2010-06-06

御影堂「鑑真和上坐像」特別公開『唐招提寺』@西ノ京

御影堂「鑑真和上坐像」特別公開『唐招提寺』@西ノ京

西ノ京の『唐招提寺』で行われた「御影堂障壁画特別公開」へ行ってきました。毎年3日間だけの特別公開ですので、この日も遅くまでものすごい人出です。とても落ち着いた雰囲気とは言えませんでしたが、「鑑真和上坐像(国宝)」も、東山魁夷画伯の障壁画も素晴らしかったです!


「唐招提寺の駐車場は3時間待ち」の表示も

唐招提寺の「御影堂障壁画特別公開」は、毎年、鑑真和上の命日(6月6日)を偲ぶ法要「開山忌」を挟んだ3日間開催されるものです。

普段は非公開となっている「御影堂(重文)」が公開され、そこに祀られている「鑑真和上坐像(国宝)」と、東山魁夷画伯が10年以上の歳月をかけて描いた障壁画が公開されます。

この日、私たちは先に「秋篠寺」へお参りするため、昼過ぎに唐招提寺近くを車で通ったのですが、通り沿いに「唐招提寺の駐車場は3時間待ちです」という看板を持った方が立っていました!ただし、夕方近くになっても、同じ看板をずっと持ち続けていましたので、やや大げさな表現なのかもしれません(笑)

ただし、駐車場がほぼ満車で、大変な混雑になっていたのは事実です。出来ることであれば、自家用車は使用せず、公共交通機関を利用した方がベターでしょう。

夕方になって唐招提寺の境内に入っても、御影堂付近は大変な人混みでした。拝観受付は16時までとなっていますが、早めの時間帯であれば、もっと混雑していたと思われます。時間に余裕を持ってお参りした方がいいでしょう。


唐招提寺(鑑真和上像)@西ノ京-01

西ノ京の『唐招提寺』。6月5日に、唐招提寺を開いた鑑真和上をしのぶ「開山忌」が営まれ、国宝の「鑑真和上坐像(国宝)」が安置されてる「御影堂」の特別公開が行われます(6月7日まで)。写真は帰り際に撮ったものですが、こんなレベルではないほど多数の参拝客が押し寄せていました!

唐招提寺(鑑真和上像)@西ノ京-03
唐招提寺「御影堂」前の様子。これも帰り際に撮影したため閑散として見えますが、夕方遅い時間まで行列が続いていました。御影堂の辺りは普段はとても静かですが、やはり特別公開の期間だけは別物のようです

唐招提寺(鑑真和上像)@西ノ京-04
拝観受付を背後から見たところ。通常の拝観料と、別途500円必要です


「御影堂」にはこんなお庭があります

私は、唐招提寺・御影堂へ入るのは初めてのことでした。敷地内に広々としたお庭があることも知りませんでしたし、見るもの全てが初めてで、本当に驚きました!出来れば、お庭の前に座ってのんびりとしたかったのですね。

この御影堂の建物は、1649年に建立されたもので、元は興福寺の子院「一乗院」の遺構なのだそうです。昭和の時代まで地方裁判所の庁舎として使用され、1964年、唐招提寺に移築されました。

係の方に伺ったところ、「お庭と建物の外側であれば、写真撮影は可能です」とのことでしたので、まとめてご紹介しておきます。


唐招提寺(鑑真和上像)@西ノ京-05

御影堂前の参道の様子。私はこの日が初めてのお参りでしたので、普段は門の外から眺めるだけの場所に立てただけでも感動しました!

唐招提寺(鑑真和上像)@西ノ京-06

唐招提寺(鑑真和上像)@西ノ京-07

唐招提寺(鑑真和上像)@西ノ京-08

唐招提寺(鑑真和上像)@西ノ京-09

唐招提寺(鑑真和上像)@西ノ京-10

唐招提寺(鑑真和上像)@西ノ京-12

唐招提寺(鑑真和上像)@西ノ京-13

唐招提寺(鑑真和上像)@西ノ京-14

唐招提寺(鑑真和上像)@西ノ京-15

唐招提寺(鑑真和上像)@西ノ京-16


穏やかに目を閉じる「鑑真和上坐像」

御影堂の内部の「松の間」に入ると、ご焼香の列と、その後ろからお参りする方の列とに分けられます。ご焼香をする方の位置から10mほど先に、お厨子に入った鑑真和上像がいらっしゃいます。全身がはっきりと見えるわけではないのが残念ですが、その穏やかな表情はしっかりと拝むことができました。

