2016-12-20
「失われた名画」の展覧会
失われてしまった西洋の名画たちを集めたユニークな美術本
今はもう失われてしまった美術作品を、下絵やコピー品などを手がかりに紹介していく、ユニークな切り口の一冊。図像も多数掲載されていて、とても読みやすいですね。
天災や戦争、人為的な破壊、盗難など、絵画作品が失われる理由はさまざまです。著名な作家の作品であってもすでに目にすることができなくなっている事実にも驚かされます。
失、盗難、戦争…人の愚かしさによってこの世から消えてしまった西洋名画が勢揃い! 絵画に秘められた悲哀のドラマが鮮やかに蘇る!
「内容紹介」より
「オペラ座の怪人」の舞台にもなったパリ・オペラ座の天井画は、マルク・シャガールが1964年に描いたものです。しかし、それ以前にはジュール・ウジェーヌ・ルヌヴーが「ミューズたち」をテーマに描いた作品があり、シャガールの絵はそれから少しだけ浮かして描かれており、失われてはいないまでも、もう見ることができなくなっているのだとか。
これはちょっと特殊な例ですが、本書ではこうした失われた絵画の模写やコピー、下絵などを集めています。ルーベンス、カラヴァッジョ、モネ、クレー、ピカソ、マネ、フェルメール、レンブラントなど、名だたる巨匠の失われた作品が紹介されています。
逆に考えると、もとの絵を想像するヒントがこれだけ遺されているのは、彼らの作品が当時から価値があると認められていたから。後世の人が惜しかったと思ってくれるからに過ぎません。現在まで無事に伝わった作品たちが、どれだけ幸運だったか、あらためて感謝したくなります。
興味深い一冊ですので、絵画がお好きな方はぜひ手にとってみてください!