日本人はどこから来たのか?
日本人の祖先はどのルートで渡ってきたのか?興奮できる一冊です!
日本人の祖先となった人はどんなルートで日本へやって来たのか?この問いについて最新の研究成果をもとに解明に挑んだ一冊。
この時代のことはほとんど知識がありませんが、奈良県などが参加する「第4回古代歴史文化賞」の優秀作品賞に選ばれたため手にとってみましたが、ダイナミックで読み応えたっぷりでした!
説明文:「約10万年前、アフリカを出た私たちの祖先は、4万8000年前、ヒマラヤ山脈を挟んで、南北に別れて拡散、1万年後、東アジアで再会する。そして、私たちの遙かなる祖先は、古日本列島に、3ルートから進出した。3万8000年前の航海術の証拠そして実験、世界各地の遺跡の年代調査比較、DNA分析、石器の比較研究。国立科学博物館気鋭の人類学者の重層的な調査によって浮かび上がる日本にいたる人類の「グレート・ジャーニー」その新たなる仮説―。」
・はじめに 私たちはどこから来たのか?
・第1章 海岸沿いに広がったのか?
・第2章 私たち以前の人類について
・第3章 ヒマラヤ南ルート
・第4章 ヒマラヤ北ルート
・第5章 日本への3つの進出ルート
・第6章 対馬ルート、最初の日本人の謎
・第7章 沖縄ルート、難関の大航海
・第8章 北海道ルート、シベリアからの大移動
・第9章 1万年後の再会
・第10章 日本人の成立
人類の祖先となるホモ・サピエンスは、アフリカから大陸を通ってアジアの東端の日本までやって来ます。その際、これまではインドなどの海沿いを伝って東進したという説が主流でしたが、筆者はその説のような「ヒマラヤ南ルート:のみではなく、「ヒマラヤ北ルート」も使われたことを主張しています。
当時は現在よりも気温が数度低い氷河期で、海面は下がり、島々もつながっている場所も多かったそうです。そんな状況でも、極寒のシベリアなどにまで人類は進み、そこで生活した痕跡があるのだとか。ご先祖様はすごいですね!
また、日本へ渡ってくるルートは、まずは対馬から、その後で沖縄へ海洋航海(!)してきた者たちが現れ、その後で北海道ルートから入った痕跡が見られるとか。
本書ではもちろんこんなざっくりとした説明ではなく、調査結果をもとに理論が組み立てられていますが、簡単には信じられないような壮大なシナリオでちょっとびっくりしますね。世界地図も把握していない現生人類の祖先が、とにかく新天地を求めて遠くへ遠くへ進む様子を想像すると畏怖の念すら覚えます。
この説が学会内でどんな位置づけなのかは分かりませんが、私は手に汗を握りながら一気に読み終えました。歴史があまり得意じゃない方でも楽しめる内容だと思いますのでお勧めです!
なお、筆者を中心とした国立科学博物館では、本書の説を実証するプロジェクト「3万年前の航海 徹底再現プロジェクト」を行います。クラウドファンディングなども利用して実現にこぎつけ、その様子はネット中継もされるとか。こちらも合わせて注目したいですね。