2017-05-14

千年続く『聖衆来迎練供養会式』2017年@當麻寺(葛城市)

千年続く『聖衆来迎練供養会式』2017年@當麻寺(葛城市)

毎年5月14日、中将姫のご命日に葛城市・當麻寺で営まれる『聖衆来迎練供養会式』。2017年は日曜日にあたったため、たくさんの参拝客で賑わいました。西方浄土から菩薩さまたちが中将姫をお迎えにくる様子を表現した宗教儀式で、荘厳であり和やかです。快晴にも恵まれ、素晴らしい体験になりました!

【追記】當麻寺の「練供養会式」は毎年5月14日でしたが、2019年から「毎年4月14日」開催へと変更になります。


中将姫が浄土に召される様子です

葛城市・當麻寺で毎年5月14日に催される『聖衆来迎練供養会式(しょうじゅ らいごう ねりくようえしき)』(通称:お練り、練供養会式)。

當麻寺の御本尊である「當麻曼荼羅」を一夜にして織り上げたと伝わる「中将姫(ちゅうじょうひめ)」(Wikipedia)の命日に行われる宗教儀式で、二十五菩薩さまたちのお迎えを受けて、中将姫が極楽往生を遂げるシーンが再現されます。

いわゆる「練供養」という法要は、「往生要集」を著した天台僧・恵心僧都源信が、比叡山で始めたとされています。源信の生まれ故郷の當麻にもそれが伝わり、1005年に初めて行われてから、千年以上もずっと続けられています。


私たちはほぼ地元民のようなものですので、ほぼ毎年拝見しています。今年は当日は日曜日に当たったため、例年よりも人出が多く賑やかでした。2017年の様子を簡単にご紹介しておきます。

より詳しく知りたい方は、その準備段階から密着した動画がアップされていましたので、そちらをご覧ください(2016年のもの。20分ちょっとあります)


クローズアップかつらぎ 當麻寺聖衆来迎練供養会式(by かつらぎてれびさん)


練供養会式は16時から始まります

聖衆来迎練供養会式2017 @當麻寺(葛城市)-01
當麻寺の参道。普段はのどかな通りですが、毎年5月14日の『聖衆来迎練供養会式』の日には、たくさんの人が参拝に押し寄せます。参道と仁王門をくぐってすぐの境内には、何軒もの屋台なども立ち並びます

聖衆来迎練供養会式2017 @當麻寺(葛城市)-02
當麻寺といえば、古代の2つの三重塔「東塔・西塔」(いずれも国宝)が現存する、日本で唯一のお寺です。しかし、現在、西塔が本格的な改修工事に入っており、しばらくはこんな姿になっています

聖衆来迎練供養会式2017 @當麻寺(葛城市)-03
當麻寺の練供養会式が始まるのは、16時から。しかし、その前に當麻寺塔頭の「護念院」さんでは『二十五菩薩御面拝観』(紹介記事)があったり、同じく塔頭の「中之坊」さんでは、當麻曼荼羅絵解きなどがあったりと、この日は見どころがたくさんあります

聖衆来迎練供養会式2017 @當麻寺(葛城市)-04
直前の様子。境内に渡された長い橋(来迎橋)で、本堂(この日は「極楽堂」と呼ばれます)とその先の娑婆堂を結びます。今年は日曜日にあたったため、境内は人でいっぱいでした!


