2015-03-18
百日紅 (上) (ちくま文庫)
葛飾北斎の娘・お栄を主人公に描く江戸風情。傑作!間もなく公開されるアニメ映画も期待!
江戸の風俗を鮮やかに描きだした、故・杉浦日向子さんの漫画作品。江戸の浮世絵師、葛飾北斎の娘・お栄を主人公に、情緒ある江戸の人々の姿を描きだしています。
特に大きな事件が起こったりはせず、浮世絵師という稼業の人々と、それを取り巻く人々、歌舞伎役者、商店の旦那など、淡々と描写していきます。粋であり、ずぼらであり、酒を飲んだり、女郎屋へ通ったり。売れっ子の浮世絵師の一門ですから、江戸庶民とはまた違うのでしょうが、リアリティがにじみ出ています。
初出は1983年の雑誌連載だったそうですが、まったく古びていません。まさに傑作ですね。
作中には、浮世絵を描くシーンや、完成した作品などの多数登場しますので、江戸絵画が好きな方も楽しめるでしょう。「父である北斎に劣らない」とも言われたというお栄の、はしたないほどの粋な姿など、思わず惚れてしまいそうです(笑)
2015年5月に、アニメ映画『百日紅~Miss HOKUSAI~』が公開になりますが(お栄役は杏さん、北斎役は松重豊さん!)、原作は短篇集なので、どんなストーリーになるのか楽しみですね。
また、ちくま文庫版では上下巻になっています。『百日紅 (下) (ちくま文庫)』も読みましたが、特にストーリーがあるわけではありませんので、最後までふわりと終わっています。ぜひ合わせてどうぞ!