2017-09-04

『奈良 西大寺展』後期展示スタート!@あべのハルカス美術館

『奈良 西大寺展』後期展示スタート!@あべのハルカス美術館

大阪市阿倍野区の「あべのハルカス美術館」で開催中の特別展『奈良 西大寺展 叡尊と一門の名宝』(大阪展 2017年7月29日~9月24日)。8月29日から後期展示が始まっています。最大の見どころは、西大寺の秘仏「愛染明王坐像」でしょう。小さいながら力強くも美しいお姿に圧倒されました!

(※会場内は撮影禁止です。特別なご許可をいただいて撮影しています)


8月29日から何点もの展示替えが

創建1250周年を迎える、真言律宗の総本山『西大寺(さいだいじ)』。

これを記念して、西大寺と真言律宗の一門の至宝を集めた特別展『奈良 西大寺展 叡尊と一門の名宝』が、大阪市阿倍野区の「あべのハルカス美術館」で開催中です(大阪展 2017年7月29日~9月24日)。

詳しくは、開幕前日の内覧会の模様をレポートしました(※関連サイト「奈良西大寺展5つのみどころ。」もご覧ください)。


会期序盤は、有数の美仏として知られる、京都・浄瑠璃寺の秘仏「吉祥天立像」などがご出陳になられて、大きな話題になっていました。

後期の最大の見どころともいえるのが、西大寺の秘仏「愛染明王坐像」でしょう。普段はお厨子にいらっしゃる秘仏ですが、今回は周りをぐるりと見られるガラスケースに展示されていて、間近からしっかりと拝見できました!


『奈良 西大寺展』後期展示@あべのハルカス美術館-01

大阪市阿倍野区の「あべのハルカス美術館」で開催中の特別展『奈良 西大寺展 叡尊と一門の名宝』(大阪展 2017年7月29日~9月24日)。8月29日から後期展示が始まっています。展示内容はかなり変わっていますので、あらためて簡単にご紹介します

『奈良 西大寺展』後期展示@あべのハルカス美術館-02
会場内の様子。文殊さまの向こうに、西大寺の御本尊である、いわゆる清涼寺式の「釈迦如来立像」(重文)のお姿も。ゆったりとした展示で、国宝6件・重文36件をふくむ、約80件が展示されています


美しい!西大寺の秘仏「愛染明王坐像」

『奈良 西大寺展』後期展示@あべのハルカス美術館-03
後期展示の最大の見どころといえる、奈良・西大寺の愛染堂に秘仏として祀られている「愛染明王坐像」(重文)。1247年(宝治元年)、叡尊と弟子たちが、三宝(仏・法・僧)が永く伝えられるよう発願・結縁し、仏師・善円が造立しました

『奈良 西大寺展』後期展示@あべのハルカス美術館-04
ちょっと角度を変えて。写真だと伝わりづらいですが、色彩も鮮やかで、膝のあたりの截金(きりかね)なども美しいまま残っています。ずっと秘仏として安置され、現在も一定の期間しか公開されないお像のため、持物(手に持っているもの)もまったく失われていないのではないでしょうか?手先・足先など、欠けやすいところも完璧に残っていることがよくわかりました

『奈良 西大寺展』後期展示@あべのハルカス美術館-05
会場では円光背の後ろ側も見られます(あまりおもしろいものではありませんが)。体内に納入されていた数々の品も展示されています。個人的に、この方は「日本でもっともかっこいい愛染明王像」だと思っています。ぜひこの機会にお会いください!


仏像に曼荼羅図など見どころたくさん!

『奈良 西大寺展』後期展示@あべのハルカス美術館-06
会場内の様子を簡単にご紹介していきます。こちらは西大寺の国宝「十二天像」。後期からは「月天像」「毘沙門天像」が展示されています。十二天像は密教の修法道場を守護する護法神で、9世紀ごろに制作されたものだとか。なぜか穏やかな雰囲気の毘沙門さま、3頭の馬に乗った月天さま。どちらもゆるめで愛らしいです

『奈良 西大寺展』後期展示@あべのハルカス美術館-07
西大寺の創建当初に建てられた、東塔・西塔の2つの塔に安置されていたと伝わる「塔本(とうほん)四仏坐像」

『奈良 西大寺展』後期展示@あべのハルカス美術館-08
2016年に新たに国宝に指定された「興正菩薩坐像」。西大寺の中興の祖、叡尊さまの姿を刻んだもので、しなやかな指先や衣服の流れるような表現など、素晴らしい肖像彫刻です!ぜひじっくりと拝見してみてください

