も

水煙降臨展@薬師寺(奈良市)-24
薬師寺東塔に祀られている阿弥陀如来像などの四躰、そして四天王像も間近で拝見できます。塔から出て、普段よりもラフな場所に祀られていますが、立派な心柱を模したものがあったり、美しいお花がいけてあったり、いつもと違ったお姿なのもいいですね

水煙降臨展@薬師寺(奈良市)-25
持国天像など。四天王像は平安時代の作で、現在修理を行っているところをここにお出まししています

水煙降臨展@薬師寺(奈良市)-27
薬師寺とも縁の深い宮大工、故西岡常一さん(Wikipedia)の言葉で有名な「水鏡の塔」の展示も。西塔が再建されたのが1981年のこと。それ以前に、西塔の礎石にたまった水面に東塔が写った姿が美しかったそうです。その姿を再現しています

水煙降臨展@薬師寺(奈良市)-29
金堂や西塔、講堂などを含む「薬師寺白鳳伽藍」を復興した際に用いた御用材も展示されていました。樹齢1000年の台湾産の檜(ひのき)で、長さ14.2m、直径1.37m~1.73m、重量16.5t。とんでもない大きさです!

水煙降臨展@薬師寺(奈良市)-32
宮大工が使用する道具たち。手斧・ちょうな・槍鉋(やりがんな)・突きのみ・飛鳥のみなど。この他、寺院建築の細部が分かりやすく観察できる巨大模型なども展示されていました


海洋堂製フィギュアなど、グッズも充実です

薬師寺『東塔水煙 降臨展』では、オリジナルグッズも充実しています。

この特別展のために用意された「飛天」の御朱印、そしてオリジナル御朱印帳。また、フィギュア好きなら知らないものはいない「株式会社 海洋堂」さんが制作する、ダイキャスト製「水煙フィギュア」など。この他、クリアファイルやスタンプなど、水煙モチーフのグッズがたくさん用意してあって目移りしますね。

私自身、御朱印をいただいたのはもちろん、水煙降臨展の図録(@500円)を購入したり、水煙フィギュア(@3,000円)を予約したりと、だいぶ散財させていただきました!


水煙降臨展@薬師寺(奈良市)-33

水煙降臨展では、この期間中だけの特別朱印が用意されています(300円)。水煙を模した印の上に、大きく「飛天」と描かれています。ただし、御朱印帳に書いていただくことはできず、別紙に書いてあるものをいただく形になります(日付はその当日のものが入ります)。後で御朱印帳に貼り付けましょう

水煙降臨展@薬師寺(奈良市)-36
水煙降臨展を記念した、オリジナルの朱印帳(1冊1,200円)も販売されています。表紙の色は赤と紺。笛を奏でる奏楽天人が描かれています。水煙降臨展の特別朱印が押印済みですから親切ですね!この機会に寺社で御朱印をいただき始めるのもいいかもしれませんね

水煙降臨展@薬師寺(奈良市)-34
一部で大きな話題になっていた、海洋堂製の「水煙フィギュア(@3,000円)」!限定4,000個の販売で、初回入荷分はすでに初日で完売。予約を受け付けて後で発送されるようになっていました

水煙降臨展@薬師寺(奈良市)-35
水煙フィギュアの実物がガラスケース内にありました。高さ20cm程度で、重厚感のあるダイキャスト製。写真右上に台座を使って立てたものが写っています

水煙降臨展@薬師寺(奈良市)-37
水煙をモチーフにしたクリアファイルなど。画像をしようしたものや、美しい文様としてデザインし直されたものなど、水煙の美しさが際立っています

水煙降臨展@薬師寺(奈良市)-38
手ぬぐいやお菓子なども

水煙降臨展@薬師寺(奈良市)-39
さらに、3D絵葉書(@400円)、水煙スタンプ・笛吹童子スタンプ(@各500円)なども。個人的にはスマホの裏に貼れる「蒔絵シール」が好みでした!(飛天 500円、水煙 800円)



大きな地図で見る


■薬師寺 東塔水煙 降臨展

HP: http://www.nara-yakushiji.com/data/0014.htm
開催期間: 2013年9月16日 - 11月30日
拝観時間: 8:30 - 17:00
拝観料: 共通券(白鳳伽藍・玄奘三蔵院伽藍・水煙降臨展)1,000円
(※水煙降臨展のみは「500円」ですが、別途伽藍拝観料が必要)


■薬師寺

HP: http://www.nara-yakushiji.com
住所: 奈良県奈良市西ノ京町457
電話: 0742-33-6001
宗派: 法相宗大本山
本尊: 薬師三尊像(国宝)
創建: 680年
開基: 天武天皇
駐車場: 有料駐車場あり(普通車500円)
アクセス: 近鉄「西ノ京駅」下車すぐ


■参考にさせていただきました

朝日新聞デジタル:薬師寺・東塔の「水煙」61年ぶり地上に 降臨展始まる - カルチャー


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