2016-08-24

特別展『忍性 ─救済に捧げた生涯─』@奈良国立博物館

特別展『忍性 ─救済に捧げた生涯─』@奈良国立博物館

奈良国立博物館で開催中の特別展『生誕800年記念特別展 忍性 ─救済に捧げた生涯─』(~2016年9月19日まで)。鎌倉時代に弱者救済に尽力した名僧の生涯に迫った企画ということで、やや渋目の内容でしたが、渋めの中にも見どころたっぷり!鑑真和上の生涯を描いた「東征伝絵巻」全5巻の同時展示、清凉寺式の釈迦如来立像の比較展示なども。満足度高めでした!


鎌倉時代の名僧・忍性菩薩とは?

奈良国立博物館」で開催中の『生誕800年記念特別展 忍性(にんしょう) ─救済に捧げた生涯─』(2016年7月23日(土)~9月19日(月祝))。後期の内容に展示替えされた直後に、ようやく拝見できました。

貧者や病人の救済に尽力したことで知られる「忍性」(Wikipedia)ですが、仏教の都・大和からは数多くの高僧が輩出されているため、忍性の功績は埋もれてしまいがちです。大雑把にまとめるとこのようなイメージでしょうか。

●鎌倉時代の大和国城下郡屏風里(現在の磯城郡三宅町)生まれ
●西大寺を復興した「叡尊(えいそん)」(Wikipedia)から真言密教や戒律受持の教えを授かった真言律宗の僧侶
●大和郡山市・額安寺、奈良市・西大寺などで修行した
●ハンセン病患者を保護・救済する施設「北山十八間戸(きたやまじゅうはちけんこ)」(Wikipedia)を設立するなど、弱者救済に尽力した
●行基菩薩、鑑真和上、聖徳太子、文殊菩薩を篤く信仰した
●後半生には活動の拠点を鎌倉に移し、より大規模に戒律復興と社会事業を展開した
●遺骨は三分され、大和郡山市・額安寺、行基菩薩ゆかりの生駒市・竹林寺、鎌倉・極楽寺に埋葬された

今回の特別展は、来年2017年は忍性の生誕800年にあたって開催されたもので、忍性ゆかりの寺院に伝わる寺宝や文化財を集め、その生涯を追う形になっています。

私などには読むことのできない古文書なども多いため、やや渋目の印象も受けましたが、想像以上にバラエティに富んだ内容です。たっぷり2時間以上かけて拝見し、いろんなことが学べました!


『忍性』展 @奈良博-01

奈良公園に設置されている、奈良国立博物館の展示内容のポスター。新館では『忍性』展が、リニューアルが終わったなら仏像館では「名品展」が開催されています

『忍性』展 @奈良博-02
遠目から。早くに亡くした母の願いをうけて僧侶となった忍性菩薩。今回の特別展のキャッチフレーズは「すべては、母からはじまった。」で、母性を表すためでしょうか、目立つピンク色が使用されています


仏像から絵巻まで、見どころたっぷり!

『忍性』展 @奈良博-03
見開きのチラシから、簡単に見どころをピックアップしてみます。正面のお像は、鎌倉・極楽寺に伝わる「忍性菩薩坐像」。以前に鎌倉へ行った際には拝見できなかったので、ようやくお会いできて感動しました!ちなみに、忍性菩薩は尖り気味の頭、そして赤みを帯びた団子鼻が特徴だったそうで、この像にもその特徴が表現されています。もっと特徴の出たお軸も展示されています

『忍性』展 @奈良博-04
チラシの見開きページ。仏像から絵巻、骨蔵器や舎利容器など、忍性菩薩ゆかりの品々がそろっています。中央部分に掲載されている絵巻は、鑑真和上が戒律を伝えるために来朝した際のエピソードを記した「東征伝絵巻」(重文。唐招提寺蔵)です。全5巻が同時公開されるというのは史上初だとか!展示スペースもゆったりとしていて、とても見応えがありました

『忍性』展 @奈良博-05
ゆかりの仏像など。文殊菩薩を篤く信仰していたかたなので、獅子に乗った騎獅像、頭を5ヶ所に束ねた「五髷文殊」など、さまざまなタイプが見られました。向かって右手は奈良・般若寺「文殊菩薩騎獅像」(重文)。すでに展示期間が終わっていてお会いできませんでした……。残念!

『忍性』展 @奈良博-06
鎌倉・極楽寺の十大弟子像なども。面白かったのが、いわゆる「清凉寺式釈迦如来立像」のバリエーションが何体か比較できたこと。縄を巻いたような髪の毛、同心円状の衣紋の表現などが特徴で、元となる清凉寺像(会場に大きなパネルが展示されていました)の姿を写して多くの像が刻まれました。どれも同じように思っていたのですが、それぞれちゃんと個性があるんですね。貴重な体験でした

『忍性』展 @奈良博-07
忍性菩薩の遺骨を収めた骨蔵器たち。額安寺・竹林寺・極楽寺に分けて埋葬されているため、お骨を収める容器も3つあります。これらがすべて集まるのも史上初だとか。他の埋葬品なども展示されていて、これも見比べてみるからこその面白さがありました

『忍性』展 @奈良博-08
この他にも見どころは多数あります。鎌倉時代の名僧にスポットライトが当たった貴重な機会ですので、ぜひご覧ください!


奈良県内の忍性菩薩ゆかりの地

忍性菩薩の生誕地である、現在の三宅町屏風(びょうぶ)の地には「忍性菩薩御誕生之地石碑」が建っています

忍性菩薩が開いた、ハンセン病などの不治難病の患者を救済するための福祉施設『北山十八間戸』。事前予約すれば敷地内へも入れるそうです

若いころに修行した大和郡山市・額安寺(かくあんじ)。記事中に写っている「虚空蔵菩薩半跏像」や「忍性菩薩骨臓器」(ともに重文)などの寺宝は、残念ながら文化庁へ売却されてしまっており、お寺ではもう拝見できません。いずれも今回の『忍性』展に出陳されていますので、こちらでご覧ください

忍性菩薩のお墓があったお寺のひとつ、生駒市・竹林寺。積極的に社会活動を行った「行基菩薩」もここに埋葬されており、行基を敬慕していたことから、ここに埋葬されることを望んだのだそうです。墓石などは新しくなっています



■奈良国立博物館

HP: http://www.narahaku.go.jp
住所: 奈良県奈良市登大路町50番地
電話: 050-5542-8600(NTTハローダイヤル)
休館日: 月曜日(休日の場合は翌日休み)
開館時間: 9:30 - 17:00
観覧料: 平常展 大人500円、大学生250円、高校生以下は無料(特別展の料金はその都度決定)
駐車場: 周辺の有料駐車場を利用
アクセス: JR・近鉄「奈良駅」から、市内循環バス外回り(2番)「氷室神社・国立博物館」バス停下車すぐ(近鉄奈良駅から徒歩約15分)


●生誕800年記念特別展『忍性 ─救済に捧げた生涯─』

HP: http://www.narahaku.go.jp/exhibition/2016toku/ninshou/ninshou_index.html
会期: 2016年7月23日(土)~9月19日(月祝)
休館日: 毎月曜日(8月8日、8月12日、9月19日は開館)
開館時間: 9:30 - 18:00
拝観料: 大人 1,300円、大学生・高校生 900円、小中学生 500円


■参考にさせていただきました

忍性 - Wikipedia










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