2012-10-29

コバルトブルーの瑠璃坏も『第64回正倉院展』@奈良博

コバルトブルーの瑠璃坏も『第64回正倉院展』@奈良博

今年も奈良国立博物館で開催されている『第64回 正倉院展』へ行けました。主役の瑠璃色が美しい器「瑠璃坏(るりのつき)」など、今年はガラス製品が豊富に出陳されていました。簡単に感想などをご紹介しておきます。


時を超えた美しい工芸品たちが並びます

今年の秋も、恒例の『第64回正倉院展』が開催されています(2011年10月27日(土)~11月12日(月)まで)。聖武天皇と光明皇后ゆかりの品々が出陳されます。そもそも、正倉院に納められた宝物とは、以下のようなものとなります。


756年(天平勝宝8歳)、光明皇后は、夫聖武天皇の七七忌に、天皇遺愛の品約650点と、約60種の薬物を東大寺の廬舎那仏(大仏)に奉献した。その後も光明皇后は3度にわたって、自身や聖武天皇ゆかりの品を大仏に奉献している。これらの献納品については、現存する5種類の「献物帳」と呼ばれる文書に目録が記されている。これらの宝物は正倉院に収められた。


今年の正倉院展の特徴では、北倉23件・中倉23件・南倉14件・聖語蔵4件の計64件が出陳され、そのうち初出陳が9件あります。メインとなるのは、1994年以来、18年ぶりの出陳となるコバルトブルーのワイングラス風の器「瑠璃坏(るりのつき)」です。

その他、聖武天皇ゆかりの北倉の宝物が多めに登場しており、螺鈿細工の美しさが際立った琵琶「螺鈿紫檀琵琶(らでんしたんのびわ)」と、そのバチ「紅牙撥鏤撥(こうげばちるのばち)」、さらには当時の双六(すごろく)盤である「木画紫檀双六局(もくがしたんのすごろくきょく)」と、それに使用したガラス製の駒や象牙の賽子(さいころ)などががまとめて出陳するなど、とても華やかな内容です。

私たちは会期が始まって最初の平日に拝観してきましたが、お昼すぎまでは行列があったものの、夕方近くなると次第に待ち時間は解消されていきます。遠方からの旅行者であればそうはいかないかもしれませんが、余裕のある方は遅めの時間が狙い目ですね。

なお、もともと正倉院宝物が収められていた正倉院の建物も合わせて見学したいところですが、現在は整備工事中のため外観も見られないようになっていますのでご注意ください。


第64回正倉院展@奈良博-01

奈良の秋の風物詩となった正倉院展。平日のお昼過ぎでしたが、奈良公園周辺には観光客の方の姿がいっぱいでした

第64回正倉院展@奈良博-02
第64回正倉院展のポスター。メインビジュアルはコバルトブルーのガラスの器「瑠璃坏(るりのつき)」。細やかな細工が美しい工芸品など、計64点が登場します

第64回正倉院展@奈良博-03
奈良国立博物館の脇のスペースには、無料休憩所やお土産物の販売所も登場しています。食事などもできます

第64回正倉院展@奈良博-04
協賛の読売新聞社さんのブース。今年出陳された宝物をより分かりやすい形で触れる展示などがありますので、ぜひ覗いてみてください。物販スペースもありますし、係の女性が天平衣装で説明してくれたりもしました。ちなみに、隣には無料で使用できるコインロッカーがありますので、拝観に邪魔な荷物はここへ預けましょう

第64回正倉院展@奈良博-06
読売新聞社さんのブースでは、今年出陳されている双六盤「木画紫檀双六局(もくがしたんのすごろくきょく)」が遊べるレプリカがありました。簡単なルール説明もあり、係の方からも説明してもらえますので、お時間のある方はぜひ!

第64回正倉院展@奈良博-05
同じく読売新聞社さんのブース内に貼ってあった美しいポスターたち

第64回正倉院展@奈良博-08
これは拝観が終わった後で撮った画像ですが、入館した15時半頃の待ち時間は5分ほど。館内では、展示室ひとつ丸ごと使った「瑠璃坏」を間近で見るために10分ほど並びましたが、後はスムーズに流れていました

第64回正倉院展@奈良博-09
奈良博の新館側を使って正倉院展は開催されています。1階部分は関連グッズの販売スペースに。さらに、西側には奈良博の「なら仏像館」がありますし、地下通路にはミュージアムショップもあります。正倉院展だけで時間を使い果たしてしまうと全てを楽しめませんので、しっかりとペース配分しましょう!

