
山岸凉子『日出処の天子』古代飛鳥への旅 (別冊太陽 太陽の地図帖)
聖徳太子を主人公に描いた名作漫画の原画やエピソードが満載!
厩戸皇子(聖徳太子)を主人公に描いた、名作漫画『日出処の天子』(Wikipedia)について、作者である山岸凉子さんも登場し、たっぷりと振り返った一冊。
連載は1980年~1984年のこと。古代の歴史をそのままなぞるだけではなく、厩戸皇子を超能力者として、さらに同性愛者として描いた、当時としては画期的な作品でした。私はかなり後になってから読んでいますから、その衝撃は想像するしかありませんが、当時リアルタイムで読んでいた女性たちは、大きな影響を受けたことでしょう(笑)
冒頭から貴重な貴重な「原画ギャラリー」で始まり、荒俣宏先生との対談、舞台となった飛鳥を訪ねる企画、ストーリーのおさらい、登場人物の紹介、歴史的なエピソード、ファンの方たち(綿矢りささんやおかざき真里さん!)からの寄稿など、とにかく豪華!ファン必見ですね。
説明文:「少女漫画史に燦然と輝く不朽の名作『日出処の天子』。30年余の時を越えて読み継がれるこの作品の魅力を徹底紹介する。舞台となった飛鳥や河内へのルポ、登場人物ゆかりの史跡・寺社のガイドのほか、著者・山岸凉子本人へのインタビューでは、創作秘話や後日談、主人公・廐戸王子への思いなどが語られるほか、貴重な仕事場の写真も公開。巻頭にはファン垂涎のカラー原画を計22枚大判で掲載、うち1枚はなんと本書が初登場の未公開作品! !すべての『日出処の天子』ファン、少女漫画ファンに捧ぐ永久保存版。」
この本は基本的にはファンブックのような形態ですが、さすがは別冊太陽さん、ディープな歴史的・美術的な考察などもふくまれていて、とても読み応えがありました。「『聖徳太子絵伝』を読む」というような考察記事などもいいですね。原作の世界をより深く掘り下げてくれています。
詳しい内容までは明かしませんが、未読の方はぜひ一度手にとってみてください。かなりクセはあるものの、いま読んでもまったく古びていませんし、本当に魅力的な作品です。先に作品を読んでからこのガイドブックを読むと、すぐにでも飛鳥に行きたくなると思います。
それにしても、この作品が発表されたのは、もう今から30年以上も前のことになります。そんな時代に、こんな斬新な作品が少女漫画誌で連載されていたということ自体が驚きです。本当にすごい(笑)