2017-07-29

『奈良 西大寺展』内覧会レポート@あべのハルカス美術館(大阪)

『奈良 西大寺展』内覧会レポート@あべのハルカス美術館(大阪)

西大寺の創建1250周年を記念した特別展『奈良 西大寺展 叡尊と一門の名宝』が、大阪市阿倍野区の「あべのハルカス美術館」で開幕しました(大阪展 2017年7月29日~9月24日)。前日のプレス内覧会にお招きいただき、写真撮影もご許可いただきましたので、レポートをお届けいたします。仏像好き、奈良好きにはたまらない内容でした!必見です!


真言律宗の総本山「西大寺」とは

奈良県奈良市に位置する、「真言律宗(しんごんりっしゅう)」の総本山『西大寺(さいだいじ)』は、女帝・称徳天皇が天平神護元年(765)、「恵美押勝の乱」の平定を祈願して造営が始められました。奈良時代の「南都七大寺」の一つに数えられ、東大寺などと並び称される寺格を誇りました。

平安遷都後、衰退した時期もありましたが、鎌倉時代には高僧「叡尊(えいそん)」が登場。密教において戒律を重視した教え(後の「真言律」)を広め、現代も続く「大茶盛」などを始めました。その弟子の「忍性(にんしょう)」は東国に赴き貧者・病人の救済にあたるなど、独自の宗教活動を推進してきました。

今年2017年は、創建1250周年を迎えることもあり、西大寺と真言律宗の一門の至宝を集め、東京・大阪・山口の3都市を巡回する特別展『奈良 西大寺展 叡尊と一門の名宝』が企画されました。


『奈良 西大寺展 叡尊と一門の名宝』@あべのハルカス美術館(大阪)-01

大阪市阿倍野区の「あべのハルカス美術館」で開幕した特別展『奈良 西大寺展 叡尊と一門の名宝』(大阪展 2017年7月29日~9月24日)。前日に催されたセレモニーにはたくさんの関係者が姿を見せていました。

(※なお、カメラの設定がおかしかったようで、すべておかしな写りになっていますがご容赦ください)

『奈良 西大寺展 叡尊と一門の名宝』@あべのハルカス美術館(大阪)-03
私たちは、特別にプレス内覧会にお招きいただいて、館内の撮影なども許可していただきました。『奈良西大寺展』の魅力を画像入りでご紹介します!(※もちろん通常は撮影不可です)


【見どころ】西大寺の寺宝が一堂に!

創建1250年を記念した大展覧会だけに、西大寺の数々の寺宝が一挙にご出陳なさっています!

●本堂の御本尊である「釈迦如来立像」(重文)が寺外へお出ましに!
●厳しくも優しげな表情に注目!2016年に新たに国宝に指定された「興正菩薩坐像」
●通常は秘仏とされ、期間限定でしかお会いできない「愛染明王坐像」(重文)など(※後期[8月29日(火)~9月24日(日)]の展示)

仏像関係のみを挙げましたが、西大寺のオールスター級の仏さまたちにお会い出来る貴重な機会です。仏画や仏具、経典なども、国宝・重文クラスのものが数多く見られましたし、本当に豪華でした!


『奈良 西大寺展 叡尊と一門の名宝』@あべのハルカス美術館(大阪)-07

衰退していた西大寺の中興の祖、叡尊さまの姿を刻んだ西大寺「興正菩薩坐像」。2016年に新たに国宝に指定されたお像で、厳しくも優しい表情、長い眉毛が特徴的です。繊細な指先や両袖のボリューム感など、本当に素晴らしい!奈良にはさまざまな肖像彫刻の傑作がありますが、西大寺像も間違いなくその一つです

『奈良 西大寺展 叡尊と一門の名宝』@あべのハルカス美術館(大阪)-08
西大寺「興正菩薩坐像」は横からも拝見できます。背筋がすっと伸びていて凛々しいですね。ガラス越しとなりますが、お堂ではこんな角度から、しかもこんな近くから拝見できませんので、本当に貴重な機会です

『奈良 西大寺展 叡尊と一門の名宝』@あべのハルカス美術館(大阪)-09
西大寺像を写した「興正菩薩坐像」が、奈良の白毫寺、福智院からも出陳されていました。叡尊さまの像を間近で見比べてみると、いろんな違いがわかって面白いです

『奈良 西大寺展 叡尊と一門の名宝』@あべのハルカス美術館(大阪)-11
また、西大寺の御本尊である「釈迦如来立像」もご出陳になられています(※大阪展だけではなく、山口展でもお会いできるとか)!お釈迦さまの生身の姿を写したと信じられていた、いわゆる清涼寺式のお像で、繰り返す細かい衣紋に目を奪われます。また、光背の雲のような文様も見事!オリエンタルな雰囲気をさらに強く感じられました。


【見どころ】「吉祥天立像」のお背中も!

