2017-05-10

企画展『快慶』『木×仏像』『新作発見!弥生絵画』など

特別展『快慶』『木×仏像』『新作発見!弥生絵画』など

この春、関西の博物館では、注目の特別展が相次いで開催されています。●奈良国立博物館の『快慶』 ●大阪市立美術館の『木×仏像』 ●橿原考古学研究所附属博物館の『新作発見!弥生絵画』という3つの展示を見てきましたので、簡単にまとめておきます。どれも素晴らしい内容でした!


特別展『快慶』@奈良国立博物館

奈良国立博物館で開催中の、話題の特別展『快慶 日本人を魅了した仏のかたち』(2017年4月8日~ 6月4日)。

鎌倉時代の仏師・運慶と並ぶ、日本を代表する仏師・快慶の作品が一堂に介した、素晴らしい内容でした!

快慶は生まれた年も不明であるなど、いろいろと謎の多い方ですが、現在、快慶作と確認されている像の8割以上にあたる37件、また関連資料など計88件が展示された圧巻の内容です。

●快慶が何体も刻み、後の仏像の規範ともなった、高さ約90cmの「三尺阿弥陀」などがまとめて見比べられるのが面白い
●ボストン美術館蔵の「弥勒菩薩立像」の貴重な里帰り展示
●高野山から「孔雀明王坐像」「深沙大将立像」「執金剛神像」などがお出ましに

見どころを上げたらキリがないほどです。仏像好きな方はもちろんですが、これまであまり興味がなかったという方も、「すげー!」と驚けるポイントが多いのでお勧めですね。


特別展『快慶』@奈良国立博物館-01

快慶展のチラシと図録。このチラシ、縦に二つ折りになっていて、縦長のポスターのような豪華版です!映っているのは、これもアメリカのキンベル美術館から里帰りしている「釈迦如来立像」。とてもお美しい方でした!

特別展『快慶』@奈良国立博物館-02
チラシの裏面に、大きく掲載されているのが、東大寺「僧形八幡神坐像」。僧侶のような雰囲気ですが、東大寺の鎮守、手向山八幡宮の御神体だった神さまです。現在は、東大寺の勧進所阿弥陀堂に安置されていて、毎年10月5日のみの御開扉です。間近でじっくりと拝見できるだけで貴重です!

特別展『快慶』@奈良国立博物館-03
その他、チラシに掲載されている方々。トップには京都・醍醐寺「弥勒菩薩坐像」(4月25日~6月4日)。下段に高野山からお出ましいただいた「孔雀明王坐像」「深沙大将立像」が掲載されています。この方たちは、いろんな意味で別格ですね。個人的にも大好きで、ぜひたくさんの方にお会いしてほしい仏さまたちです!

特別展『快慶』@奈良国立博物館-04
1階フロアには、快慶も中心メンバーとして造像に参加した、東大寺・南大門の「金剛力士像」の巨大パネルがあり、ここで記念撮影ができます。記念にぜひ!


■特別展『快慶 日本人を魅了した仏のかたち』

HP: http://www.narahaku.go.jp/exhibition/2017toku/kaikei/kaikei_index.html
会場: 奈良国立博物館(奈良市登大路町50番地)
電話: 050-5542-8600(ハローダイヤル)
会期: 2017年4月8日(土)~ 6月4日(日)
休館日: 毎週月曜日(休日の場合は翌日休)
開館時間: 9:30 - 17:00(※毎週金・土曜日は19時まで)
観覧料金: 一般 1,500円、高大学生 1,000円、小中学生 500円

■関連ページ

特別展 快慶 ~日本人を魅了した仏のかたち~|読売テレビ

『木×仏像』@大阪市立美術館

快慶展と同じくらい楽しみにしていたのが、大阪市立美術館の特別展『木×仏像(きとぶつぞう) 飛鳥仏から円空へ 日本の木彫仏1000年』です。

木で彫られた仏像「木彫仏」を集め、素材や技法などにこだわり、時代ごとの変遷を追った、素晴らしい内容でした。多くの仏像が、360度ぐるりとどの角度からも見られるのがいいですね。衣紋(えもん。身につけている服)の違い、軽くするために内部を削る内刳(うちぐり)の有無などがよくわかりました。

また、大阪市の企画らしく、地元・大阪の仏さまが数多く見られましたが、東北地方で一時期多く造られた「鉈彫仏」と呼ばれる、像の表面にあえてノミの跡を遺し、荒削りな雰囲気に仕上げた仏さまが何体かいらっしゃったのは意外でした。

奈良の仏さまも多数ご出陳されてましたので、仏像好きな方はぜひ!