『奈良 西大寺展』後期展示@あべのハルカス美術館-09
この像を写した「興正菩薩坐像」たち。奈良の白毫寺、福智院からご出陳されています。こうして見比べることができるのが展覧会の楽しさですね

『奈良 西大寺展』後期展示@あべのハルカス美術館-10
また、興正菩薩のお軸なども展示されています(西大寺と三重・新大仏寺のもの)

『奈良 西大寺展』後期展示@あべのハルカス美術館-11
室町時代に描かれた「西大寺寺中曼荼羅図」。現在よりも多くの建物がたっていたことがわかります。前期に展示されていた「南都西大寺中古伽藍図」(江戸時代)などと比較してみるとおもしろいですね(図録でどうぞ)

『奈良 西大寺展』後期展示@あべのハルカス美術館-12
国宝の「金銅宝塔」などとともに、叡尊さまが重要視していたという舎利容器がいくつも並んでいるのも壮観です!神秘的な美しさにはっとさせられます

『奈良 西大寺展』後期展示@あべのハルカス美術館-13
西大寺の「五大虚空蔵菩薩像」(南北朝時代)は後期からの展示。小さな絵だけに、とても愛らしいです!「両界曼荼羅図」(鎌倉時代)は、後期から金剛界曼荼羅に変わっています

『奈良 西大寺展』後期展示@あべのハルカス美術館-14
手前が奈良・宝山寺「愛染明王像」(鎌倉時代)。奥が、西大寺蔵の重文「吉野曼荼羅図」(南北朝時代)。どちらも後期からの展示です。私は吉野曼荼羅の類が大好きなので、食い入るように拝見しました!端正で美しい作品でした

『奈良 西大寺展』後期展示@あべのハルカス美術館-15
西大寺に伝わる「矢の根五郎 絵馬」などや、

『奈良 西大寺展』後期展示@あべのハルカス美術館-16
大阪エリアの真言律宗寺院の仏さまたちもずらりと並びます。ここでご紹介したのはほんの一部です。ぜひ会場でご覧ください!


愛染さまを描いたカプチーノも登場!

『奈良 西大寺展』後期展示@あべのハルカス美術館-17
あべのハルカス美術館のロビーには、こんな「なりきり文殊菩薩」体験コーナーがあります!頭には髷カチューシャをつけて、両手に剣と蓮の花を持って撮影します。文殊さまになりきるのも畏れ多いですが、やってみたら楽しいですからぜひ!

『奈良 西大寺展』後期展示@あべのハルカス美術館-18
あべのハルカス美術館の1フロア上の階のカフェ「CAFA CIAO PRESSO(チャオプレッソ)」さんでは、西大寺展の期間中のコラボ企画として「恋愛成就カプチーノセット」(670円)が提供されています

『奈良 西大寺展』後期展示@あべのハルカス美術館-19
注文してみたら、写真のまんまのリアルな愛染さまが描かれていて驚きました!最近はすごいんですね(笑)。畏れ多くも、美味しくいただきました!景色も抜群ですので、大阪の街を一望しながら味わってみてください

『奈良 西大寺展』後期展示@あべのハルカス美術館-20
また、同じフロアでは、写真家・三好和義さんのプチ作品展も開催されています(2017年9月1日~24日。無料)。キャンパス生地にインクジェットプリンターで出力したものだとか!見落としやすい場所ですが、お忘れなく!



■創建1250年記念「奈良 西大寺展 叡尊と一門の名宝」

HP: http://saidaiji.exhn.jp/
開催期間: 2017年 7月29日(土) ~ 9月24日(日)
休館日: 7月31日(月)、8月7日(月)、8月21日(月)、8月28日(月)
料金: 一般 1,300円、大学・高校生 900円、中学・小学生 500円(※前売はそれぞれ200円引き)

※大阪展の後は「山口県立美術館」へ巡回します(2017年10月20日~12月10日)。


■あべのハルカス美術館

HP: http://www.aham.jp/
住所: 大阪市阿倍野区阿倍野筋1-1-43 あべのハルカス16階
電話: 06-4399-9050
開館時間: 10:00 - 20:00(月土日祝は 18:00まで)


■関連する記事






  • Twitterでフォローする
  • Facebookページを見る
  • Instagramを見る
  • ブログ記事の一覧を見る







メニューを表示
ページトップへ