第64回正倉院展@奈良博-10
正倉院展のチラシ。中央に大きくあるのは、コバルトブルーのワイングラス風の器「瑠璃坏(るりのつき)」。間近でじっくりと拝見しましたが、照明の関係もあって実物はもう少し濃い色合いに見えました。リング状の飾りがちょっと歪なのも可愛らしいですし、銀製の脚台の忍冬唐草文も鮮やかでした!

第64回正倉院展@奈良博-11
チラシ裏面にはその他の出陳物の画像が(詳細な画像は「第64回正倉院展」で見られます)。気になったものを挙げていくときりがありませんね。夢中になって2時間ほど堪能しました


「ガラス製品」に注目するとより楽しめます

今回の展示内容は、やや小さめの展示物が多かったように思えますが、「瑠璃坏」を中心に、多数のガラス製品が出陳されていたのが印象的でした。

●すごろくの駒である各色の「双六子」
●ガラスや釉薬の原料となる「丹(たん)」
●色ガラスのとんぼ玉「碧琉璃(へきのるり)」
●ガラス製の腰飾り用の定規「碧琉璃小尺(へきるりのしょうしゃく)」「黄琉璃小尺(きるりのしょうしゃく)」 など

私は正倉院展を見た後に『正倉院ガラスは何を語るか - 白瑠璃碗に古代世界が見える』という本を読んでみたのですが、正倉院宝物のガラスの器にも色んな謎があることが分かって、とても興味深かったです。

正倉院宝物にはガラス製の器は6つありますが、天平時代には一つも記録されていなかったのだとか。正倉院の宝物は、各年代で在庫数がチェックされていますが、ガラスの器に関しては初出は1193年。それまで0だったのに、一気に24個も記されています。その後、5個前後で推移するのですが、中身は入れ替わったりしているそうです。

ちなみに、「瑠璃坏」が正倉院宝物のリストに登場したのも1193年でした。この器が作られたのは、ササン朝末期の7世紀頃と考えられるそうで、それから長い間誰かが秘蔵しており、1185年の東大寺の大仏が改鋳された際に行われた開眼供養会に献納された可能性が高いようです。来歴からして謎に包まれているのです。

飛鳥の『奈良県立万葉文化館』の敷地には、その当時のガラス工房跡である「飛鳥池遺跡」が保存されています。その当時、ガラスを作ることがどれだけ難しいことだったのかを考えながら、またここに行ってみたいですね。


正倉院展は、見た目に美しい工芸品が見られるだけではありません。興味を持って調べてみると、今まで全く知らなかった歴史の不思議が目の当たりにできるから面白いですね。来年以降もずっと見ていきたいと思います!



大きな地図で見る


■奈良国立博物館

HP: http://www.narahaku.go.jp/index.html
住所: 奈良県奈良市登大路町50番地
電話: 050-5542-8600(NTTハローダイヤル)
休館日: 月曜日(休日の場合は翌日休み)
開館時間: 9:30 - 17:00
観覧料: 平常展 大人500円、大学生250円、高校生以下は無料(特別展の料金はその都度決定)
駐車場: 周辺の有料駐車場を利用
アクセス: JR・近鉄「奈良駅」から、市内循環バス外回り(2番)「氷室神社・国立博物館」バス停下車すぐ(近鉄奈良駅から徒歩約15分)


●第64回 正倉院展

会期: 2012年10月27日(土)~11月12日(月)
休館日: 正倉院展の会期中は無休
開館時間: 9:00 - 18:00(金土日祝は19時まで)
拝観料: 大人 1,000円、大学生・高校生 700円、中学生・小学生 400円

※閉館の1時間30分前から販売する割安の当日券「オータムレイト」などもあります(大人 700円など)。詳しくは ホームページ でご確認ください。


■関連する記事






  • Twitterでフォローする
  • Facebookページを見る
  • Instagramを見る
  • ブログ記事の一覧を見る







メニューを表示
ページトップへ