この絵、どこがすごいの?
美術史の視点から名画への理解を助けてくれる一冊。絵画鑑賞の初心者に最適の良書です!
過去に描かれた西洋や日本の絵画への理解を助けてくれる一冊。内容もとても分かりやすく、本当に楽しい良書でした。昔の名画を鑑賞する際、その真意を理解しようとすれば、絵が描かれた当時の時代背景や宗教観などの基礎知識が必要になります。こうした学問を「美術史」というそうですが、本書は絵画鑑賞の初心者への入門編として最適ですね。
私はこのジャンルで話題となった『怖い絵』シリーズ(1作目・2作目・3作目)を最近になって読んだばかり。西洋の歴史や風俗にも疎く、西洋美術を鑑賞するような下地はありませんでしたが、どれもとても面白く読めて、3作とも5つ星評価をしたほど楽しめました。しかし、2012年3月に発売された本書は、それよりもさらに分かりやすく美術史の世界を解説してくれていて、さらに星を上乗せしたいくらいですね。
●全ページフルカラー。もとの絵も大きめで見やすい。●時代別に分類され、美術史の流れが掴みやすい。●画家本人の情報も1ページあり、人物像が分かりやすい。
西洋絵画篇は、ルネッサンスの時代・バロックの時代・変革の時代の3つに分けて、ダビンチ「モナ・リザ」、ミケランジェロ「最後の審判」、レンブラント「夜警」、ゴヤ「裸のマハ」、モネ「印象・日の出」、セザンヌ「大水浴図」、ピカソ「アヴィニョンの娘たち」など、計15の名画が、それぞれ6ページにわたって解説されていきます。
日本絵画篇は、平安~桃山時代・江戸時代の2つに分けて、「源氏物語絵巻[柏木(二)]」、長谷川等伯「楓図」、俵屋宗達「風神雷神図屏風」、伊藤若冲「南天雄鶏図」、葛飾北斎「富嶽三十六景 凱風快晴」など、計8作品が扱われています。
その絵の画題から始まって、誰を何の目的で描かれたのか、その当時どこが革新的と驚嘆(または非難)されたのかなどの解説が交えられると、画家の言わんとすることが理解できますね。美術館や画集などで美しい絵をただただ「美しい」で終わるのではない、新たな楽しみ方が見つかります。西洋の歴史や美術などに詳しくない方にこそ読んで欲しい内容ですから、美術鑑賞の初心者の方はまず本書から入ってみるといいでしょう。