2011-10-30

至宝の里帰り展『飛鳥遺珍』@飛鳥資料館(明日香村)

至宝の里帰り展『飛鳥遺珍』@飛鳥資料館(明日香村)

明日香村にある『飛鳥資料館』で、2011年の秋期特別展「飛鳥遺珍-のこされた至宝たち-」を見てきました。明日香村の村外に保管されている飛鳥の至宝を集めて展示するという渋い内容でしたが、見どころも多くて十分に楽しめました。


秋の特別展「飛鳥遺珍-のこされた至宝たち-」

明日香村の『飛鳥資料館』では、秋の特別展として「飛鳥遺珍-のこされた至宝たち-」という展示を行なっています。施設の概要については、以前の記事をご覧ください。


今回の「飛鳥遺珍-のこされた至宝たち-」とは、普段は明日香村の村外で保管されている遺物が、飛鳥の土地へ里帰りするというもの。展示物は、土器や金具、古銭、仏像など多岐にわたります。

 1400年前にみやこが置かれた飛鳥の地は、当時、我が国の政治、文化、経済の中心でした。そのひかり輝くような往時の様子を示す品々には、せっかく伝世されながら、さまざまな経緯の結果、飛鳥の地を離れたものがたくさんあります。また、地下に埋もれ、発掘調査などによって出土したものの中にも、同じような運命をたどったものが多くあります。このため、こうした飛鳥に由来する多くの文化財が、今日、日本各地の博物館や研究所に分散して保管されています。
 今回の展覧会は、そうした明日香村外に保管され、普段はまとめてみることはできない飛鳥の至宝ともいうべき文化財のいくつかを一堂に集め、1400年前の飛鳥の輝きを体験してもらうとともに、多くの方々に、そうした文化財を生んできたアスカがもつ魅力と重要性を再認識していただくことを目的として企画しました。


「飛鳥遺珍」@飛鳥資料館-02

明日香村にある『飛鳥資料館』。2011年の秋期特別展「飛鳥遺珍-のこされた至宝たち-」が開催されています。聞きなれないタイトルですが、明日香村の村外に保管されている飛鳥の至宝を集めて展示する、という企画です。この日は日曜日でしたが、大雨のため館内は空いていました


渋い展示内容ですが古代史ファンはぜひ!

朝日新聞社さんの「飛鳥へ400点が里帰り「飛鳥遺珍」展14日開幕 - 社会」という記事に短い動画がありますが、法隆寺から皇室へ献納された「阿弥陀如来および両脇侍像」や、美しく躍動感あふれる天人を描いた瓦(岡寺所蔵、京都国立博物館保管)など、重要文化財に指定されている宝物は必見ですね。とても美しい方々でした!

ただし、やはり出土品などが中心ですから、全体的に地味めな印象を受けるのは事実です。一品ずつ見ていくと違いが伝わりづらいですが、高松塚古墳やキトラ古墳、また斉明天皇の陵墓かと話題になった牽牛子塚古墳からの出土品なども展示されていますので、古代史好きには十分に楽しめる内容だと思います。

個人的に驚いたのは、石舞台古墳出土の金具や石棺片などが展示されていたことです。蘇我馬子の墓と見られている巨大古墳ですから、大量の副葬品があって当然です。しかし、石室が露出しているような状態ですし、すでに全て盗掘によって失われたと思っていました。しかし、近代になって発見されたものがあって、現在は京都大学総合博物館の所蔵となっているのだとか。不思議なものですね。

同時期に行われる、奈良県立橿原考古学研究所附属博物館の「仏教伝来」や、万葉文化館の「大飛鳥展」と比較すると規模は小さめですが、他と比べて入館料も「大人260円」と格安ですから。これは仕方ないことでしょう。古代史がお好きな方にはオススメです!


「飛鳥遺珍」@飛鳥資料館-03

「飛鳥遺珍」のポスター。写っているのは、橘寺から法隆寺へと移り、明治時代に皇室に献納されたという「阿弥陀如来および両脇侍像」。7世紀の小さな銅像で、脇侍はパイプのようなもので持ち上がっています。とても愛らしい表情で、思わず見とれてしまいました

「飛鳥遺珍」@飛鳥資料館-04
飛鳥資料館の展示品は、「撮影禁止」の表示がないものは写真撮影可能です。これは高松塚古墳からの出土品など。三角縁神獣鏡や美しい宝玉などが展示してありました

