2011-05-16

『国宝高松塚古墳壁画修理作業室の公開』@明日香村

『国宝高松塚古墳壁画修理作業室の公開』@明日香村

恒例となってきた『国宝高松塚古墳壁画修理作業室の公開』へ行ってきました。修復作業は国営飛鳥歴史公園内で行われており、その現場を観ることができるのですが、想像以上の飛鳥美人の鮮明な色彩に感動しました!オススメです!


修復中の飛鳥美人が見られるチャンス

第7回を迎える平成23年の春の一般公開『国宝高松塚古墳壁画修理作業室の公開』。修復中の高松塚古墳の壁画を見られる貴重な機会で、すでに恒例行事になってきました。

確かな記憶ではありませんが、以前は申し込みは往復はがきのみだったと思います。しかし、今ではインターネットからの申し込みも出来るようになり、私たちもようやく初めて拝見できました。

公開初日(月曜日)の昼過ぎを第一希望で申し込み、14:35からの回に参加しましたが、総勢20人近くもいて、これが22班。一日で30班近くになるようです。しかし、まだ定員には達していないようで、この日は当日申し込みの受付も行っていました。週末はさすがに難しいかもしれませんが、平日であればどこかの回には余裕があると思いますので、覚えておくといいかもしれません。

スケジュールは、「受付・資料配布→事前ガイダンス→修復作業室見学→アンケート回答」という流れで進み、トータル20分ほどで終了します。


国宝高松塚古墳壁画修理作業室の公開-01

恒例となった文化庁文化財部の「古墳壁画室」の特別公開。国営飛鳥歴史公園内の白いテントが目印で、たくさんのイベントスタッフの方が運営に当たっています。平日にも関わらずかなりの人出でしたが、この日は当日申込みも可能でした

国宝高松塚古墳壁画修理作業室の公開-02
第7回を迎える平成23年の春の一般公開では、事前にホームページから予約可能でした。日程が確定するとPDFの参加証が送付され、それをプリントアウトして受付で提示する方式です。以前のことは定かではありませんが、往復はがきのみの受付だったような記憶もありますので、便利になってますね

国宝高松塚古墳壁画修理作業室の公開-03
受付を済ますと、気合の入った立派なパンフレット(と震災による文化財保護の募金募集)が渡されました。中央にあるカードを首から下げて見学します。私たちは14:35に参加したのですが、これが22班。総勢20人近い集団でした。後からも続々と人が集まっていたので、一日で30班ほどあるのかもしれません


本物の壁画は色彩鮮やか!迫力たっぷりでした

この特別公開に初めて参加した感想ですが、本当に感動でした!ガラス越しに作業室を観るだけですから、きっと退屈に違いないと、これまで申し込みしてこなかったのですが、これはもっと早く観ておくべきでした(笑)

ガラス越しとはいえ、ほんの数メートル向こうには、最も有名な「西壁 女児群像」の本物の壁画があるのです。しかも、カビが発生した当時のニュース画像とは比べ物にならないほど、色彩は鮮明。遠目にもその華やかさは十分に伝わってきました。

また、正面には高松塚古墳の北壁に描かれた「玄武」と、その横にキトラ古墳の玄武を並べて陳列してくれるという贅沢ぶり!状態が違うため一概に比較できませんが、描かれた大きさや壁の中の位置など、しっかりと違いが感じられます。

ちなみに、キトラ古墳は石から壁画を剥がすことができたため、飛鳥資料館など、他の場所でも観る機会はあるでしょう(「キトラ古墳の四神特別公開『飛鳥資料館』@明日香村」この時に拝見しました)。しかし、高松塚古墳の壁画は石から剥がされていないため、おそらく外部で観られるチャンスは限定的でしょう。ほぼここでしか実物に会えないと思うと、いかに貴重な体験をさせてもらったのかが実感できます。

この特別公開はこれからも継続開催されると思いますので、少しでも興味がある方はぜひ参加してみてください!


