2016年『聖衆来迎練供養会式』を拝見しました @當麻寺(葛城市)
5月14日の「中将姫」の命日に葛城市・當麻寺で営まれる『聖衆来迎練供養会式』。今年も拝見できました。二十五菩薩と観音・勢至・普賢菩薩さまが中将姫をお迎えにやって来る、ある種の宗教劇です。激しくもあり、厳かであり、静と動の対比が素晴らしいんですよね。簡単にご紹介しておきます。
【追記】當麻寺の「練供養会式」は毎年5月14日でしたが、2019年から「毎年4月14日」開催へと変更になります。
毎年5月14日、千年以上続く法要
中将姫の命日にあたる5月14日、葛城市・當麻寺で行われる『聖衆来迎練供養会式(しょうじゅう らいごう ねりくようえしき)』(通称:お練り、練供養会式)。
「往生要集」を著した天台宗の僧・恵心僧都源信(Wikipedia)が、比叡山で始めたとされており、源信の生まれ故郷である當麻にも伝わっています。1005年、當麻寺で初の練供養会式が行われて以来、千年以上も途切れること無く続けられています。
私たちは自宅から近いですので、ほぼ毎年拝見しています。やはり現地で間近に見るとライブ感がすごくて、本当に素晴らしいんですよね。今年は週末の土曜日開催となったため、例年よりは人も多かったようですが、それでもまだのんびりとした雰囲気もあり、素敵な一日になりました。
ちなみに、2017年5月14日は「日曜日」になるそうです。遠方の方も伝統の練供養会式を拝見するチャンスですから、ぜひお越しください!
中将姫を極楽へお迎えする様子です
當麻寺の『聖衆来迎練供養会式』は、西方浄土から二十五菩薩と観音・勢至・普賢菩薩さまが、来迎橋をわたって中将姫をお迎えにやって来るシーンを表した、ある種の宗教劇です。荘厳であり、華やかであり、とても力強さを感じる法要です。
その花形ともいえるのが、左右に両手を振り上下動を繰り返しながらゆっくりと進む「観音菩薩さま(すくい仏)」と「勢至菩薩さま(拝み仏)」です。
他の菩薩さまたちは、隣の世話人に支えられるように静々と歩きますが(面の視界がほぼないため)、このお二人は激しく、そしてゆっくりと、力強く来迎橋をわたっていきます。この静と動の対比がいいんですよね。
當麻寺のお練りは、16時から始まります。その1時間ほど前、本堂から来迎橋を見たところ。間近で見るだけであれば、30分前くらいからでも近い位置をキープできます。しかし、撮影目当てで行く方はいいポジションをキープするために早めに陣取ったほうがベターでしょう
練供養会式は、中将姫のご命日である「5月14日」に催されます。ちょうど當麻寺の名物・牡丹のシーズンで、各塔頭のお庭では美しい花が見られます
目の前を通る僧侶や菩薩さまの袈裟など、間近で見ると本当に美しいんです!その様子はこれまで何度もご紹介していますので、今回は簡単に画像メインでご紹介します
今年のお練りでもっとも歓声を浴びていたのが、小さな小さな尼さん姿の女の子でした。本当に可愛らしくて、みんなが笑顔になりました!
16時から。往路は逆光になります
前半は、極楽堂(本堂)から小さな娑婆堂へと向かいます。この時間帯は逆光になるので撮影は難しく、後半の逆向きになったときが撮影のチャンスです
極楽堂からすくい仏さまが登場。じりじりと時間をかけて進んでいきます。この日はかなり気温が上がりましたし、面をつけて厚い衣装を着てずっとスクワットをやっているようなものですから、大変だったことでしょう
すくい仏とおがみ仏。迫力あります!
娑婆堂から極楽堂へ。今年は本堂に近い場所で拝見したのですが、このあたりは来迎橋もやや高めで、見上げる形になります。娑婆堂に近づくほど低くなりますので、見やすさ・撮影しやすさなどは変わってきます
すくい仏さまが持つ蓮弁には、往路は何も乗っていませんでしたが、復路になると中将姫の化身の仏さまが乗っています。姫の念願がかなって極楽へ召されていくシーンを表しています
これだけ間近で拝見していると、来迎橋をしっかり踏みしめる音などもはっきりと聞こえてきます。この迫力、ぜひ現地で感じてみてください!
両菩薩に続いて、二十五菩薩さまが練り歩きます。白いお顔は地蔵菩薩さまなど
さまざまな持物を手にした菩薩さまたち。背負った光背に西日が反射してきれいです!
練供養会式が終わるころには日もさらに傾いています。あの山の向こうには極楽浄土が待っている、古の人々はそう信じて祈りを捧げていました。練供養会式の日はそんな思いがよりリアルに感じられます
■當麻寺
HP: 中之坊- http://www.taimadera.org/ 、奥院- http://www.taimadera.or.jp/など
住所: 奈良県葛城市當麻1263
電話: 中之坊 0745-48-2001、奥院 0745-48-2008
宗派: 高野山真言宗・浄土宗
本尊: 当麻曼荼羅
創建: 7世紀前半ごろ
拝観料: 境内は無料(伽藍:500円、中之坊:500円、西南院:300円、奥院:300円、護念院:300円)
拝観時間: 9:00 - 17:00
駐車場: 無料駐車場あり(台数に限りがあります)
アクセス: 近鉄南大阪線「当麻寺駅」から徒歩約20分
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