古墳時代 美術図鑑 (別冊太陽 日本のこころ)
古墳時代の物たちを美術的に見つめ直した一冊。美しくて読み応えあり!
「別冊太陽」シリーズから登場した、古墳時代の物たちを歴史的にだけではなく、美術的に見つめ直そうとした一冊。
銅鏡から始まって、工芸的なもの、多様な埴輪たちの世界など、歴史的な背景を解説しながら、大きくて見やすい図版で細部まで鑑賞できます。解説テキストはかなり専門的ですが、素朴な美があふれるような写真を見比べていくだけでも十分に楽しめます。
考古資料の造形・文様・材質・加工などに注目し、「物」から見える古墳時代の歴史と美に迫る、今までにない1冊!銅鏡、宝器、玉、武器・武具、金属工芸、各種の埴輪、農工具、甕・竈、漁具、須恵器、銘文刀剣、天文図などを、各分野の第一線で活躍する研究者多数によって網羅的に紹介。航空写真で見る全国の古墳や、訪ねることができる古墳展示施設案内も充実。掲載資料220点超! 古墳写真も25エリア紹介!入門者から上級者まで楽しめる、古墳美術書の決定版! !
「内容紹介」より
・古墳時代の基礎知識 Q&A
・第1章 銅鏡──紋様と図像の宇宙
・第2章 工芸の展開──造形と技の美しさ
・第3章 空から見た古墳列島
・第4章 埴輪──儀礼と様式の宇宙
・第5章 社会と文化の変遷──生活と技術・信仰
・概説 古墳時代の歴史/古墳時代年表/訪ねて学べる 古墳 & 博物館60
古墳時代の特徴的な物たちを、時代や形状的に分類し、各分野の著名な研究者さんたちが解説をしています。埴輪なども発掘された場所ごとに見ていくのではなく、種類ごとに分類されているため、近い種類のものが見比べられるのがいいですね。銅鏡なども同様です。
2017年に国宝に指定される見込みの奈良県天理市「東大寺山古墳」の特徴的な出土品たちも、見開き2ページにわたって掲載されています。不思議な装飾を持つ他では一切出土していない「花形飾環頭・家形飾環頭」や、渦巻状の「巴形銅器」など、不思議な美があふれています!
ただし、「美術図鑑」というタイトルほどは、美術的という印象はありませんでした。それぞれの形状やどんな意味が込められているのか、どんな用途で使われたのかなどを積み重ねてその美に迫る、というようなイメージです。
岡本太郎さんが縄文の美を賛美したように、古墳時代の美を褒め称える……というものではありません。ちょっと残念なような気もしますが、たぶんこれが正解なんでしょうね(笑)