2014-03-03

752年から続く不退の行法『修二会(お水取り)』@東大寺二月堂

752年から続く不退の行法『修二会(お水取り)』@東大寺二月堂

奈良の大仏さまがおわす「東大寺」で、752年に始められて以来、一度も途切れず続けられている不退の行法『修二会(しゅにえ。お水取り)』(毎年3月1日~15日まで)。2014年は、1263回目になります。「奈良に春を呼ぶ」と言われるありがたい行事を、間近で拝見してきました。


実忠和尚の時代から途切れず続いています

奈良の大仏さまがおわす、世界遺産のお寺「東大寺」。その「二月堂(にがつどう)」では、毎年3月1日~15日まで、『修二会(しゅにえ)』という、一般的に「お水取り」として知られる法要が行われます。

その歴史は古く、天平勝宝4年(752年)、東大寺を開山した「良弁僧正」(ろうべんそうじょう)の高弟である「実忠和尚」(じっちゅうかしょう)によって始められたと伝わっています。2014年は「1263回目」。その間に二月堂が火事に見舞われたり、太平洋戦争が勃発した戦時体制下であっても途切れること無く続けられてきました。

修二会は、正式には「十一面悔過(じゅういちめんけか)」といい、我々が日頃から犯している過ちを、二月堂のご本尊・十一面観世音菩薩(秘仏)へ懺悔し、ひいては国家安泰や五穀豊穣などを祈る行事となりました。

修二会の行を勤める11名の「練行衆(れんぎょうしゅう)」は、2月20日より本行に備えるための別火(べっか)と呼ばれる生活に入り、3月1日から14日まで、連日の激しい本行を勤めます。

お水取りの法要では、巨大な「お松明(おたいまつ)」が有名です。巨大なお松明は、二月堂に上堂する練行衆の足元を照らすために灯されるものであり、お水取りは単なる火祭ではありません。


この日は久しぶりにお水取りを拝見しましたが、平日ながらすごい人出でした。とにかく冷え込みますので、くれぐれも温かい格好でお出かけください!


『修二会(お水取り)』@東大寺二月堂-01

奈良に春を呼ぶ行事「お水取り」が行なわれる東大寺二月堂。大きなお松明(おたいまつ)が登場するのは通常は19時からです(約20分ほど)。私たちは平日の17時半くらいに現地へ到着しましたので、まだ余裕がありました

『修二会(お水取り)』@東大寺二月堂-06
お松明が登場するまでは、いつものように二月堂にも上がれます

『修二会(お水取り)』@東大寺二月堂-05
東大寺・二月堂は、京都・清水寺のように「舞台造り」になっていますので、普段からとてもいい景色が眺められます。この日は快晴で、夕日が美しく沈んでいきました


平日でも混雑します。暖かい格好で!

1時間半前に到着していた私たちは、二月堂の中央真下、最前列くらいの位置へ入ることができました。

以前の記事にも書きましたが、お松明を楽しむための注意点などを記しておきます。

・平日であれば1時間半くらい前、休日であればさらに早めに到着しておくといいでしょう。すぐ真横をお松明が通る「登廊」の近くなど、人気の場所は早めに埋まります。12日の「初夜大松明(籠松明)」、14日の「しりつけたいまつ」などは特に混雑しますので、さらに注意が必要です(詳しくはこちら

・一脚や三脚の使用は禁止。フラッシュ撮影も禁止です。カメラ撮影のための脚立なども注意されます

・トイレは、二月堂に向かってすぐ左手など、何箇所かありますが、混雑のためトイレに行く道がふさがります。早めに済ませておきましょう。

・とにかく寒いですから、最大限の防寒を。100円ショップで売っているような、簡易の折りたたみ椅子などあると、待ち時間が楽です

・間近で見ていると火の粉が飛んできて、上着に穴があく可能性もあります。近く見ていると灰だらけになりますので、覚悟しておきましょう

・雨の日には、お堂の屋根がある場所から拝見するなどの方法もあります


『修二会(お水取り)』@東大寺二月堂-07

二月堂も次第に夕闇に包まれていきます

『修二会(お水取り)』@東大寺二月堂-09
18時20分ごろの様子。二月堂の真下部分はほぼ埋まりました

『修二会(お水取り)』@東大寺二月堂-10
赤子のころにワシにさらわれた良弁僧正が、杉の木に引っ掛けられていたという言い伝えがある「良弁杉」。その後ろには美しい三日月が


練行衆の足元を照らす「お松明」は大迫力!