国宝高松塚古墳壁画修理作業室の公開-04

10分ほどの事前ガイダンスを聞いた後、国営飛鳥歴史公園内にひっそりと建つ「国宝高松塚古墳壁画修理作業室」へ移動。そこで10分少々の見学時間が設けられます。飛鳥美人で有名な壁画の実物が、こんな近くで修復作業をしていたかと思うと、ちょっと意外な感じでした

国宝高松塚古墳壁画修理作業室の公開-05
「国宝高松塚古墳壁画修理作業室」を別角度から。ガラス越しの見学になりますが、はっきり間近に見えます。最も有名な、高松塚古墳壁画の「西壁女子群像」もガラスのすぐ向こう側にあり、想像以上にくっきりとした色彩が見られました!

国宝高松塚古墳壁画修理作業室の公開-09
「飛鳥歴史公園館」にあった資料(ここでは「国宝高松塚古墳壁画仮設修理施設」になっています)。これは立体図と断面図です

国宝高松塚古墳壁画修理作業室の公開-10
平面図

国宝高松塚古墳壁画修理作業室の公開-11
修理作業室内部のイメージ図

国宝高松塚古墳壁画修理作業室の公開-12
写真入りの資料もありました。参加者に配られたパンフレットには、たくさんの図が掲載されており、とても充実していました


■国宝高松塚古墳壁画修理作業室の公開

HP: http://takamatsuzuka.com/


飛鳥散策の前には『国営飛鳥歴史公園館』へ

国営飛鳥歴史公園の中心となる施設が『国営飛鳥歴史公園館』です。

こちらは展示パネル、立体模型(ジオラマ)、四季折々の飛鳥の風景が見られる「飛鳥百景」、飛鳥歴史アニメなどが見られる無料施設です。特に濃い内容ではありませんが、ジオラマでは明日香村のディープスポットまで紹介していますので、ここで行き先を決めてから飛鳥散策へ出発するといいでしょう。


国宝高松塚古墳壁画修理作業室の公開-06

国営飛鳥歴史公園の入り口部分に建つ「飛鳥歴史公園館」。無料で入館できる施設ですし、それほど時間もかかりませんので、ぜひ立ち寄っておきましょう

国宝高松塚古墳壁画修理作業室の公開-07
「飛鳥歴史公園館」の内部の様子。中央にはジオラマ、壁面には映像パネルが設置してあり、飛鳥の観光地や歴史などが学べます

国宝高松塚古墳壁画修理作業室の公開-08
飛鳥の地を俯瞰したジオラマ。高い建物がないのはいいですよね


■国営飛鳥歴史公園館

HP: http://www.asuka-park.go.jp/institution/
住所: 奈良県高市郡明日香村平田538
電話: 0744-54-2441
定休日: 12月29日 ~ 翌年1月3日
営業時間: 9:30 - 17:00(12月~2月は16:30まで)
拝観料金: 無料
駐車場: 飛鳥歴史公園の駐車場を利用
アクセス: 近鉄吉野線「飛鳥駅」から徒歩15分


石槨の原寸模型が楽しい『高松塚壁画館』

修復中の高松塚古墳壁画の実物は、特別公開の時期にしか見られませんが、それ以外の時期には、ぜひ同じ国営飛鳥歴史公園内にある『高松塚壁画館』に立ち寄ってみてください。(本物の)高松塚古墳へ向かう通り道にある、小さな有料施設ですが、なかなか楽しめます。

正面には、棺を納めていた石槨の原寸模型があり、これを盗掘穴が開けられた部分から覗き込むような展示があります。発見当時の状態がよく分かってリアリティーがあります。また、両サイドには、発見当時の壁画の模写と鮮明にした再現模写が対比するように展示されていて、鮮やかな色彩が間近に感じられます。

