2017-05-19

唐招提寺『うちわまき(中興忌梵網会)』@奈良市

唐招提寺『うちわまき(中興忌梵網会)』@奈良市

西ノ京の古刹「唐招提寺」で、毎年5月19日に行われる『うちわまき(中興忌梵網会)』。鼓楼(舎利殿)の上から、ありがたいハート型のうちわが撒かれるもので、現在は9時に配布される「うちわまき参加券」を手に入れた400名のみが参加できます。抽選会や授与(販売)もあります!


ハート型のうちわが撒かれます

奈良市の西ノ京エリアに位置する、鑑真和上ゆかりのお寺『唐招提寺(とうしょうだいじ)』。

毎年5月19日には、「中興忌梵網会(ちゅうこうきぼんもうえ)」の法要の後、国宝の「鼓楼(舎利殿)」の上からハート型のうちわが撒かれる『うちわまき』が執り行われます。

このハート型のうちわは「宝扇(ほうせん)」と呼ばれ、毎年お寺の職員さんや僧侶の方々が手作りしているというありがたいもので、こんな由来があります。

鎌倉時代の唐招提寺中興の祖・大悲菩薩覚盛(だいひぼさつ・かくじょう)上人が、修行中に蚊にさされているのを見て、それをたたこうとした弟子に、「自分の血を与えるのも菩薩行である」とおっしゃって戒めたという故事があります。戒行清廉なるその徳をたたえ、「せめて団扇で蚊を払って差し上げよう」と、上人が亡くなられたときに法華寺の尼僧がハート型うちわを供えたことが始まりです。

「唐招提寺 年中行事」より


厄除け・虫除けなど、さまざまなご利益があるとされており、以前はたくさんの参拝客が押し合いへし合いしながら、高いところから撒かれるうちわに競い合って手を伸ばす……という様子が見られました。

うちわまき(中興忌梵網会)@唐招提寺-26
かつての唐招提寺「うちわまき」の様子。(「奈良県観光 あをによし なら旅ネット」より引用。画像は「奈良市観光企画課」提供のもの)。たくさんの参拝客が手を伸ばすため、ボロボロに破れてしまうことも多かったのだとか


「うちわまき」参加のための注意点

しかし、最近になってこの方法が改められ、当日配布される「うちわまき参加券」を手に入れた方のみが参加できるようになっています。2017年はこんな感じでした。

●うちわまきは毎年「5月19日」開催。唐招提寺境内で、当日の午前9時から「うちわまき参加券」が、先着400名に配布されます。参加人数分だけまかれるため、奪い合いにならず、必ずいただくことができます。

●当日の13時から、法要や舞楽奉納などが行われます。うちわが撒かれるのは、15時からです。9時から並んで、15時まで時間がありますが、ずっと境内で待つ必要はありません。窓口で「うちわまき参加券」を見せれば再入場できます。いつもとは違った雰囲気の唐招提寺をじっくり参拝して、さらにお隣の薬師寺も参拝したりするとちょうどいいでしょう。

●唐招提寺の駐車場(500円)も、一度料金を支払えば、駐車券を提示することで再入庫できるとのことでした。待ち時間にどこかで食事してきたりするのに便利ですね。ただし、15時近くなると駐車場は満車になり、再入庫どころではありません。余裕をもって早めに戻りましょう。

●うちわまきに参加できるのは、体力などに自信のある「20~60歳の健康な人」に限られます(※酒気を帯びた人も参加不可)。とはいえ、実際には年齢確認などはありません。60オーバーらしき方も健康状態に問題がなければ大丈夫のようです。

●うちわまきに参加しなくても、当日は金堂前のテントで、「うちわ引き換え抽選券」が配布されます(9時~14時半)。抽選券は3色あり、15時からのうちわまきの際に当たりの色が発表され、当選者へ「約1,000本」が授与されます。

●また、境内でもうちわ(宝扇)は「1本1,000円」で授与していただけます。


こうした平和的なシステムになっているため、(早めに並ぶ必要はありますが)もう競い合って手を伸ばすこともありません。とてものんびりした雰囲気で進行していきます。





2017年の唐招提寺「うちわまき(中興忌梵網会)」の動画です。「うちわまき参加券」を手にした400名が、さらに50名ずつにわかれて参加します。ひとり1本のみで、手に入れた方はその場を離れるお約束です。人数分まかれるので必ず手に入ります


別角度から。のんびりした雰囲気で、他のお寺で行われる「餅まき」などよりも安心です(笑)


参加券を求めて行列ができます

うちわまき(中興忌梵網会)@唐招提寺-01
5月19日の唐招提寺「うちわまき」当日の様子です(※金曜日でした)。当日の午前9時から、南大門をくぐってすぐの場所で「うちわまき参加券」配布の行列ができます。私たちは出遅れてしまって、8時50分くらいに到着したのですが、定員の400名に達するギリギリでした

うちわまき(中興忌梵網会)@唐招提寺-03
9時になると行列が進みます。「9時に並んで、うちわまきは15時から(=待ち時間が長い)」ということを理解せずに並んでしまった方もいらっしゃるので、行列から脱落していく姿も見られました

うちわまき(中興忌梵網会)@唐招提寺-25
無事に手に入った「うちわまき参加券」。青と黄色の2種類あり、集合場所が違います。それぞれ200枚ですから、私の197番は最後尾に近い番号です。集合は14時半。お寺の外に出た場合でも、この券を受付に提示すると再入山できます

うちわまき(中興忌梵網会)@唐招提寺-04
金堂前のテントでは「うちわ引き換え抽選券」が配布されます(9時~14時半)。抽選券は3色にわかれているとのこと。15時からのうちわまきの際に当たりの色が発表され、約1,000本が授与されます

うちわまき(中興忌梵網会)@唐招提寺-06
5月19日のうちわまきでは、国宝「鼓楼(舎利殿)」から、ハート型のうちわが撒かれます。もともとは太鼓を打ち鳴らすための2階建ての建物ですが、現在は鑑真和上が招来した仏舎利をお祀りしています。普段はひっそりとした建物ですが、四隅に飾りがついたりして華やかです。ここの2階部分に人が登る様子も、他の日ではあまり見られないでしょう

うちわまき(中興忌梵網会)@唐招提寺-07
鼓楼の周囲には、各界の著名人から奉納されたはなやかなうちわが展示されていました。ひときわ目立っていたのが、漫画家ちばてつや先生の作品。また、奈良在住の映画監督・河瀬直美さんや、雅楽師・東儀秀樹さんのものなどもあり、とても豪華でした!

