
2018-08-20
悲劇の皇子(みこ)たち (日本書紀を歩く1)
有間皇子・大友皇子など、非業の死を遂げた22人の皇子たちを淡々と紹介
大和武尊から有間皇子・大友皇子まで、「日本書紀」に登場する、非業の死を遂げた22人の皇子たちを紹介した一冊。人物ごとの簡潔にまとめてあり、筆者の独自の見解などは控えめのため、安心感があります。
系図や縁の地の画像なども交え、悲劇的な運命をたどった古代の皇子たちが、より身近に感じられる内容ですね。楽しく読了しました。
『日本書紀』に登場する悲劇の死を遂げた皇子たち22人の列伝。皇位継承争いに敗れた。はからずも権力闘争に巻き込まれた。計られて謀反人にされた。非業の最期を遂げた皇子たち。それでも、愛を貫き、恋に命を懸けた皇子たちの人物像、生きた時代、悲劇の舞台、悲劇の背景などを探る。
「内容紹介」より
日本の古代史の“悲劇の皇子”といえば、真っ先に名前が挙げられるであろう「大和武尊(やまとたけるのみこと)」に始まり、猪に食い殺された麛坂王(かごさかおう)や大山守皇子・菟道稚郎子・隼別皇子・木梨軽皇子・眉輪王など、古代には様々な悲劇的な運命をたどった皇子たちがいます。
日本書紀の初期のころには、それぞれの記述は少なめで、さらに残酷を通り越して滑稽ですらある最後を遂げた者までいます。
また、時代が下ると、大和朝廷内の権力闘争の面が強まり、穴穂部皇子や初瀬部皇子、竹田皇子・山背大兄皇子・古人大兄皇子・有間皇子・大友皇子など、悲劇的の皇子が続々と生まれてしまいます。この時代まで行くと、それぞれの性格なども少しは把握できるようになり、よりドラマ性が増すような印象があります。
ずらりと22人の悲劇の皇子たちの人生を振り返っていくと、(当たり前の話ですが)高貴な生まれの方たちの人生もなかなか大変だったんだなと、あらためて思います。
日本書紀の文章を読んで人物像を把握するのは大変ですから、こうした角度を変えてまとめられた本はありがたいですね。古代史に興味がある方はどうぞ!