また旅。
日本全国を暮らすように旅し、素敵なものを食べて買う。羨ましい旅の姿!
雑誌『暮しの手帖』連載の「きょうの買い物」を、改題してまとめたもの。筆者の岡本仁さんが、日本全国を暮らすように旅し、興味のあるものを食べ、購入し、その風景をスマホで撮影しています。
やや緩めの企画内容なんですが、こういった時こそ書き手の視点や個性が問われます。なんの目的もなく知らない街へふらっと出かけてみたくなる、旅心が刺激される一冊でした。
<掲載エリア>
長崎・大阪・松山・旭川・鎌倉・京都・鳥取・高知・盛岡・日田・新潟・奈良・金沢・札幌・山形・唐津・秋田・神戸・尾道・富山・名古屋・上田・浜松
「内容紹介」より
旅のスタイルは人それぞれですが、本書では有名な観光地に立ち寄ったりすることが主ではありません。全国各地の民芸品や工芸品、アート作品などを購入し、その土地の人々に会い、紹介してもらった美味しいお店で食事をする。「取材だ」と力を入れるのではなく、ゆったりと地方の街を歩いている姿が浮かんできます。
奈良編では、以下のようなスポットが紹介されています。
●「修学旅行をやり直す。」として、奈良公園や東大寺・春日大社を巡る。
●「ソ連の名残。」として、カフェ『ボリク・コーヒー』さんでロシア製の雑貨を購入。
●「宇陀へ。」では風情ある街を歩いて銘菓「きみごろも」などを購入。
●「ピーナッツとアメリカ」として、天理市『中西ピーナツ』さんでアーモンドバターを購入。
なかなかユニークですね。観光旅行で奈良を訪れた人とはまた違った視点で切り取られていて、面白かったです。他の街でも意外性がありながら、しっかりとツボを押さえた内容となっているのはさすがです。
「旅に出たい!」と思わせてくれるのと同時に、「自分にこんなゆったりとした旅ができるだろうか?」というコンプレックスまで刺激されました(笑)