伝承によると、763年、鑑真和上の弟子の忍基が、唐招提寺の講堂の梁が折れる夢を見たことから、師の死期が近づいていることを悟り、弟子を率いて肖像造りに取り掛かったのだとか。鑑真和上は「結跏趺坐し、西を向いて死を迎えた」とされていることから、その様子を表したものと考えられているそうです。高僧の肖像や彫刻は数多く遺されていますが、その中でも最も古いものとされています。

麻布を漆で貼り合わせて整形する「脱活乾漆」という技法で造られており、像高は80.1cmと比較的小さめの上、内部は空洞のため非常に軽いのだとか(手を膝の上で組んでいますが、この部分は木製だそうです)。

目を閉じた穏やかな表情は、気高さが感じられます。本当に多くの方が熱心に祈る姿は、とても千年以上前に亡くなった方のためとは思えないほど。今でも深い崇敬の念を抱かれていることが伝わってくるようでした。


唐招提寺(鑑真和上像)@西ノ京-21

講談社『週刊 日本の仏像』第13号「唐招提寺 鑑真和上像と金堂」より。像高80.1cmの脱活乾漆造です。日本最古の肖像彫刻と言われており、穏やかな表情からは気高さを感じさせてくれるようでした


東山魁夷画伯の障壁画も感動的でした!

また、御影堂に描かれた東山魁夷画伯の障壁画も素晴らしいものでした!


日本を代表する画家、東山魁夷画伯が、10年を超える歳月をかけ、鑑真和上に捧げた大作です。日本の風土をテーマとして、色鮮やかに描かれた「山雲(さんうん)」「濤声(とうせい)」と、墨一色で描かれた和上の故郷中国の壮大な風景「揚州薫風(ようしゅうくんぷう)」「黄山暁雲(こうざんぎょううん)」「桂林月宵(けいりんげっしょう)」のほか、坐像を収めた厨子の扉絵「瑞光(ずいこう)」も画伯の作です。

唐招提寺ホームページより


抑えた色彩からは深みと広がりが感じられ、この襖絵たちを拝見するだけでも感動的です。各部屋ごとに襖絵がありますので、何周もしてじっくりと眺めていたいと思わせるような、素晴らしい絵でした。うちの相方がこの障壁画が大好きなため、絵葉書も購入してきました。部屋に飾っておきたいと思います!


唐招提寺(鑑真和上像)@西ノ京-17

「鑑真大和上御影堂参拝記念」として参拝者に配られていた絵葉書。鑑真和上像の穏やかな表情と、東山魁夷画伯の襖絵が2枚入っていました


鑑真和上の墓所「開山御廟」にもお参りを

帰り際に、もちろん「金堂(国宝)」も拝見してきました。しかし、鑑真和上の命日に伺ったにも関わらず、時間の関係で墓所である「開山御廟」へお参りすることが出来なかったのが心残りでした。ぜひ忘れずに鑑真和上のお墓にもお参りしておいてください!


唐招提寺(鑑真和上像)@西ノ京-18

唐招提寺の伽藍。人は多かったものの、いつ来ても落ち着きますね

唐招提寺(鑑真和上像)@西ノ京-19
平成の大修理を終えた唐招提寺「金堂(国宝)」。閉門間際までたくさんの参拝客の方の姿が見えました

唐招提寺(鑑真和上像)@西ノ京-20
どの角度から見ても美しいお堂ですね。お堂内にいらっしゃる盧舎那仏坐像・千手観音立像・薬師如来立像の三尊は、いずれも3mを超える巨像で、本当に迫力があります。何時間でも眺めていたくなります



大きな地図で見る


■唐招提寺

HP: http://www.toshodaiji.jp/
住所: 奈良県奈良市五条町13-46
電話: 0742-33-7900
宗派: 律宗(総本山)
本尊: 廬舎那仏(国宝)
創建: 759年
開基: 鑑真
拝観料: 600円(新宝蔵は別途100円)
拝観時間: 8:30 - 17:00
駐車場: 有料駐車場あり(500円)
アクセス: 近鉄橿原線「西ノ京駅」から徒歩10分

※世界遺産に登録されています
※唐招提寺全体については、こちらをご覧ください
天平の空気を感じる鑑真の古刹『唐招提寺』@西ノ京
大修理を終えた「金堂」は大迫力『唐招提寺』@西ノ京






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