2018-03-01

練行衆が鳥獣にご飯を施す『生飯投げ』@東大寺お水取り

練行衆が鳥獣にご飯を施す『生飯投げ』@東大寺お水取り

東大寺・二月堂で、毎年3月1日~15日まで行われる「修二会(お水取り)」。籠もりの僧(練行衆)の食事は1日1回のみで、二月堂の下の食堂(じきどう)で行われます。食後には、閼伽井屋の屋根に向けて紙で包んだご飯を投げて、鳥や獣に施す『生飯投げ(さばなげ)』が見られます。夜のお松明だけではないお水取りの一面もご覧ください。


752年から続く不退の行法「お水取り」

東大寺の「二月堂(にがつどう)」で、毎年3月1日~15日まで、『修二会(しゅにえ)』(お水取り)が行われます。

大仏開眼と同じ年、天平勝宝4年(752年)に高僧・実忠によって始められたと伝わっています。2018年は「1267回目」。二月堂が火事に見舞われたり、太平洋戦争が勃発した戦時体制下であっても途切れること無く続けられてきました。

修二会の行を勤める11名の「練行衆(れんぎょうしゅう)」は、3月1日から14日まで、連日の激しい本行を勤めます。巨大な「お松明(おたいまつ)」が有名で、これは二月堂に上堂する練行衆の足元を照らすために灯されるものです。


修二会の期間中、練行衆は一日を日中から夜明けまでを六つの時に分けた「六時」(日中・日没・初夜・半夜・後夜・晨朝)それぞれに悔過作法が勤められ、その間にもさまざまな法要や行事が行われます。

練行衆の食事は「食堂作法」と呼ばれる行の一部であり、1日1回のみ。食後には紙で包んだご飯を鳥や獣に施す『生飯投げ(さばなげ)』が行われます。


生飯投げ @東大寺お水取り-01

「修二会(お水取り)」が行われる東大寺・二月堂。修二会は「十一面悔過(じゅういちめんけか)」といい、我々が犯した過ちを、二月堂のご本尊・十一面観世音菩薩(秘仏)へ懺悔し、国家安泰や五穀豊穣をも祈る行事です

生飯投げ @東大寺お水取り-02
二月堂の石段の脇にある「二月堂修二会参籠宿所」。お水取りの期間中、参籠する練行衆たちはここで生活をともにします

生飯投げ @東大寺お水取り-04
二月堂の真下、参籠宿所のすぐ横にあるのが「食堂」です。期間中は通常12時から(5日は11:30~、8日は12:20頃~)、練行衆はここで1日1度きりの食事をします


お水取りの1日の行の始まり「食堂作法」

生飯投げ @東大寺お水取り-07
お水取りの期間中、練行衆のたちは「食堂作法(じきどうさほう)」の行から1日が始まります。時間になると(通常は12:00から)参籠宿所から合掌しながら駆け足で登場し、食堂へと入ります

生飯投げ @東大寺お水取り-08

生飯投げ @東大寺お水取り-09

生飯投げ @東大寺お水取り-10
食堂では、食事が運び込まれてからも長い祈りが聞こえてきます。食事は一汁二菜の膳。食事中は話をしてはいけないため、とても静かに。しばらくすると扉が開いて、法要の補佐役「堂童子」が顔を出して「あらいくも」と叫ぶと、食堂へお湯が運び込まれます


屋根に向けてご飯を高々と投げます!

生飯投げ @東大寺お水取り-11
食事が終わった練行衆たちは、順番に南側の入り口から姿をあらわし……

生飯投げ @東大寺お水取り-12
練行衆たちは、自分たちの食事の一部を紙に包み、隣接する「閼伽井屋(あかいや)」の屋根に向かって投げる『生飯投げ(さばなげ)』が行われます

生飯投げ @東大寺お水取り-13
フォームはそれぞれ。順番に高く投げていきます

生飯投げ @東大寺お水取り-14
投げられたご飯は、鳥や鹿などに施されるもの。1日1度きりの食事であっても、独り占めしたりしないのです

生飯投げ @東大寺お水取り-15

生飯投げ @東大寺お水取り-16

生飯投げ @東大寺お水取り-17

生飯投げ @東大寺お水取り-18

生飯投げ @東大寺お水取り-20
生飯投げが行われた「閼伽井屋(あかいや)」の屋根。さっそく鳥がやってきてついばむ姿も見られました。屋根には、鵜(う)を象った瓦も見られます。地中から白と黒、二羽の鵜(う)が飛び立ち、そこから香水(こうずい)が湧き出したという伝承によるものです

生飯投げ @東大寺お水取り-21
練行衆は一度そろって参籠宿所に戻り……

生飯投げ @東大寺お水取り-23
その日の行の始まりとなる「日中」の勤行のため上堂していきます

生飯投げ @東大寺お水取り-25
お水取りの期間中、二月堂では練行衆たちの祈りが続きます。夜の「おたいまつ」が有名ですが、それは行の一部に過ぎません。ぜひ昼間にも訪れてみてください!



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■東大寺

HP: http://www.todaiji.or.jp/
住所: 奈良県奈良市雑司町406-1
電話: 0742-22-5511
宗派: 華厳宗大本山
本尊: 盧舎那仏(国宝)
創建: 8世紀前半
開基: 聖武天皇
拝観料: 大仏殿・法華堂・戒壇堂-各600円
拝観時間: 4~10月 7:30~17:30、11月~3月 8:00~17:00
駐車場: 近隣に有料駐車場あり(一日1,000円程度)
アクセス: JR奈良駅・近鉄奈良駅より、市内循環バス「春日大社大仏殿前」下車、徒歩5分


※修二会(お水取り)は、毎年3月1日~14日です。15日に満行を迎えます。
※実際に拝見したのは「2017年3月10日」でした。


■参考にさせていただきました

修二会|年中行事|華厳宗大本山 東大寺 公式ホームページ
用語説明 其の一|修二会|年中行事|華厳宗大本山 東大寺 公式ホームページ
東大寺修二会(お水取り)について 2012 - Togetterまとめ
ええ古都なら|イベント情報|東大寺二月堂修二会(お水取り・お松明)
鳥獣に生飯施し - 食作法/お水取り2017 | 総合 | 奈良新聞WEB


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