2015-05-11

日本最古!800年前の夫婦狛犬『石獅子』@東大寺南大門

日本最古!800年前の夫婦狛犬『石獅子』@東大寺南大門

運慶・快慶らが作った仁王像が有名な、東大寺・南大門。その裏側にひっそりと「日本最古」とされる石像の狛犬『石獅子』(重文)が安置されています。南都焼討からの復興期、重源によって日本に招かれた、南宋の石工「伊行末」(いぎょうまつ)の作。今から800年も昔、1196年のものですが、今なお祥雲文など鮮やかに遺っています。ユニークで愛らしいルックスですので、ぜひ注目してみてください!


東大寺南大門は仁王像だけではありません

東大寺・南大門の入口部分に立つ、鎌倉時代の巨大な山門「南大門」。平重衡の南都焼き討ちにあい、東大寺は奈良の大仏さまなど、主要な堂塔や仏像を焼失してしまった際に再建されたものです。

南大門には、寺を守護する巨大な「金剛力士像」(国宝)が安置されています。左手には口を開いた「阿形(あぎょう)」、右手に口を閉じた「吽形(うんぎょう)」があり、門の内側を向き合うように配置されています。

製作者は、鎌倉時代に力感あふれる仏像彫刻を生み出し、南都や鎌倉で活躍した、運慶・快慶ら「慶派」と呼ばれる仏師たち。大きく迫力のある像だけに、常に参拝客の注目を浴びています。

しかし、金剛力士像の背後(南大門の大仏殿側)に置かれた、一対の狛犬(正確には「石獅子」)に注目する方は多くありません。この方たちもなかなか独特のルックスをしており、国の重要文化財に登録されている像なのです!


石獅子@東大寺南大門-01

たくさんの観光客で賑わう東大寺・南大門。基壇上でも25.46mという高さの巨大な山門です。宋から伝わった「大仏様」(または「天竺様」)と呼ばれる建築様式が遺る、貴重な建築物です

石獅子@東大寺南大門-02
運慶・快慶らが作った「金剛力士像」に目が行きますが、南大門の北側(大仏殿側)には、ちょっと変わった石獅子がちょこんと座っています。こちらもぜひ注目してみてください!


中国・南宋の石工「伊行末」の作

東大寺・南大門の狛犬は、今から約800年も昔、鎌倉時代の東大寺復興期に作られたものです。

陣頭に立ったのが、中国・南宋へ3度も渡ったと伝わる「俊乗坊重源」(Wikipedia)でした。焼け落ちてしまった奈良の大仏さまの鋳造と、大仏殿の再建のために、宋の技術者「陳和卿(ちんなけい)」などを呼び寄せ、再建を進めていきます。

同じ時期に宋から日本へ招かれた「伊行末」(いぎょうまつ・いのゆきすえ)という石工がおり、東大寺南大門の狛犬は彼の1196年の作です。

東大寺の復興事業に関わると同時に、奈良市・般若寺「十三重石塔」、宇陀市・大蔵寺「十三重石塔」、宇陀市・大野寺「弥勒磨崖仏」なども手がけました。

宋の文化に詳しかった重源は、大仏殿の再建でも宋風を取り入れます。慶派の仏師に、大仏の脇侍の虚空蔵・如意輪観音像・四天王像などの制作を命じたのと同時に、同じ組み合わせで石造仏も制作させていたのだとか(現存せず)。木像と石像を同じ空間に祀ろうとしていたようなのです。

南大門の狛犬もこの時に作られたもので、当時は中門に置かれていたそうです。

居場所は南大門へ移りましたが、800年以上も昔、中国人の石工によって刻まれたエキゾチックな一対の石獅子が、いまだに現存しているのですから、素晴らしいですよね!


雄の「東方像」。全体が傾いています

石獅子@東大寺南大門-03
獅子に向かって左側(吽形像の裏側)にある「東方像」。こちらは雄の獅子を表しています。基壇もふくめた高さは321.5cm。当初からこうだったのかは不明ですが、かなり左側へ傾いています

石獅子@東大寺南大門-04
東方像を横からみたところ。たてがみが見事ですが、前足の脇にも巻き毛の表現があったり、尻尾も獅子と狛犬の中間的な表現に見えたり、独特な造形となっています

石獅子@東大寺南大門-05
顔を正面から。顔面が破損してしまっているため、表情は分かりません

石獅子@東大寺南大門-06
雄なので、男性のシンボルも表現されています

石獅子@東大寺南大門-07
注目なのが、台座の鮮やかな文様です!東方像の羽目石部分には、獅子や花のレリーフが彫られていて、最下部の基壇部分にはびっしりと雲の文様「祥雲文」が刻まれています

石獅子@東大寺南大門-08
アップで。蓮弁を彫った部分(請花・反花)なども、他ではあまり見られない独特のものなのだとか


雌ながら立派なたてがみを持つ「西方像」

石獅子@東大寺南大門-09
獅子に向かって右側(阿形像の裏側)にある「西方像」。雌の獅子を表していて、雌雄一対になっています。やや小さめになっていて、基壇もふくめた高さは305.5cm。口の部分の欠損もなく、独特な表情が見て取れます

石獅子@東大寺南大門-10
真横から。雌として彫っていながら、雄と同様の立派なたてがみがあります。当時の中国や日本では、本当のライオンを見たことが無かったため、こうした造形になったのでしょう

石獅子@東大寺南大門-11
アップで。胸の周りのベルト(綬帯)や房飾り(瓔子)もはっきりと見えます。美しいですね

石獅子@東大寺南大門-13
四角張った口、大きく広がった鼻の穴!敵を威嚇する表情のようですが、どこかユーモラスです

石獅子@東大寺南大門-14
つま先の部分は欠けてしまっています

石獅子@東大寺南大門-12
こちらの台座も見事!西方像の羽目石部分には、鹿や飛天、花のレリーフが彫られているとか。金網に囲まれているため細部まで見えないのが残念です


■東大寺

HP: http://www.todaiji.or.jp/
住所: 奈良県奈良市雑司町406-1
電話: 0742-22-5511
宗派: 華厳宗大本山
本尊: 盧舎那仏(国宝)
創建: 8世紀前半
開基: 聖武天皇
拝観料: 大仏殿-500円、法華堂-500円、戒壇院-500円など
拝観時間: 8:00 - 17:00(季節・施設による)
駐車場: 近隣に有料駐車場あり
アクセス: JR奈良駅・近鉄奈良駅より、市内循環バス「春日大社大仏殿前」下車、徒歩5分

※実際にお詣りしたの「2015年4月2日」でした


■参考にさせていただきました

伊派 (伊行末系) 石大工の作品
狛犬と私: 【狛犬アルバム】東大寺南大門(奈良県奈良市雑司町)
東大寺南大門の狛犬 - 愛しきものたち


■参考文献

供養をかたちに―歴史的石造物を訪ねて (「月刊石材」別冊シリーズ)紹介記事


■関連する記事










  • Twitterでフォローする
  • Facebookページを見る
  • Instagramを見る
  • ブログ記事の一覧を見る







メニューを表示
ページトップへ