19時になると、巨大なお松明の灯りが、登廊を上がってきます。通常の日は10本で、1本ずつ順番に登場します(12日は11本に、14日の「しりつけたいまつ」では10本のお松明がずらりと並びます)。

お松明は、長さ約6m、重さ約40kg。練行衆の足元を照らすため、童子がこれを持って先導します。まず二月堂向かって左手に現れて高く掲げられ、少し間をおいてから右手へ移ります。間近で見るととにかく迫力がありますね。

しかし、お松明は厳粛な修二会の一環ですから、決して大きな声で騒いだりしてはいけません。心の中で喝采をあげたり、無病息災を祈ったりしておきましょう。


『修二会(お水取り)』@東大寺二月堂-11

『修二会(お水取り)』@東大寺二月堂-12

『修二会(お水取り)』@東大寺二月堂-13

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『修二会(お水取り)』@東大寺二月堂-17

『修二会(お水取り)』@東大寺二月堂-19

『修二会(お水取り)』@東大寺二月堂-20

『修二会(お水取り)』@東大寺二月堂-21

『修二会(お水取り)』@東大寺二月堂-22

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『修二会(お水取り)』@東大寺二月堂-26

『修二会(お水取り)』@東大寺二月堂-27


二月堂の「局」では行法を聴聞できます

お松明は通常30分ほどで終わりますが、お水取りはそれだけではありません。

お松明に先導されて上堂した練行衆の方々が、これから二月堂でさまざまな行法を執り行います。これは二月堂の東西南北に設けられた「局(つぼね)」というスペースで聴聞できますので、ぜひ静かにご覧ください。

(撮影や録音、私語は一切禁止。脱いだ靴を入れる袋を持参しましょう)

毎年決まった法要が行なわれていますし、数取り懺悔・神名帳と過去帳の読み上げ・お水取り・達陀(だったん)など、特定の日のみの行も数多くあります。「修二会」のページに解説がありますし、「ええ古都なら|東大寺二月堂修二会(お水取り・お松明)」のページも詳しいです。


『修二会(お水取り)』@東大寺二月堂-28

お松明が終わったばかりの二月堂。しばらくは結構な混雑具合ですが、少し待っていると静かになります

『修二会(お水取り)』@東大寺二月堂-29
二月堂からの眺め。この景色は毎晩観られますが、お水取り期間中はまた特別な感慨がありますね

『修二会(お水取り)』@東大寺二月堂-30
二月堂には、東西南北に「局(つぼね)」が設けられていて、間近から行を聴聞できます(写真は東局の前)。読経の声、神名帳などの読み上げ、堂内を走る足音などが響いてきます。真冬の夜の畳部屋は冷え込みが厳しいですので、くれぐれも暖かい格好でお出かけください。なお、撮影や私語などは厳禁です

『修二会(お水取り)』@東大寺二月堂-31
二月堂の前にある「興成(こうじょう)神社」。修二会行法を守護する三社(興成・飯道・遠敷)のひとつ。若狭から遠敷明神が水を送った際に、黒白の二羽の鵜が飛び出て、そこから甘泉が湧きだしたとされます。その鵜を祀ったお社です。神仏習合なんて言葉すら超越していますね!

『修二会(お水取り)』@東大寺二月堂-32
登廊の手前にもお松明が並んでいます

『修二会(お水取り)』@東大寺二月堂-34
二月堂の真向かいにある建物では、練行衆の方々が食事が作られます

『修二会(お水取り)』@東大寺二月堂-35
建物の前に、残ったご飯や野菜くずなどが置かれ、それを鹿が食べていました。驚きながら感動しました!

『修二会(お水取り)』@東大寺二月堂-36
大仏殿へ続く道。夜の東大寺境内を歩くだけでも気持よくなりますね

『修二会(お水取り)』@東大寺二月堂-37
奈良国立博物館では、毎年お水取りの期間中には特別陳列「お水取り」を開催しています(2014年は2月8日~3月16日まで)。私たちも拝見しましたが、お水取りに関する充実した展示内容ですから、ぜひ合わせてご覧ください



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■東大寺

HP: http://www.todaiji.or.jp/
住所: 奈良県奈良市雑司町406-1
電話: 0742-22-5511
宗派: 華厳宗大本山
本尊: 盧舎那仏(国宝)
創建: 8世紀前半
開基: 聖武天皇
拝観料: 大仏殿-500円、法華堂-500円、戒壇院-500円など
拝観時間: 8:00 - 17:00(季節・施設による)
駐車場: 近隣に有料駐車場あり(一日1,000円程度)
アクセス: JR奈良駅・近鉄奈良駅より、市内循環バス「春日大社大仏殿前」下車、徒歩5分


■参考にさせていただきました

修二会|年中行事|華厳宗大本山 東大寺 公式ホームページ
東大寺修二会(お水取り)について 2012 - Togetterまとめ
ええ古都なら|イベント情報|東大寺二月堂修二会(お水取り・お松明)
特別陳列「お水取り」|奈良国立博物館


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