2010-10-05

僧形八幡神像の特別開扉が行われる『転害会』@東大寺

僧形八幡神像の特別開扉が行われる『転害会』@東大寺

毎年10月5日に『東大寺』(当サイト内)で行われる法要「転害会(てがいえ)」へ行ってきました。一年でこの日にしかお会いできない「五劫思惟阿弥陀如来坐像(重文)」「僧形八幡神坐像(国宝)」などの仏さまにもお参りすることができました!


手向山八幡宮と転害門での法要です

毎年10月5日に行われる、東大寺の法要「転害会(てがいえ)」。朝から、東大寺の鎮守である「手向山八幡宮」で神事が行われ、それに続いて「転害門」でも法要が行われます。

合わせて、東大寺・勧進所にある「八幡堂」では、元は手向山八幡宮の御神体であった「僧形八幡神坐像(国宝)」が特別開扉され、合わせて阿弥陀堂・公慶堂にもお参りさせていただける特別な一日となります

私たちは手向山八幡宮と転害門での法要は見ることが出来ませんでしたが、以下のブログに詳しく掲載されていますので、まずはそちらをご覧ください。


●2010年の法要の様子
転害会(てがいえ) 手向山(たむけやま)八幡宮 | 奈良かんさつブログ
転害会(てがいえ) 転害門(てがいもん) | 奈良かんさつブログ

●2007年の法要の様子
手向山八幡宮 『転害会』 その1 - 奈良の日々 - Yahoo!ブログ
手向山八幡宮 『転害会』 その2 - 奈良の日々 - Yahoo!ブログ


この転害会と直接関係はありませんが、大仏殿前は「光明皇后1250年御遠忌」の一環として行われるコンサートの舞台の設営準備を行っていました。また、大仏殿前の「金堂八角燈籠(国宝)」は、東京国立博物館で開催される「東大寺大仏―天平の至宝―」へ搬出済みで、この点でもいつもとは違った様子が見られました。

さらに、この日特別開扉となった「公慶上人坐像(重文)」と「僧形八幡神坐像(国宝)」は、この日の夕方から搬出作業が行われ、東博へご出陳なさるとのことで、運送業者のトラックが横付けになっていたりと、いつもとは違った騒々しい雰囲気でした。


転害会@東大寺-01

観光客で賑わう東大寺・南大門前。毎年10月5日は「転害会(てがいえ)」の法要が行われ、手向山八幡宮と転害門で神事が行われます。それと同時に、東大寺・勧進所の阿弥陀堂、公慶堂、八幡堂が開扉されます

転害会@東大寺-02
東大寺・大仏殿前。「光明皇后1250年御遠忌」の一貫として、法要とコンサートの設営準備が行われていました。また、大仏殿前の「金堂八角燈籠(国宝)」は、東京国立博物館での特別展「東大寺大仏―天平の至宝―」へ出陳しているため、その姿は見えません。ある意味では、とても貴重な光景が見られる時期になります


大仏殿西の「勧進所」諸堂が御開扉に

10月5日の転害会には、大仏殿の西にある「勧進所」にある諸堂が、「僧形八幡神像特別開扉」として特別御開扉となります。

お堂自体はまだ比較的新しく、簡素な作りのためそれほど見どころは多くありませんが、素晴らしい仏像の数々とお会いできる唯一の日ですから、来年にはもっと多くの方にお詣りいただきたいですね。


●「阿弥陀堂」の御本尊は、13世紀の作の「五劫思惟阿弥陀如来坐像(重文)」。一部では「アフロ阿弥陀様」と呼ばれる、頭が大きく膨らんだ国内でも作例が少ない珍しい仏さまです。像高106cmと思っていたよりも大きめですが、頬がぷっくりとしているだけではなく、体全体に丸みを帯びていて、とても愛らしいんです。鎌倉時代の写実的な描写が広がってきた時代に、こんな仏さまが作られたことにも驚きでした。また、脇侍の勢至・観音菩薩像や四天王像も見事。本当に素晴らしいお堂でした。

●「八幡堂」の御本尊は、1201年、大仏師・快慶によって作られた、像高87.1cmの「僧形八幡神坐像(国宝)」です。元は東大寺の鎮守八幡宮(現在の手向山八幡宮)の御神体でした。僧形の像ですが、右手に錫杖を持っているのが珍しいですね。表情は理知的で鋭く、色彩が鮮やかに残っていることもあり、人を超えた存在であることが伝わってくるような、不思議な迫力のあるお方でした。

●「公慶堂」の御本尊は、1706年作、像高69.7cmの「公慶上人坐像(重文)」です。公慶上人は、1567年の三好・松永の兵火で焼失した大仏殿の再興に尽力した方。そのお姿を写した像は、御厨子の中に入っていて遠目にしか見えませんが、ほとんど彩色の無いやや地味な印象の像でした。この他には、地蔵菩薩、不動明王、そして何故か陶器製の牛の置物などがいらっしゃいました。


転害会@東大寺-03

大仏殿の西、戒壇院の北東にある「勧進所」。普段は公開されていませんが、10月5日の「転害会」の日だけは「僧形八幡神像特別開扉」として特別にお参りさせていただけます(拝観料は無料、9時~16時まで)

