2020-02-08

必見の特別展『毘沙門天 -北方鎮護のカミ-』@奈良国立博物館

必見の特別展『毘沙門天 -北方鎮護のカミ-』@奈良国立博物館

奈良国立博物館の特別展『毘沙門天 -北方鎮護のカミ-』を拝見してきました。半世紀ぶり(!)の特別展出品となる京都・鞍馬寺「毘沙門天立像」や、京都・東寺のオリエンタルな兜跋型「毘沙門天立像」を筆頭に、素晴らしいお像がずらり!「地味な内容かも」などと心配していましたが、とんでもない。仏像好きな方は必見です!


「毘沙門天」は北を護る多聞天のこと

奈良国立博物館(公式Twitter)で、特別展『毘沙門天 -北方鎮護のカミ-』が始まりました(2020年2月4日~3月22日)。

毘沙門天(びしゃもんてん)とは、仏教世界や仏法を守る「四天王」(持国天・増長天・広目天・多聞天)の一員の多聞天のこと。方角でいうと北のカミとされ、多聞天が単独で祀られると毘沙門天と呼ばれます。四天王の中でも特別な存在とされました。

毘沙門天というと、戦勝祈願をした聖徳太子の前に毘沙門天が現れて必勝の秘法を授けたと伝わる『信貴山 朝護孫子寺』が思い浮かびます。

また、戦国武将の「上杉謙信」は、自身を“毘沙門天の生まれ変わり”とし、篤く信奉したことも有名でしょう。私自身、上杉家が支配した新潟県上越地方の生まれですので、とても親近感を覚えています。

とはいえ、こういった仏像展示の企画として、毘沙門天を単独で取り上げるとなると、かなり地味めな内容では……という不安がありました。それぞれの像容に変化が乏しく、単調になってしまうのではないかと思っていたのですが、とんでもない!意外なほどの多様性があって、本当に素晴らしい内容でした!


特別展『毘沙門天 -北方鎮護のカミ-』@奈良国立博物館-08

奈良国立博物館の特別展「毘沙門天 -北方鎮護のカミ-」チラシ表面と裏面。センターは半世紀ぶり(!)の特別展へのお出ましとなった、京都・鞍馬寺「毘沙門天立像」(国宝)です。「すべてのことを聞きもらさぬ!最強武神、此処に集結!」というキャッチコピーもいいですね!

特別展『毘沙門天 -北方鎮護のカミ-』@奈良国立博物館-09
チラシの中面には、今回の特別展に集まった37件(うち国宝2件、重文18件)の中から選抜された、スター毘沙門天像がずらり!ポーズや持物などに共通点が見られますが、意外なほど多様な姿で造像されていることがわかります

特別展『毘沙門天 -北方鎮護のカミ-』@奈良国立博物館-10
同時開催されている、恒例の特別陳列「お水取り」(2/4~3/22)も拝見できます。「二月堂本尊光背 頭光」「二月堂曼荼羅」「二月堂神名帳」など、今年も貴重な品々が展示されていました


双身に兜跋型!多様性に驚きました

●第1章 独尊の毘沙門天像
●第2章 毘沙門三尊像
●第3章 双身毘沙門天像
●第4章「兜跋(とばつ)」形毘沙門天像

今回の特別展はこのような構成になっており、2室を使って37件が展示されています。

奈良の仏像を中心に拝見している私などは、「右手に戟(げき)を構え、宝塔を持った左手は高く掲げる」「鎧をまとい、頭はシンプルなお団子ヘア」というスタイルを連想します。ところが、そんな単純なものではありません。


▲まずはこちら、愛媛県・如法寺に伝来した、現存最古級とされる毘沙門天像です。像高28.1cmの小像ですが、奈良時代以降はほぼ用いられなくなった「木心乾漆造」です!もうそれだけでもすごいのに、邪鬼の目に金属が入っていたりと造形も素晴らしい!感動しました!


▲和歌山・道明寺のお像は、平安時代のもので「木彫の毘沙門天像としては現存最古級」だとか。クネッとねじった身体のラインがユーモラスで、まったく強そうに見えないところがいいですね(笑)。戟を持っていた右手がぐりっと捻られているのも愛らしくていいです!


▲西国三十三所観音霊場の結願札所である、岐阜・華厳寺のお像。実用的そうな甲冑に身を固めた、武神タイプの造形です。シンプルながら力強さを感じ、今回拝見した中でバトルしたらきっと最強なんじゃないかと思います(笑)


▲かつて、島根・岩屋寺に伝来した、像高210.1cmの巨像。平安末期の作で、全体の文様と色彩が個性的で美しいです。ちょっとびっくりしたような表情もいいですね!


▲今回もっとも驚いたのが「双身毘沙門天像」と分類される、二体が背中合わせになったお像でした。こちらは鎌倉時代の作で、東大寺に伝わるとか(さすが東大寺、すごい!)。よく見ると、それぞれの口から牙(きば)が伸びていて繋がっているという異形っぷりです。双身像は3躯が出品されていますので、ぜひ見比べてみてください!


▲そして、いわゆる「兜跋(とばつ)毘沙門天」と呼ばれるタイプで、もっとも有名な京都・東寺の像もご出陳なさってます。中国で制作され、かつては平安京の羅城門の楼上に安置されたとも伝わっています。その姿は、とにかくエキゾチック!規則的な文様が美しく、まるで端正な舞台衣装のよう。周囲をぐるぐると何回もまわって拝見してきました。この像をもとにした模刻像も展示されていますので、見比べてみてください。


記念撮影スポットも用意されています

特別展『毘沙門天 -北方鎮護のカミ-』@奈良国立博物館-03
ミュージアムショップの脇には、こんな記念撮影スポットも用意されています

特別展『毘沙門天 -北方鎮護のカミ-』@奈良国立博物館-04
また、奈良国立博物館の地下回廊(※無料エリアです)では、アニメ化もされたオンラインゲーム「なむあみだ仏っ!-蓮台 UTENA-」とコラボして、登場キャラクターの等身大パネルの展示があります

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こちらが毘沙門天および四天王の等身大パネルです。背景もちゃんとしていますし、ファンの方はぜひ!

特別展『毘沙門天 -北方鎮護のカミ-』@奈良国立博物館-06
毘沙門天の特別展の後には、ぜひ近くにおわす仏さまにもご挨拶してください。東大寺・中門(大仏殿の前の門です)には、大きな「兜跋毘沙門天立像」がいらっしゃいます。



■奈良国立博物館

HP: http://www.narahaku.go.jp
Twitter: @narahaku_PR

住所: 奈良県奈良市登大路町50番地
電話: 050-5542-8600(NTTハローダイヤル)
アクセス: JR・近鉄「奈良駅」から、市内循環バス外回り(2番)「氷室神社・国立博物館」バス停下車すぐ(近鉄奈良駅から徒歩約15分)


●特別展「毘沙門天 -北方鎮護のカミ-」

HP: https://www.narahaku.go.jp/exhibition/2020toku/bishamon/bishamon_index.html
会期: 2020年2月4日(火)~3月22日(日)
休館日: 毎週月曜日、2月25日(火)※2月24日(月・振休)は開館
開館時間: 9:30~17:00(金土は19:00まで)
観覧料: 大人 1,500円、高校・大学生 1,000円、小・中学生 500円






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