
とんまつりJAPAN 日本全国とんまな祭りガイド (集英社文庫)
みうらじゅん氏の魅力が凝縮!日本の奇祭を巡ってます
みうらじゅん氏が日本全国の奇妙な祭り「とんまつり」(=とんまな祭り)を訪ね歩いた作品。初出は、1998年の『小説すばる』での連載というのも不思議な感じがしますし、文庫版の表紙のデザインは横尾忠則氏、解説は荒俣宏氏と、無駄に豪華なのも面白いですね。お祭りをテーマにした内容ですから、詳しいことは不明ながら、10年以上経っているとはいえ、今でもほぼ同様の内容で開催されているものが多いと思われます。全く古さも感じさせませんし、こんな奇妙なお祭りの数々が、今でも日本で続いていることに驚かされます。
冒頭は、いきなり奈良・金峯山寺の「蛙跳び行事」から。仏像目当てに購入した吉野本の中で、カエルの着ぐるみを着た奇妙な神事の紹介を見つけたことから、この連載がスタートしたというほど、みうら氏に強烈なインパクトを与えたビジュアルです。その結果、這うようにして歩くカエルを見て、「カエルはフツー、“ピョン ピョン”じゃないのか!? おいっ! オレはその飛びを期待して、はるばる東京からやって来たんだぞ!」という残念な結果に終わったりしていますw
それ以降も、奈良県明日香村・飛鳥坐神社の露骨な夫婦和合が演じられる奇祭「おんだ祭り」はもちろんのこと、愛知県犬山市の「姫の宮 豊年祭り」と小牧市の田縣神社で行われる「田縣祭り」(2日連続しています)、和歌山県日高郡川辺町(現在は日高川町)の白塗りのおじいさんが笑いまくる「笑い祭り」など、世の中には奇妙なお祭りがたくさんあることが分かります。
また、今ほどインターネットで簡単に情報が手に入る時代ではありませんから、名前の面白さにつられてはるばる行ってみたら、意外と小じんまりとしていてガッカリする…というパターンも少なくありません。そんなものも含めて、大の大人が馬鹿をやっている姿はやっぱり面白いですね。未読でモノ好きな方はぜひ!