現世の姫を菩薩さまがお迎えに

聖衆来迎練供養会式2017 @當麻寺(葛城市)-05
まずは、中将姫のお像を乗せた神輿が、極楽堂から娑婆堂へ向かいます

聖衆来迎練供養会式2017 @當麻寺(葛城市)-06
娑婆世界にいらっしゃる中将姫を、二十五菩薩たちがお迎えに行きます

聖衆来迎練供養会式2017 @當麻寺(葛城市)-07
二十五菩薩のあとには、何も乗っていない蓮弁を持った「観音菩薩(すくい仏)」、さらに両手で拝みながら歩む「勢至菩薩(おがみ仏)」、最後に天蓋を持った「普賢菩薩」が続きます

聖衆来迎練供養会式2017 @當麻寺(葛城市)-08
皆さん、菩薩の面をつけているため視界が狭く、高い橋の上を歩くだけでも怖いでしょう。さらに、観音菩薩と勢至菩薩の両名は、スクワットのような上下動を繰り返しながら進みます。来迎橋の長さは約110mもあり、それを往復するのですから、体力の消耗も激しいのです

聖衆来迎練供養会式2017 @當麻寺(葛城市)-09
東へ向かう往路は逆光となるため、ちょっと見づらいですが、西日を正面から受ける復路はより見やすくなります


西方浄土へ召されていきました


この日、知人が撮影した動画2本。娑婆堂では、こうした動きで中将姫をお迎えし、すくい仏の蓮弁に中将姫像を乗せて、極楽浄土へとお連れします




これは私が撮影した動画です(1:32)。娑婆堂にいらっしゃった中将姫を、極楽堂(本堂)へとお連れする様子です。極楽浄土への来迎を表しています



聖衆来迎練供養会式2017 @當麻寺(葛城市)-10
写真で。遠くから、ゆっくりとしたムーブで少しずつ、着実に西方浄土へ近づいていきます。西日を受けて進む姿は神々しいですし、足を踏み下ろす音が間近に聞こえてきたりで、ものすごいライブ感があります!

聖衆来迎練供養会式2017 @當麻寺(葛城市)-11

聖衆来迎練供養会式2017 @當麻寺(葛城市)-12

聖衆来迎練供養会式2017 @當麻寺(葛城市)-13

聖衆来迎練供養会式2017 @當麻寺(葛城市)-14

聖衆来迎練供養会式2017 @當麻寺(葛城市)-15

聖衆来迎練供養会式2017 @當麻寺(葛城市)-16

聖衆来迎練供養会式2017 @當麻寺(葛城市)-17

聖衆来迎練供養会式2017 @當麻寺(葛城市)-18
その後を、普賢菩薩や二十五菩薩が続き、

聖衆来迎練供養会式2017 @當麻寺(葛城市)-19
僧侶の方たち、楽人、稚児行列らが続きます

聖衆来迎練供養会式2017 @當麻寺(葛城市)-20
お袈裟姿の小さな女の子。昨年も話題になっていましたが、動きが本当に可愛らしいんです。今年も注目の的でした!

聖衆来迎練供養会式2017 @當麻寺(葛城市)-21
17時半くらいにはすべて終了します。背後の二上山へと夕日が沈み、中将姫さまは無事に浄土へと旅立たれました。荘厳であり、和やかであり。独特の雰囲気で催される宗教儀式です



■當麻寺

HP: 中之坊- http://www.taimadera.org/ 、奥院- http://www.taimadera.or.jp/など
住所: 奈良県葛城市當麻1263
電話: 中之坊 0745-48-2001、奥院 0745-48-2008 など
宗派: 高野山真言宗・浄土宗
本尊: 当麻曼荼羅
創建: 7世紀前半ごろ
拝観料: 境内は無料(伽藍:500円、中之坊:500円、西南院:300円、奥院:300円、護念院:300円)
拝観時間: 9:00 - 17:00
駐車場: 当日は「當麻健民グランド」などが臨時駐車場として開放されます(台数に限りあり)
アクセス: 近鉄南大阪線「当麻寺駅」から徒歩約20分


■関連する記事


■参考にさせていただきました

當麻寺練供養(聖衆来迎練供養会式) - 葛城市
中将姫ご縁日 練供養会式 | 當麻寺 中之坊と伽藍堂塔 -奈良県 葛城市-







  • Twitterでフォローする
  • Facebookページを見る
  • Instagramを見る
  • ブログ記事の一覧を見る







メニューを表示
ページトップへ