京都・浄瑠璃寺の「吉祥天立像」は、数多くの方が「もっとも美しいと思う仏像」「もっとも好きな仏像」として名前を挙げている仏さまです。

年に3回程度しか公開されない秘仏で、お寺では立派なお厨子に入っていらっしゃるため、美しい彩色がよく残っています。普段は正面からしか拝見できませんが、大阪展の会場では、独立したガラスケースで展示されるため、360°ぐるりと周りを見られます!これまで写真集の中でしか見られなかったお背中も、間近で見られるのです!

身につけられているご衣装は細部まで精巧に造られていて、文様もとても美しいですから、ぜひこの機会にじーーーっくりと見惚れてください!

(※ただし、吉祥天立像の展示は「7月29日~8月6日」のわずか9日間しかありません。お急ぎください!)


『奈良 西大寺展 叡尊と一門の名宝』@あべのハルカス美術館(大阪)-04

京都・浄瑠璃寺の「吉祥天立像」。白い肌に美しい色彩のお召し物。胸元から足元へかけてのアクセサリの美しさも際立っています。

『奈良 西大寺展 叡尊と一門の名宝』@あべのハルカス美術館(大阪)-05
吉祥天立像のお背中も拝見できます!普段は厨子の中に入った状態のため、本当に貴重な機会となります。ちなみに、事前に開催された東京展では、壁沿いのガラスケースでの展示だったため、お背中は拝見できませんでした。大阪展はスペシャルなのです!

『奈良 西大寺展 叡尊と一門の名宝』@あべのハルカス美術館(大阪)-06
角度を変えて。いろんなアングルから見られます。あらためてその美しさに惚れ惚れしました!


【見どころ】奈良~平安期の仏さまも

仏像に関していうと、叡尊さまが衰退していた西大寺を立て直した鎌倉時代に造られたお像が中心となりますが、奈良~平安期の仏さまもご出陳なさっています。

奈良時代の末、西大寺が創建されて間もないころに建てられた、東塔・西塔の2つの塔に安置されていたと伝わる「塔本(とうほん)四仏坐像」で、関西で4躯そろって展示されるのは、じつに27年ぶりとなるのだとか!

称徳天皇が西大寺を創建した当時に想いを馳せられるでしょう。


『奈良 西大寺展 叡尊と一門の名宝』@あべのハルカス美術館(大阪)-14

創建当時の塔に安置されていた4体の坐像(阿閦如来・宝生如来・阿弥陀如来・釈迦如来)。塔内のような配置で拝見できます。奈良時代後期に流行した仏像の製造技法「木心乾漆(もくしんかんしつ)」で制作されているのもポイントです。大まかな木製の像に上に麻布を巻き、その上から漆(うるし)などを塗って造られています

『奈良 西大寺展 叡尊と一門の名宝』@あべのハルカス美術館(大阪)-15
この4体は、創建当初の西大寺を伝える貴重なお像です。今回の特別展では、西大寺を創建した「称徳天皇像」から始まり、広大な寺域に数多くの堂塔が立ち並ぶ「西大寺伽藍絵図」など、南都七大寺の西大寺の栄華を偲ばせてくれます


【見どころ】真言律宗の一門の名宝も!

真言律宗には、総本山の西大寺と中心に、元興寺、浄瑠璃寺、岩船寺、不退寺、海龍王寺、般若寺、白毫寺、宝山寺など、関西を中心に幾多の名刹が名を連ねています。いずれも素晴らしい仏像を祀る古刹ですが、大阪展には各寺院から素晴らしい寺宝が一堂に会しています!

●叡尊が篤く信仰した奈良・元興寺「聖徳太子立像(孝養像)」
●幼い表情が印象的な奈良・般若寺「文殊菩薩騎獅像」
●快慶作とも伝わる京都・大智寺「文殊菩薩騎獅像」[展示期間 7/29~8/20]
●六本の腕を持つ奈良・不空寺「不空羂索観音坐像」[展示期間 8/29~9/24]
●古式ゆたかな京都・岩船寺「普賢菩薩騎象像」[展示期間 7/29~8/27]
●宝山寺の中興の祖、湛海作「五大明王像(厨子入)」など

この他にも、大阪・松林寺など、近畿地方の素晴らしい仏さまがそろっています。かなり見応えありますよ!


『奈良 西大寺展 叡尊と一門の名宝』@あべのハルカス美術館(大阪)-12

叡尊さまが篤く信仰した文殊菩薩。今回は「文殊菩薩騎獅像」3体が並ぶ、楽しい展示もあります(法華寺像は獅子から降りた状態です)。この写真の向って右の般若寺像は、文殊さまがやや幼い表情です、左の京都・大智寺像は、快慶作とも伝わる像で、とても凛々しい雰囲気。獅子の尻尾や文様の違いなど、いろんな違いが見えてきて、とても楽しいですよ!

