2008-02-05

真剣に『東大寺』巡り <3.三月堂など>

東大寺-四月堂

順序は多少前後しますが、今回の東大寺巡りでは、大仏殿を中心に北側の「正倉院」、東側の二月堂の周辺を周っています。ここでは大仏殿と二月堂以外に関して、まとめてあります。



■真剣に『東大寺』巡り
<1.大仏殿編><2.二月堂編><3.三月堂など><番外:鹿のいる風景>

東大寺「三月堂」の圧倒的な迫力!

二月堂からほど近いところにある「法華堂(三月堂)」は、外見は非常に地味。奈良時代から残る国宝の建築物」と言われても、私レベルの人間が見たって、正直なところ全く面白くありません(笑)

境内の東方、若草山麓にある。東大寺に残る数少ない奈良時代建築の1つであり、天平仏の宝庫として知られる。東大寺の前身寺院である金鐘寺(こんしゅじ)の羂索堂(けんさくどう)として建てられたもので、記録により天平15年(743年)までには完成していたと思われる。建物の北側約3分の2(参道側から見て向かって左側)の、仏像が安置されている部分が天平時代の建築で、南側の礼堂(らいどう)部分は鎌倉時代の正治元年(1199年)頃に老朽化した天平建築を取り壊し再建したものである。

ウィキペディア(Wikipedia)より


しかし、堂内に足を踏み入れると、本当にスゴイです! ご本尊の「不空羂索観音立像(国宝)」を中心に、薄暗いお堂の中に12体の国宝と4体の重文、計16体もの仏像が立ち並ぶ、濃密な空間なのです。

その多くが天平時代の作で、この時代らしいシンプルさと、どことなく粗野で荒々しい印象を持つ仏像ばかりです。四天王像などが特徴的なのですが、飛鳥時代の仏像よりもより描写的に(または人間的に)なってきているのですが、薄っすらと違和感というか、アンバランスさが感じられるんですよね。「乾漆像(布を漆で固めた「張り子」)」で、そんなものがこれだけ長い間無事に残されていたというのも驚きでしょう。

また、やはりご本尊の不空羂索観音立像はスゴイですね。もちろん、ド真ん中に堂々と安置されているのですから当然なんですが、362.1cmの像高で存在感が圧倒的です。やや薄暗い室内で金色に輝く眩い姿はまさに神々しいとしかいい様がありません。3つの目と8本の手を持つ異形さもいいですし、光背が軽やかで、素晴しいバランスだと思います。

さすがに2月のお堂は寒すぎて、納得いくまでず~っと座っているというワケには行きませんでしたが、ここでなら何時間でも過ごせそうな、そんな場所です。大仏さんを見に来た方は、ぜひここまで足を伸ばしてみてください。拝観料は500円、それ以上の感動がありますから!

東大寺-三月堂1
東大寺の「法華堂(三月堂)」。740年頃の創建で、もちろん国宝。ご本尊は「不空羂索観音立像(国宝)」で、合計16体もの仏像が立ち並ぶ、圧倒的な空間です

東大寺-三月堂2
三月堂の向かって左側は天平時代のもので、右側部分は鎌倉時代に建てかえられたもの。写真では分かりにくいですが、その境目ははっきりと分かります


ヒッソリとした「四月堂」もイイ!

二月堂と三月堂の間辺りに位置するのが「四月堂(重文)」です。ここはとても小さなお堂で、観光客もあまり立ち寄らないところなんですが、拝観料は不要ですし、間近でご本尊の「千手観音像(重文)」が見られるため、ぜひ立ち寄ってみてください。それほど時間も掛かりませんし(笑)

平安時代前期作の木像で、像高266.5cm。三月堂の仏像さんたちよりも後の作になりますので、そちら比較すると非常に肉感的で艶かしい印象があります。不思議なほど肌が白く、とても女性的。この雰囲気の仏像は、個人的に大好きです!