HP: 
大阪・天王寺、大阪市立美術館で開催中。 木で造られた仏像約70体を360度楽しめます! 写真は宝誌和尚立像(京都・西往寺)です


『木×仏像』@大阪市立美術館-05

大阪市立美術館『木×仏像 飛鳥仏から円空へ 日本の木彫仏1000年』のチラシ。登場しているのは、京都・西往寺「宝誌和尚立像」です。平安時代(11世紀)の像で、中国南北朝時代の僧・宝誌さんの顔が割れて、中から十一面観音像が現れるという、独特の造形です。ノミ跡もはっきりと遺っていて、木そのものから異形が現出したような、恐ろしさすら感じました

『木×仏像』@大阪市立美術館-06
チラシ裏面。左上にいらっしゃるのが、国宝に指定された奈良・東大寺の「弥勒菩薩坐像」(別名:試みの大仏)です。飛鳥時代の古仏から、江戸時代の円空仏まで、時代ごとに見せてくれるので、とてもわかりやすかったです

『木×仏像』@大阪市立美術館-07
会場は、大阪・天王寺公園の中にある近代建築「大阪市立美術館」。内部もやや薄暗くて、とても雰囲気があります。以前は「ごちゃっとした天王寺公園には似つかわしくないかも」などと勝手に思っていたこともありましたが……

『木×仏像』@大阪市立美術館-08
天王寺公園のエントランス部分が「てんしば」として大幅にリニューアルされていました!天王寺で芝生の上でくつろげるなんて見違えましたね。昼間から飲みながら将棋指してていたおっちゃんたちがいた頃が、ちょっと懐かしいです(笑)


■特別展『木×仏像 飛鳥仏から円空へ 日本の木彫仏1000年』

HP: http://www.osaka-art-museum.jp/sp_evt/kitobutsuzo
会場: 大阪市立美術館(大阪市天王寺区茶臼山町1-82)
電話: 06-4301-7285(大阪市総合コールセンターなにわコール)
会期: 2017年4月8日(土)~ 6月4日(日)
休館日: 毎週月曜日
開館時間: 9:30 - 17:00
観覧料金: 一般 1,300円、高大学生 1,100円、中学生以下は無料など

『新作発見!弥生絵画』@橿考研博物館

これらとはちょっと毛色が違いますが、橿原市の「奈良県立橿原考古学研究所附属博物館」で開催中の春季特別展『新作発見!弥生絵画 ―人・動物・風景』も楽しかったです(2017年4月22日~ 6月18日)。

サブタイトルに「唐古鍵遺跡 発掘80周年記念」とあり、同遺跡からの出土品などもふくむ、弥生人が「絵」を描いた遺物を集めたユニークな企画展です。

身近な鹿を描いたものから、建物や船、(毛虫のような)龍などが描かれていたり、島根や鳥取から出土するものはサメが描かれていたりします。どれも稚拙な線画なのですが、見比べていくと面白いんですよね。

また、作品の大半は写真撮影もできます(※一部不可)ので、そういった意味でも楽しめました!


『新作発見!弥生絵画』@橿考研博物館-09

「奈良県立橿原考古学研究所附属博物館」で開催中の、春季特別展 唐古鍵遺跡 発掘80周年記念『新作発見!弥生絵画 ―人・動物・風景』のチラシ。石や土、金属といった身近な道具に、弥生人たちが絵を描いたものを集めています。単なる飾りではなく、動物の精霊に護られること、また獲物に恵まれることなどを祈って描いたんでしょうね

『新作発見!弥生絵画』@橿考研博物館-10
田原本町の唐古・鍵遺跡から出土した「左向きの鹿を描いた土器」

『新作発見!弥生絵画』@橿考研博物館-11
同じく、唐古・鍵遺跡から出土した「人を描いた土器」。素朴でいいですね!こんな風な絵のある遺物がずらりと並びます!

『新作発見!弥生絵画』@橿考研博物館-12

『新作発見!弥生絵画』@橿考研博物館-13

『新作発見!弥生絵画』@橿考研博物館-14

『新作発見!弥生絵画』@橿考研博物館-15

『新作発見!弥生絵画』@橿考研博物館-16
こちらは、関西地方で初めて公開されるという「サメを描いた銅剣」(鳥取県立博物館所蔵)。確かに小さくなにかが描かれていますが、じっくりみてようやく分かる程度でした。銅剣にサメの姿があれば、剣の強さも数倍に増しそうですよね

『新作発見!弥生絵画』@橿考研博物館-17
橿考研の博物館は、常設展示も圧倒的な物量で迫ってきます。じっくりと見ていたらきりがないほどです(笑)

『新作発見!弥生絵画』@橿考研博物館-18
斑鳩町の藤ノ木古墳からの出土品だって、本物が間近で見られます(しかも撮影可能です)。贅沢なことですよね。常設展示の最後の方にありますので、タイムアップになって見逃したりしないようにご注意ください!


■春季特別展『新作発見!弥生絵画 ―人・動物・風景』

HP: http://www.kashikoken.jp/museum/top-koushin/tenrankai/pdf/2017%20yayoi-kaiga.pdf(PDF)
会場: 奈良県立橿原考古学研究所附属博物館(橿原市畝傍町50-2)
電話: 0744-24-1185
会期: 2017年4月22日(土)~ 6月18日(日)
休館日: 毎週月曜日
開館時間: 9:00 - 17:00
観覧料金: 大人 800円、高大学生 450円、小中学生 300円など






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