『奈良 西大寺展 叡尊と一門の名宝』@あべのハルカス美術館(大阪)-13
別角度から。手前の台座に座っていらっしゃるのが、法華寺「文殊菩薩騎獅像」。まさにシュッとした仏さまです。獅子は傷みが激しいため今回は展示を見送ったのだとか

『奈良 西大寺展 叡尊と一門の名宝』@あべのハルカス美術館(大阪)-16
生駒聖天宝山寺の中興の祖、湛海の作「五大明王像(厨子入)」。小さなお像ですが、丹念に造られていることが伝わってきます。江戸時代に多数の仏像や仏画を残した湛海律師ですが、この像は73歳のときの作だとか!驚愕です

『奈良 西大寺展 叡尊と一門の名宝』@あべのハルカス美術館(大阪)-18
こちらも同じく湛海律師の作で、宝山寺・本堂のご本尊「不動明王坐像」の脇侍「矜羯羅童子(こんがらどうじ)」と「制多迦童子(せいたかどうじ )」。普段は拝見できないお像だけに、とても貴重です。力感があって素晴らしいですね


【見どころ】仏画や経典も豪華!

『奈良 西大寺展 叡尊と一門の名宝』@あべのハルカス美術館(大阪)-21
個人的な興味の強さから、どうしても仏像関連に注目してしまいますが、仏画などの展示も充実しています。圧巻だったのは、西大寺の国宝「十二天像」(伊舎那天像、羅刹天像)です。十二天像は密教の修法道場を守護する護法神で、9世紀ごろに制作されたものだとか。まるで「大津絵」のような素朴な愛らしさですから、ぜひ会場でじっくり見つめてみてください!

(※8月27日までは「伊舎那天像」「羅刹天像」を展示し、後期8月29日からは「月天像」「毘沙門天像」に展示替えされます。)

『奈良 西大寺展 叡尊と一門の名宝』@あべのハルカス美術館(大阪)-22
向って右が奈良・不退寺「在原業平像」、左が奈良・宝山寺「弥勒菩薩像」。どちらも間近で拝見すると美しさに見惚れてしまいます

『奈良 西大寺展 叡尊と一門の名宝』@あべのハルカス美術館(大阪)-20
世界遺産寺院、奈良・元興寺の「智光曼荼羅図(厨子入り)」なども

『奈良 西大寺展 叡尊と一門の名宝』@あべのハルカス美術館(大阪)-24
西大寺に伝わる「矢の根五郎 絵馬」など。二代目鳥居清信の作。西大寺の愛染明王像が江戸両国の回向院で出開帳された際に、歌舞伎「矢の根」も奉納されました。二代目市川海老蔵が愛染明王の姿を模して出演したところ大当たりとなったため、この絵馬が奉納されたのだとか

『奈良 西大寺展 叡尊と一門の名宝』@あべのハルカス美術館(大阪)-25
経典類も「大毘盧遮那成仏神変加持経」や「金光明最勝王経」(いずれも国宝)など、数は控えめながら素晴らしいものが展示されていました


【見どころ】グッズ・イベントがすごい!

7月30日に開催された、みうらじゅん氏、いとうせいこう氏、そして海龍王寺ご住職・石川重元氏のトークショーは、チケットが早々に完売するなど、大きな話題になりました。

さらに、週末を中心に、夜の美術館を舞台にした体感型の謎解きイベント「夜の美術館からの脱出」が開催されたり、天平時代(西大寺建立時代)の衣装を着て記念撮影できる「なりきり写真館」があったりします。さらに講演や声明が開催され、記念法要なども行われます。

また、西大寺では伝統の「大茶盛体験」が開催されたり、大和郡山市では、劇作家・松村武氏(劇団カムカムミニキーナ主宰)が脚本・演出を手掛けた、大和郡山市民劇団による歌劇「ちゃもり ~興正菩薩叡尊異聞」が上演されたりします。バリエーション豊富で、なかなかの充実度ですね!

※イベントの詳細はこちらから

『奈良 西大寺展 叡尊と一門の名宝』@あべのハルカス美術館(大阪)-26
見仏記シリーズでお馴染みの、みうらじゅん、いとうせいこう両氏は、今回の奈良西大寺展でオリジナルグッズを監修なさっています。吉祥天さん、愛染明王さんのイラスト入りのTシャツ(各3,500円)などが登場しています!

『奈良 西大寺展 叡尊と一門の名宝』@あべのハルカス美術館(大阪)-27
Tシャツのほかにも、A6ノート(550円)、散華型のシール(600円)なども。この他にもさまざまな関連グッズが登場してますので、要チェックです!(図録やグッズの詳細はこちら



■創建1250年記念「奈良 西大寺展 叡尊と一門の名宝」

HP: http://saidaiji.exhn.jp/
開催期間: 2017年 7月29日(土) ~ 9月24日(日)
休館日: 7月31日(月)、8月7日(月)、8月21日(月)、8月28日(月)
料金: 一般 1,300円、大学・高校生 900円、中学・小学生 500円(※前売はそれぞれ200円引き)

※大阪展の後は「山口県立美術館」へ巡回します(2017年10月20日~12月10日)。


■あべのハルカス美術館

HP: http://www.aham.jp/
住所: 大阪市阿倍野区阿倍野筋1-1-43 あべのハルカス16階
電話: 06-4399-9050
開館時間: 10:00 - 20:00(月土日祝は 18:00まで)










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