小さな施設ですから、ボランティアガイドさんの説明を最後まで聞いていても、それほど時間はかかりません。疑問に思ったことを気軽に質問してみるといいですね。


国宝高松塚古墳壁画修理作業室の公開-13

国営飛鳥歴史公園内にある『高松塚壁画館』。小規模な展示施設ですが、正面には棺を納めていた石槨の原寸模型があり、両サイドに、発見当時の壁画の模写と再現模写などが展示されています。盗掘穴から原寸模型を覗き込むと、なかなかリアリティーがあって面白いですね


■高松塚壁画館

HP: http://www.asukabito.or.jp/html/promenade02.html
住所: 奈良県高市郡明日香村大字平田439
電話: 0744-54-3340
定休日: 12月29日 ~ 翌年1月3日
営業時間: 9:00 - 17:00
拝観料金: 大人 250円、学生 130円、小人(小・中学)70円


『高松塚古墳』は綺麗に整備し直されました

国営飛鳥歴史公園には、もちろん本物の『高松塚古墳』もあります。内部の石室が解体されて取り出されてしまいましたが、その際に築造当時のような二段の円墳に修復されているため、とても綺麗になっています。ちょうど2年前に見に来た記事がありますので、合わせてご覧ください。


高松塚古墳の被葬者は判明していませんが、そのお墓の内部に何も無くなってしまったと考えると、勿体ないような可哀想なような気もしてきます。しかし、以前はどことなく「墓地」という雰囲気がありましたが、今ではすっかり「公園」になりました。

眠っていたところを盗掘され、昭和になって大ブームを巻き起こし、人の手が加えられてカビが発生し、解体されて修理工房へ。高松塚古墳を目の前にしてそんな変遷を思うと、ちょっと感慨深いものがありました。


国宝高松塚古墳壁画修理作業室の公開-14

綺麗に整備し直された『高松塚古墳』。2007年に16枚の凝灰岩で作られた石室を取り出し、築造当時の二段円墳として復元してあります。以前はここに飛鳥美人が描かれた切石があったのに今は無い・・・と考えると、ちょっと不思議ですね

国宝高松塚古墳壁画修理作業室の公開-15
「特別史跡 高松塚古墳」の説明看板。前半を抜粋しておきます。「高松塚古墳は7世紀末から8世紀初め頃に造られた古墳です。昭和47年の発掘調査で、日本で初めて、石室内に描かれた壁画が発見されました。墳丘の内部には、16枚の凝灰岩の切石を箱型に組んだ石室(内部の奥行き265.5cm、幅103.4cm、高さ113.5cm)があり、その内面に塗られた漆喰を下地として、壁に色鮮やかな男女群像や青龍、白虎、玄武、日・月像、天井に星宿が描かれていました。こうした壁画古墳は、日本ではこの高松塚古墳とキトラ古墳しか知られていません。」

国宝高松塚古墳壁画修理作業室の公開-16
少し離れた位置から見た高松塚古墳。以前の鬱蒼とした雰囲気は消え、親しみやすくなりました。その分だけ神秘性も薄れてしまったような印象も受けます

国宝高松塚古墳壁画修理作業室の公開-17
裏側からみたところ。立ち入りはできませんが、周囲を一周できます

国宝高松塚古墳壁画修理作業室の公開-18
高松塚古墳のすぐ脇にあった祠、または石室。お供え物がありました



大きな地図で見る


■高松塚古墳

HP: http://www.asuka-park.go.jp/takamatsu/
住所: 奈良県高市郡明日香村大字平田
電話: 0744-54-2662
拝観料金: 無料
駐車場: 飛鳥歴史公園の駐車場を利用
アクセス: 近鉄吉野線「飛鳥駅」から徒歩15分


■参考にさせていただきました!

高松塚古墳 - Wikipedia






  • Twitterでフォローする
  • Facebookページを見る
  • Instagramを見る
  • ブログ記事の一覧を見る







メニューを表示
ページトップへ