大人の探検 古墳
大人の探検シリーズ一冊目は古墳。読みやすい会話形式で、適度に専門的。オススメです!
日本の考古学会の第一人者である、明治大学名誉教授の大塚初重先生が監修した古墳本。「大人の探検」シリーズの一冊目ということですが、いきなり渋い企画を持ってきましたね!
説明文:「好奇心旺盛な大人に贈る、知的冒険の書!それが“大人の探検"。「先生! 僕に古墳を教えてください!!」古代好き編集者、木庭くんが、考古学界の重鎮・大塚初重先生の元を押しかけたことで、2人の旅は始まる。古墳をより楽しむための古墳の見方からディープで熱い発掘の裏話まで、足でめぐりたい人にも、ページをめくって古代への旅に出たい人にも、読んでも行っても楽しい1冊!」
最初は古墳に関する基礎知識のページ。「古墳散歩のススメ」や、時代・見分け方・外見・中身・出土品など、ツボを押さえたシンプルで分かりやすい解説です。
大塚先生がおすすめする、全国73基の古墳が紹介されています。「文字で旅する古墳散歩」では、<関東>観音山古墳・三昧塚古墳・稲荷山古墳など、<近畿>藤ノ木古墳・ホケノ山古墳・箸墓古墳・今城塚古墳など、<中国・九州>楯築遺跡・西都原古墳群が、現地を訪れる形で登場しています。
古代好き編集者と大塚先生が、二人で全国の古墳を巡る会話形式になっていて、とても読みやすいです。難しい専門用語は少なめですし(出てきても解説がついています)、初心者の方にもとっつきやすいでしょう。実際に現地へ行きやすいように、周辺の施設やマップが掲載されているのも便利ですね。
また私のような少しだけ知識がある人間にとっても、大塚先生のリアルな発掘エピソードなどが散りばめられているため、まったく飽きずに読めました。これまで何度も現地へ足を運んだ奈良の古墳たちも紹介されていますが、注目すべき出土品の情報なども示されていて、単に「大きいね!」だけではない見方を教えてくれています。
東京都府中市の珍しい上円下方墳「熊野神社古墳」などもぜひ観てみたいですし、宮崎県西都市の「西都原古墳群」では、5世紀ごろの地下式横穴墓(真下へ2mくらい穴をほってから横へ掘り進める形)など、近畿では見つかっていないような特殊な形式の古墳も紹介されています。
以前は、ヤマト政権が前方後円墳という墓制を定め、それが長い時間をかけて地方に伝播していったという説が一般的でしたが、それにあてはまらない古墳も見つかっており、少しずつ見方も修正されつつあるとか。こんな古い話が今でも先生たちの頭を悩まして、新たな学説が生まれているのは面白いですよね。
この本をガイドブックとして現地へ行ってもいいですし、自宅で読んでいるだけでも十分に楽しめます。ぜひ手にとってみてください!