うちわまき(中興忌梵網会)@唐招提寺-08
鼓楼のお隣、重要文化財「礼堂(らいどう)」の縁側には、過去に奉納されたうちわが屏風に仕立てられて飾られていました。数多くの万葉歌碑を揮毫している万葉学者・犬養孝先生のものなども見られ、感動しました


鼓楼には奉納されたうちわの展示も

うちわまき(中興忌梵網会)@唐招提寺-09
唐招提寺・講堂には五色の幕が。中興の祖・覚盛上人の命日の法要ですから、講堂の御本尊「弥勒如来坐像」の前に肖像が祀られていました。その両脇には三宝に乗ったたくさんのお供え物があり、これから撒かれるハート型のうちわも祀られていて、いつもとはまったく違った華やかさでした!

うちわまき(中興忌梵網会)@唐招提寺-10
講堂の前から鼓楼を見たところ。講堂と金堂の間には舞台が設置され、13時からの法要に続いて舞楽奉納などがあります

うちわまき(中興忌梵網会)@唐招提寺-12
境内の「中興堂」では、室町時代の重要文化財「覚盛上人坐像」の特別公開も行われています。堅い意志を表すようなきりりとした表情のお像でした。お堂は、覚盛上人の没後750回忌にあたる1999年に建てられたものです

うちわまき(中興忌梵網会)@唐招提寺-05
唐招提寺の「金堂」。盧舎那仏坐像、薬師如来立像、千手観音立像の3尊が並び立ち、その両脇を梵天・帝釈天立像が、四方を四天王立像が固める、ため息が出るほどの豪華な布陣です。もちろん、すべてが国宝に指定されています。ここを拝見しているだけで時間があっという間に過ぎていきますね

うちわまき(中興忌梵網会)@唐招提寺-13
鑑真和上が眠る墓所「開山御廟」。いつもはひっそりと静かですが、この日はたくさんの参拝客の姿がありました

うちわまき(中興忌梵網会)@唐招提寺-15
講堂の前に設置された舞台では、13時からの法要に続いて、舞楽が奉納されます。雅な動きと雅楽の調べは、現代とは思えないような雰囲気でした

うちわまき(中興忌梵網会)@唐招提寺-16
たくさんの参拝客が見つめます。この日は初夏の陽気で、汗ばむほどでした。日焼け対策はお忘れなく!

ちなみに、配布開始の9時から集合時間の14時半までの間、私たちは境内を散策した後、徒歩10分ほどの距離にある「中華そば おしたに」さん(Twitter食べログ)で食事をしたり、その近くの「垂仁天皇陵」にお参りしたりしていました。お店などは多くありませんが、いくつも見どころはありますので、意外と退屈しませんよ!


鼓楼から400本のうちわが撒かれます

うちわまき(中興忌梵網会)@唐招提寺-17
うちわまきは15時から始まります。「うちわまき参加券」を持つ400名は、14時半に所定の場所へ集合します。参加券を配ったときに、黄色と青のふた手にわけられますが、青が鼓楼の南側(画像の位置)、黄色が西側(講堂の前)に配置されました

うちわまき(中興忌梵網会)@唐招提寺-18
鼓楼の上にのった僧侶さんたちが、高くうちわを撒きます!参加券の順番ごとに50名ずつ4班にわかれ、番号の早い方から先にうちわまきに参加できます

うちわまき(中興忌梵網会)@唐招提寺-19
私たちの前の組の様子。50名ずつ参加しますが、ちゃんと人数分まかれますので、とくに争う必要もありません。鼓楼からまかれたありがたいうちわを、全員が無傷のまま持ち帰ることができます

うちわまき(中興忌梵網会)@唐招提寺-21
角度を変えて、鼓楼の西側と南側から、同時にうちわが撒かれます。いまではそれほど遠くまで飛ばす必要もないのでしょうが、屋根を越える高さまで上がっていたりして、見ていてとても美しかったです

うちわまき(中興忌梵網会)@唐招提寺-22
鼓楼の上の僧侶の方たち。この国宝建築に人がのっている様子など、普段はなかなか見られません!

うちわまき(中興忌梵網会)@唐招提寺-23
無事にハート型のうちわ「宝扇」をいただきました!ありがとうございました!



■唐招提寺

HP: http://www.toshodaiji.jp
住所: 奈良県奈良市五条町13-46
電話: 0742-33-7900
宗派: 律宗(総本山)
本尊: 廬舎那仏(国宝)
創建: 759年
開基: 鑑真
拝観料: 大学生以上 600円、中・高校生 400円、小学生 200円(御影堂、新宝蔵の特別展の際には別途料金が必要)
拝観時間: 8:30 - 17:00
駐車場: 有料駐車場あり(乗用車 500円など)
アクセス: 近鉄橿原線「西ノ京駅」から徒歩10分


■参考にさせていただきました

中興忌梵網会(うちわまき)|唐招提寺|奈良県観光[公式サイト] あをによし なら旅ネット


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