
大人の探検 奇祭
大人の探検シリーズ二冊目は「奇祭」。読みやすくて適度に専門的。かなり楽しめます!
日本全国で今なお行われている奇妙なお祭「奇祭」。性をテーマにしたもの、珍奇に見えるもの、恐ろしい雰囲気のもの、笑いをともなうものなど、奇祭の専門家と、知識のない女性編集者が、全国の21の奇祭へ出向いて体験しています。
有楽出版社がスタートさせた「大人の探検」シリーズ。第一弾の『大人の探検 古墳』(紹介記事)も面白かったのですが、第二弾もそれに劣らないほどわくわくする内容でした!
説明文:「北海道から沖縄まで、祭りあるところに現れる奇祭評論家・杉岡幸徳氏に連れられて、全国の奇祭を巡ることになった編集担当・鈴木。そこで見たものは、仮面を被った怪物(パーントゥ・沖縄県)、巨大な男性器型のご神体にまたがり揺られるギャル(しねり弁天たたき地蔵・新潟県)、生け贄に捧げられる少女たち(一夜官女祭り・大阪府)など、珍妙、不思議、奇怪な祭りの数々。それは初めて見る日本の姿だった!本書では著者の綿密かつ個性的な解説に、躍動感溢れる写真を豊富に交え、まるで一緒に旅をして祭りを目の当たりにするかのように、日本の奇祭を生き生きと紹介する。ページをめくるたび、大人の知的好奇心を刺激する一冊!」
奇祭を扱った本としては、みうらじゅんさんの『とんまつりJAPAN―日本全国とんまな祭りガイド』(紹介記事)が(ファンの間では)有名です。
こちらは現地へ行って奇祭を見て脱力する……という内容でしたが、本書はもうちょっと真面目にレポしていて、祭の起源や民族学的なことまで踏み込んでいます。単に指を指して笑うだけではなく、伝統を尊重しながら愛でているのが伝わってきていいですね。レベル的にも難しすぎず、誰もが楽しめる内容です。
●キリスト祭り(青森県)●こじき祭り(岐阜県)●鍋冠祭り(滋賀県)●笑い祭り(和歌山県)●おんだ祭り(奈良県)●かなまら祭り(神奈川県)●つぶろさし(新潟県)●牛乗り・くも舞(秋田県)●パーントゥ(沖縄県)●ヨッカブイ(鹿児島県)など
本書で紹介されている奇祭の一部ですが、どれもその道では有名なものですね。明日香村・飛鳥坐神社の、性行為を演じて五穀豊穣を祈る「おんだ祭り」も当然登場しています。この他、関西では、鍋をかぶった少女の行列が行われる「鍋冠祭り」(かぶった鍋の数に秘密があった)、怪人が登場して周りの人を無理やり笑わせていく「笑い祭り」など、興味深いお祭りがたくさん行われています。
「日本にはまだまだ色んな知らないことが残されているんだ」
そう気付かされる企画ですね。とても面白い内容ですから、興味のある方はぜひ!