転害会@東大寺-04
東大寺・勧進所の敷地内。向かって右手が、五劫思惟阿弥陀如来像を祀る「阿弥陀堂」。正面が僧形八幡神像を祀る「八幡堂」。画像には写っていませんが、左手前の辺りに公慶上人坐像を祀る「公慶堂」があります。非公開ですが、校倉造りの「勧進所経庫(重文)」も少しだけその姿が見られました

転害会@東大寺-06
まずは「阿弥陀堂」から。御本尊は、13世紀の作の「五劫思惟阿弥陀如来坐像(重文)」です。「五劫(ごこう)」という長い時間、坐禅を続けてきたため髪が伸び、まるで「アフロヘア」のようになったお姿が有名です。像高106cmと思っていたよりも大きめで、体全体に丸みを帯びたとても愛らしい仏さまでした!

転害会@東大寺-07
こちらは、僧形八幡神坐像(国宝)を祀る「八幡堂」。1201年、大仏師・快慶によって作られた、像高87.1cmの坐像で、元は東大寺の鎮守八幡宮(現在の手向山八幡宮)の御神体でした。色彩が鮮やかで、僧形でありながら、右手に錫杖を持っています。表情も鋭く、人を超えた存在であることが伝わってくるような迫力がありました

転害会@東大寺-09
講談社「週刊 日本の仏像 東大寺1」より。僧形八幡神坐像(国宝)の鋭利な表情と、五劫思惟阿弥陀如来坐像(重文)のユーモラスなお姿との対比がすごいですね。いずれも素晴らしい仏さまでした!

転害会@東大寺-10
こちらは「公慶堂」。、1706年作、像高69.7cmの「公慶上人坐像(重文)」を祀るお堂です。公慶上人は、1567年の三好・松永の兵火で焼失した大仏殿の再興に尽力した方で、大仏修復のための勧進帳を作り、全国を勧進してまわりました。ほとんど彩色の無いやや地味な印象の像ですが、その表情からは強い意志のようなものが感じられました

転害会@東大寺-11
講談社「週刊 日本の仏像 東大寺1」より。向かって右手が「公慶上人坐像」です。両手を組み合わせているのも珍しいかもしれませんね。ちなみに、隣に写っている「鑑真和上坐像(重文)」は、東大寺・千手堂のもの。一般公開されていないそうです

転害会@東大寺-05
勧進所から大仏殿を見たところ。日が差してきましたが、この後は小雨が降ってきて大変でした

転害会@東大寺-12
東大寺・勧進所の前に建つ「指図堂」も、この日は開扉していました。こちらは法然上人を祀る堂で、法然上人の御影(掛け軸)が御本尊になっていました。ちなみに、指図堂の賓頭盧尊者さんは、どこよりも怖いお顔をされています。ぜひ体の良くないところをさすってください!


貴重な天平時代の遺構「転害門」も

この日の法要は終わっていましたが、大仏池などを眺めながら、東大寺の西に建つ「転害門(国宝)」まで歩いてみました。

ほんの数分でつく距離ですが、この辺りまで来ると観光客の姿も少なくなります。しかし、転害門の前はたくさんの車が行き交う幹線道路ですので、それほど落ち着いた雰囲気ではありません。東大寺の伽藍で唯一の天平時代の遺構ですから、もう少しいい見せ方はないんでしょうか?

東大寺へお参りに来た方は、大仏殿だけ見て帰ってしまうのではなく、ぜひ境内を一周してみて欲しいですね。まるでタイムスリップしたような、他のどこでも味わえない不思議な雰囲気が味わえますよ!


転害門@東大寺-01

東大寺の勧進所から転害門へ向かってみました。お天気は良くありませんが、大仏池越しに眺める大仏殿は美しいですね

転害門@東大寺-02
この辺りでもたくさんの鹿が草を食んでいました

転害門@東大寺-04
東大寺の「転害門(てがいもん・国宝)」。法要も終わり、またひっそりとしていました。東大寺は、平重衡の兵火、三好・松永の兵火と、2度の大きな火災にあっていますが、そのどちらも無事にくぐり抜けた、貴重な奈良時代の建築物です。時間が遅くて細部まで良く見えなかったのが残念!

転害門@東大寺-07
「転害門(国宝)」は、もとは「佐保路門」と呼ばれており、中世に修復されているものの、東大寺で唯一の天平時代の遺構となります。手向山八幡宮の祭礼が行われ、遷座の場所ともなります。三間一戸八脚門。切妻造・本瓦葺。基壇を除く高さは10.635m

転害門@東大寺-05

転害門@東大寺-06



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■東大寺

HP: http://www.todaiji.or.jp/
住所: 奈良県奈良市雑司町406-1
電話: 0742-22-5511
宗派: 華厳宗大本山
本尊: 盧舎那仏(国宝)
創建: 8世紀前半
開基: 聖武天皇
拝観料: 大仏殿:500円、三月堂(法華堂):500円、戒壇院:500円
拝観時間: 11月~2月:8:00-16:30、3月:8:00-17:00、4月~9月:7:30-17:30、10月:7:30-17:00






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