「飛鳥遺珍」@飛鳥資料館-05
7世紀末~8世紀初頭の「高松塚古墳出土土器(重文)」。渋い!土の中から出土した系の展示が多いので、どうしても派手さには欠けます


ジオラマなどの通常展示も楽しめます

飛鳥資料館では、同館の所蔵品は全て写真撮影可能となっています(他から借りて展示しているものは撮影不可ですので、お気をつけください)。私たちは以前にもあれこれ撮影していますので、この日はほどほどにしておきましたが、模型や複製品でも撮影できるのは楽しいですね。いくつかご紹介しておきます。


「飛鳥遺珍」@飛鳥資料館-07

1階の台展示室にある、山田寺の回廊を復元したもの。古い木の部分は、地中から出土したものです。よくこんなきれいに遺ったものだと、観るたびに感心してしまいます

「飛鳥遺珍」@飛鳥資料館-08
愛らしい形の亀形石造物の模型。レプリカでも十分に迫力がありますね。庭には亀石の複製品などもありますので、そちらも必見です

「飛鳥遺珍」@飛鳥資料館-09
法隆寺の夢違観音さまのレプリカ。万葉文化館で本物にお会いしたばかりですが、やはり穏やかな表情で美しいですね

「飛鳥遺珍」@飛鳥資料館-10
古墳の模型などがあったり…(どこの古墳がモデルか忘れました)

「飛鳥遺珍」@飛鳥資料館-11
今はなき大寺の伽藍を再現した模型があったり…(これは、中金堂を回廊で結んだ川原寺のもの)

「飛鳥遺珍」@飛鳥資料館-12
古い時代の明日香村の風景がジオラマになっていたりします。橘寺と川原寺の間の道は、当時のメインストリートのようなものですから、さぞ華やかだったことでしょう。想像が膨らみますね

「飛鳥遺珍」@飛鳥資料館-13
飛鳥資料館のミュージアムショップはそれほど大きくありませんが、独特の品揃えを誇っています。ガラスケースの中に入れられた「模型 石造物セット(@21,000円)」!飛鳥を代表する石造物がひと通り揃っている豪華版です!

「飛鳥遺珍」@飛鳥資料館-14
単品では、亀石、酒船石、二面石などもラインナップ。それぞれお値段が6千円前後と、なかなか手が出しづらい価格帯ですが、いつか欲しいですね(笑)


「飛鳥・藤原 ミュージアムネットワーク」始動

この秋から、飛鳥周辺にある3つの博物館が、企画などの面で連携する「飛鳥・藤原 ミュージアムネットワーク」という仕組みがスタートしました。飛鳥資料館の「飛鳥遺珍-のこされた至宝たち-」と同時期に、以下のような展示が開催されています。


●【奈良県立 万葉文化館】開館10周年記念特別展「大飛鳥展」 2011年10月1日(土)~ 11月13日(日)まで
●【奈良県立橿原考古学研究所附属博物館】秋季特別展「仏教伝来」 2011年10月1日~11月20日(日)まで

展示内容はそれぞれが連動しているため、3館を観て歩く楽しみが増えましたし、料金の面でも優遇があります。ある博物館を観覧した半券を持参して、他の博物館でチケット購入の際に提示すると割引してもらえます。有効期間などもあるかと思いますので、まずは窓口で確認してみてください。


「大飛鳥展」@万葉文化館-01

向かって右から、奈良県立橿原考古学研究所附属博物館「仏教伝来」、万葉文化館「大飛鳥展」、飛鳥資料館「飛鳥遺珍-のこされた至宝たち-」のポスター。飛鳥周辺にある3つの博物館は、これまでバラバラに企画展を行なっていましたが、この秋から連携を始めました。見終わったチケットの半券を提示すると、入場料金の割引などもあるそうです



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■飛鳥資料館

HP: http://www.nabunken.go.jp/asuka/index.html
住所: 奈良県高市郡明日香村奥山601
電話: 0744-54-3561
休館日: 月曜日(祝日の場合は翌日)
拝観時間: 9:00 - 16:30
駐車場: 無料
観覧料: 大人 260円、大学生 130円、高校生以下 無料
アクセス: 近鉄「橿原神宮前駅」「飛鳥駅」から、周遊バス「飛鳥資料館前」下車

※「飛鳥遺珍-のこされた至宝たち-」の会期は、「2011年10月14日(金)~ 11月27日(日)」。開催期間中は無休です。


■参考にさせていただきました!

asahi.com(朝日新聞社):飛鳥へ400点が里帰り 「飛鳥遺珍」展14日開幕 - 社会
へっぽこ備忘録 飛鳥資料館「飛鳥遺珍」
飛鳥遺珍 -のこされた至宝たち-|古都☆古都雑記


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