東大寺-四月堂
東大寺の「四月堂(重文)」。ここのご本尊は「千手観音像(重文)」。ひと気の少ない小さなお堂ですが、拝観料は無料。ご本尊もかなり美しい仏像ですので、ぜひ忘れずに立ち寄ってみてください

東大寺-お土産
お土産の雑誌と絵葉書。三月堂・四月堂のご本尊や、12月16日にだけ公開される「執金剛神立像(国宝)」など、素晴しい仏像の宝庫ですね


雅で危うい「手向山八幡宮」

三月堂から少し南へ行くと、突然神社が現れます。これは大仏建立の際に宇佐八幡宮から分社された「手向山八幡宮」です。特に何が見られるというワケではないのですが、この一角だけ妙に雅な雰囲気や、白壁が崩れそうになった危うい雰囲気が漂っていて、異彩を放っていました。

手向山八幡宮1
東大寺三月堂の隣にあるのが「手向山八幡宮」。大仏建立時まで歴史が遡れるほどですが、鎌倉時代にここに移されたそうです

手向山八幡宮2
手向山八幡宮の本殿前は、能舞台のような作りになっています。簾(すだれ)が雅な感じでいいですね


もちろん国宝!「鐘楼&梵鐘」

大仏殿から二月堂方面を結ぶ道沿いにあるのが、巨大な「鐘楼」&「梵鐘」。どちらももちろん国宝で、その古さと巨大さには圧倒されますね。

また、東大寺の敷地内には、色んな土壁などが普通に現役として活躍していますので、そんなものをじっくりと見てみるのも楽しいです。あの面倒な壁の作りを見ていると、今の世の中がいかに便利になったかと再認識できました。

東大寺-鐘楼
東大寺の「鐘楼(国宝)」。鎌倉時代の建築物で、吊られている「梵鐘(これも国宝)」は大仏が作られたのと同時に制作されたものだとか。近づくとその巨大さに圧倒されます!

東大寺-梵鐘
比較対象がないので分かりにくいですが、鐘だけで4m近い大きさです!

東大寺-土壁
敷地内の建物の土壁。薄い瓦を並べて、そこにレンガ状の土を並べるという方式で、途中で崩れて補修された跡も見えます。なかなか面白いですね


教科書でお馴染みの「正倉院」!

歴史の教科書には必ず登場する「正倉院」。紹介する順番は前後してしまいましたが、ここにも初めて行ってみました。場所は大仏殿から北へ10分ほどで、数十メートル離れた位置から建物を眺めるだけですので、拝観料なども不要です。

正倉院の大きさは、間口が約33m。その最大の特徴はもちろん「高床式」でしょう。湿気の多い日本で大事な宝物を守るために最適な形だと習ってきた通りの高床式でした。8世紀半ばの建築とされているそうですが、兵火や落雷などを乗り越えて、ほぼ無傷で残っているというのですから、スゴイことですね。

東大寺-正倉院1
教科書でも有名な東大寺「正倉院」。宮内庁の管轄です。実際に見るのは初めてで、それ自体は特に面白いものでもないのですが、やっぱりちょっとした感動がありました

東大寺-正倉院2
正倉院の内部の写真。現在、ここに収められていた宝物は、近くにある西宝庫と東宝庫へ移されているのだそうです

東大寺-正倉院3
正倉院を正面から。教科書で見たとおりの高床式。内部は3つに分かれていて、北倉・南倉が最初にあって、中倉は後から足されたものだという説もあるそうです。間近にすると確かにそう見えますね


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■画像の一覧は【Flickr】でどうぞ。



大きな地図で見る


■東大寺

HP: http://www.todaiji.or.jp/
住所: 奈良県奈良市雑司町406-1
電話: 0742-22-5511
宗派: 華厳宗大本山
本尊: 盧舎那仏(国宝)
創建: 8世紀前半
開基: 聖武天皇
拝観料: 大仏殿:500円、三月堂(法華堂):500円、戒壇院:500円
拝観時間: 8:00 - 17:00(季節・施設により変動します)
駐車場: 有料駐車場あり(一日1,000円程度)
アクセス: JR奈良駅・近鉄奈良駅より、市内循環バス「春日大社大仏殿前」下車、徒歩5分






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