平城京のごみ図鑑 最新研究でみえてくる奈良時代の暮らし
平城京の“ごみ”から見えるリアルな奈良時代。分かりやすくて面白い良書です!
2015年の夏、平城宮跡資料館で開催された子ども向けの展示企画「平城京“ごみ”ずかん」の内容を、書籍として再編集した一冊。平城宮跡から発掘されるごみから何が分かるのか? 画像をたっぷりと使って、楽しく平易に解説されています。
出土する木簡などについて書かれた本は、どうしてもややこしくて読みづらくなりがちですが、この本は楽しく読み進められました。図書館で借りて読みましたが、手元に置いておきたいので買い直すと思います(笑)
1300年前の“ごみ”からここまで読み解ける!!大極殿周辺や西大寺食堂院跡、長屋王邸宅跡などより出土したごみから、奈良時代の暮らしに迫る!!平城宮跡資料館の大好評企画展、書籍化!!本で楽しむ博物館。
「内容紹介」より
本書の項目は以下のようになっています(項目の一部を抜粋)。
●第1章 奈良時代のごみと出会う
・ごみから生活がわかる
・発掘現場から出てくるもの など
●第2章 ごみ捨て場をのぞいてみよう
・あんなごみこんなごみ(落書きのあるものなど)
・ごみにも個性がある(役場・お寺・貴族の家)
・奈良時代のリサイクル術
・奈良時代のおまじない
●第3章 木簡は奈良時代からの手紙
・木簡大図鑑(意外・奇妙・美味しそうなど)
・平城京遷都のナゾを解く手がかりにも!?
●第4章 ウンチでわかる食生活
・奈良の都のトイレ事情
・ウンチが解き明かす食生活
●第5章 ごみは宝物
・ごみを科学する
・ごみを輝かせる仕事~奈良文化財研究所~
平城宮跡の発掘調査で見つかるものの多くは、奈良時代の人々がごみとして捨てたものばかりです。文章が書かれた木簡であったり、割れた食器であったり、捨てられた種であったり。「現代の科学を使えば、そこからこんなにたくさんの情報が読み取れるのか!」という驚きがありますね。
奈良時代の人々がどんな生活をしていたのか。恵まれた環境で生活する現代人にはなかなか想像ができないものです。彼らが何を食べ、何を不満に思い、どんな健康状態だったのか。千数百年前のごみから、奈良の都に暮らしていた人々のリアルな息遣いが感じられます。
また、フルカラーで画像もたっぷり掲載されていて、わかりやすいのがいいですね。この本を足がかりに、気になった点について深く調べていく、そんな使い方ができそうです。良書ですのでぜひ手にとってみてください!